大好きな作家の「卒業」に触れる

一冊のイラスト集を買った。

『槙ようこイラスト集 Graduation』

大好きな漫画家さんの一人、槙ようこ先生のイラスト集。どうやら、今年の5月に発売されていたらしい。本の通販サイトで見かけて、驚いた勢いのままカートに入れた。最後の連載の最終巻が出たのは、去年の秋だったか……。

イラスト集が届き、表紙の女の子にうっとりし、帯を見てにやにやした。槙ちゃんの絵は、やっぱり可愛い。どきどきとわくわくを胸にゆっくりとページを開く。

たくさんの素敵なイラストと、豪華なクロストークにロングインタビュー。じっくり最後の1ページまで読み終わった時、目頭が熱くなった。寂しいような、でもどこか清々しい気持ちさえするこの思いをどこかに残しておきたい……。

私はnoteを始めることにした。


槙ちゃんの漫画に出会ったのは小学生の頃、当時連載中だった『愛してるぜベイベ★★』が最初。本屋に行った時、新刊を見つけたら必ず買う。考えてみたら15年以上、そうやって槙ちゃんの漫画を読んできた。

イラスト1つ1つを見て、「可愛い!!」と興奮する一方で、色んな作品に元気をもらってきたなと、しみじみする。
『ベイベ』は言わずもがな、『山善』も涙なしには読めないし、『14R』や『ピカ☆イチ』も大好きだった。『ロマンチカ クロック』は重い展開もありつつ、どこまでもピュアで優しいキャラクターたちと可愛いお話に、当時、大人のなりかけだった私は癒されていた。

1つ1つの作品について語ったらキリがないけれど、みんな宝物。槙ちゃんの描く宝物がもう増えないのは悲しいけれど、「引退」を教えてくれる槙ちゃんはとってもカッコよくて、優しい。

ラストインタビューを読んで、そんなことを思った。

読者は「またいつか」を期待してしまうけれど、これでお終いだよって教えてくれた。そして、「ありがとう」を伝えてくれた。

絵はもう描きませんって宣言をしてくれたから、私たちは余計な心配をしなくていい。どこかに槙ちゃんの新しい作品があるかもしれないって考えなくていい。(もちろん、いつか復帰して欲しい気持ちはあるけれど。)

悲しい別れじゃない。この感じ、まさしく「卒業」って言葉かぴったりだ。イラスト集を「Graduation」と名付けた人はすごい。

卒業を見届けられた私たち読者は幸せ者だ。
もちろん、寂しい気持ちもある。でも、今までたくさんのものをくれた槙ちゃんは、漫画家を卒業しても輝いているって、インタビューが教えてくれた。

槙ちゃん、今までありがとう。
これからも槙ちゃんの作品にお世話になります。
『ページを開けばいつでも会える。』
その言葉通り、これからも会いに行きます。


この文章の書き始めに、「槙ようこ先生」ってカッコつけて書いたけど、やっぱり「槙ちゃん」がしっくりくるね。

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