田舎は一人になれない

普段は地方で仕事をしている。平日地方で仕事して週末東京で趣味の時間を過ごすのはなかなかよい。

東京と地方では飲む環境が違う。
東京は混雑しているがどこへ行っても一人だ。誰もわしの存在など気にしてない。ガヤガヤした店のカウンター席で隣と肘が当たりそうになりながらも、完全に孤独に過ごせる。

地方で店に入ると、わしはどこかの誰かとなる。店員は「なぜお前はここに来たのだ?」という表情を浮かべる。先客は一斉にわしを見る。わしをどこに座らせるか店中が無言の相談を始める。

わしがメニューを見始めるとみな元のポジションに戻る。店員と常連が元通りの話を始める。注文はほぼ決まっているのだが、地元民の話が盛り上がっていて割り込めない。注文用のタブレットもない。

地方にいる時、好むと好まざるに関わらずわしの存在感はちょっと濃くなる。都会で希薄な存在でいることにいつの間にかすっかり慣れている事に気付く。

きっとそういうのが 懐かしさ を生むんじゃないかと思う。

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