くくる

日暮れて 想う先は皆
皆温かな 人の腕の中
独りはとても 淋しいの、と
夕焼け空を 見つめている

知らぬ間に戦死した恋人の
便りは届くはずもなく
オレンジと灰に消えた夢の
後先 胸を貫く

愛をまだ 視ないまま
誰を抱く 何故に抱く
夜が明けた 朝が来て
何想う 若き老衰

一つ解いてはまた一つ巡る
ぐるぐる駒を回して
宇宙の法則 難に流離い
嗚呼 紐と隣り合わせ

日暮れて 想う先は皆
皆温かな 人の腕の中
結ばれて 目を瞑る
迅速に過ぎし 響く音短し

鐘が鳴り 覚悟を決める
松の木前に 無情の掌