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短編小説

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読み物。君と僕の日々の物語。 どこからでもいけますが、古い方から順番がおすすめです。
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#冬

『ある冬の夜の話』

"今電話してもいい?" マナーモードの携帯が短く震える。 "部屋に戻るからちょっと待って" 手短かに返したメールに、すぐ返信が来た。 "10秒待つ!" 「なんじゃそりゃ。」 と、一人でツッコミを入れながら、部屋に戻り、大きめのビーズクッションにもたれかかる。 マナーモードを解除した丁度良いタイミングで、お気に入りのバンドの新曲が携帯から鳴り始めた。 今日登録したばかりの着メロを、少し長めに聴いてから、通話ボタンを押す。 「10秒以上経ってるよー?」 「違う違う、