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短編小説

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読み物。君と僕の日々の物語。 どこからでもいけますが、古い方から順番がおすすめです。
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#流れ星

『林間学校の夜の話(後編)』

「先生ー、星座早見表の見方が  わかりませーん。」 「理科の先生に聞いてー。」 「北は?北どっちよ。」 すぐそばにいるはずの、クラスメイト達の笑い声が遠い。 君は右隣りで、ごろんと橫になった。 「星ねー。昨日は流れ星見えて  盛り上がったけど。」 言い終えて、ミニ羊羹のビニールを咥えている。 「もう見飽きた?  今夜で見納めだよ。」 私も空になった水筒の蓋を橫に置いて、 体育座りのまま、背中をブルーシートに預けた。 視界いっぱいの星空を眺める。 「星の光って、結

『林間学校の夜の話(前編)』

「今、虫刺されの薬持ってるの誰ー?」 「あっ、私!こっちー!」 満天の星空の下。 クラス毎に敷かれた大きなブルーシートに腰掛けたまま、 痒み止めのチューブを右手に掲げ、返事をする。 「貸してー、思いっきしやられたわ。」 「大丈夫?  …うわぁ、ぷっくりなってる。」 爪でばつ印をして堪えた跡が見て取れて、 こちらも思わず身震いしてしまう。 「てか、話すの久々じゃん?」 「そうだねー。基本、班行動だったもんね。」 薬を塗りながら、君が右隣りに腰掛けてきた。 「お前の