もう一つの「まれ」のケーキ
見出しの写真は石川県輪島市大沢町です。
この町は「にがたけ」という細い木を立てて風除けにする独特の景観で「間垣の里」として知られています。
そしてこの町は2015年に放送されたNHKの「連続テレビ小説 まれ」の舞台となった場所でもあります。
ここ大沢町を含む「西保地区」は先の大地震により道路が寸断され孤立状態になった方々は大変な生活を強いられましたが、最近ようやく他所への避難が出来た様です。
地震から時間が経ち遠隔地でも報道やSNSの投稿により能登の様子が見られるようになってきました。
しかし見れば見るほど、知れば知るほど大きくなるのは衝撃と悲しみ・・・
現地に暮らす者でなくとも途方に暮れてしまう様な状況が伝わってきます。
そんな中、大規模火災のあった輪島市河井町の一角に奇跡的に残ったオブジェがあります。 ニュースでも度々取り上げられたので見た方もいると思います。
このケーキのオブジェの向かって左隣には「連続テレビ小説まれ」の記念館がありました。 ドラマで使われたセットの一部や土屋太鳳さんが演じた主人公の衣装が展示されていて我家も何度も訪れた思い出の場所でした。
記念館は焼失してしまいましたが、映像で見るところではほぼ無傷で残ったこのケーキ・・・ SNSでもこのケーキの写真を投稿してご自身を鼓舞される方もおられました。
そしてこのケーキはもう一つあるのです・・・
冒頭に記した輪島市大沢町の「西保公民館」。 ここは避難所となっていて取材が入りニュースで流れたこともあったので気づいた方もいると思いますが、「まれ」で主人公一家が過ごした村のモデルとなったこの町にはこの公民館を始め色々な物語上の重要スポットがあります。
我家が直近でここを訪れたのは昨年の11月半ば・・・
今はこの町と思い出を大切に守って下さっていた方々が被災し大変な苦しみの中に置かれていたと思うと本当に胸が痛くなります。
話は飛躍しますが最近ニュースでも出てくるようになった話題・・・
かなり要約して書きますが今回の震災でとりわけ奥能登地域で多く発生した孤立状態になってしまった地域やそこに至る道路等のインフラの復興に予算を割くのは経済的合理性が無い・・・と言う話です。
我家も度々奥能登を訪れ海沿いの道をドライヴしましたが、確かに中心地を離れると立ち寄れる店も少なく人影も疎らになり暮らしていくには苦労があるだろうなと感じる所が多くあるのは事実です。
でもそこで出会った心が洗われる様な景色や美味しいもの、そこで暮らす方々が守ってこられた伝統のお祭りや工芸・・・
そのどれもが大切で掛け替えのないものだとより強く感じます。
これは私の個人的な思い入れが多分にある故の意見かもしれませんが、市町村あるいは都道府県というより大きな単位での自治体を維持するのも小さな集落を守る方々がいるから、また伝統文化を守るのはそんな方々の情熱があるからだと感じるのです。
全てを元に戻すのは難しいかもしれませんが、可能な限り美しい能登の里山里海が、心打つ伝統が守られることを願っています。
最後に復興の合理性について語る方も根本には皆に出来るだけ安全に暮らして欲しいととの考えがあると信じています。