顔は、わたしの名刺

歳を重ね
その"わたしの顔"を愛でてあげる時間は
どのくらい減っただろう

昔は下地やファンデーションの
つけ心地のほんの少しの違いにさえ
敏感に反応して
鏡をこまめにチェックしながら
使っては次を試しを繰り返し
気づけば使い切っていない在庫は
いつも引き出しにたくさんあった

今では
チープコスメだから
近くのストアに売ってるから
変えたところでもう隠せないから

そういう理由で
一度買ったら最後まで使い切ることができている
なんとなく選んだ化粧品たち

コスメを選んだりする時間は減り
昔ほど鏡を見る回数も減った

でも
忘れないで

歳を重ねたことは
女性としての経験を積み重ねてきたということ
そのシワには優しさ
そのシミには活動が
オーラとして刻まれている
それはすべての女性にとって誇りなのだ

思い出して

若さなど
苦悩ばかりだったではないか

迷いと苦悩に満ちていて
いつも誰かと比べていて
常に決断ばかり迫られて

ただ若いというだけの容れ物の中の
無知だった小さな自分に戻りたいか

わたしは嫌だ

喜びも苦しみも
わたしにだけ与えられた経験をもった
今のわたしが好きだ

そんな自分の顔は
わたしの名刺そのものなのだ

顔はわたしの名刺

もう名刺を粗末に扱うのはやめよう

ちょっとだけ昔を思い出して
誰にも気づかれないほどの細かい変化
だけど
自分にとってはワクワクときめく変化を
今日、自分の顔というキャンパスに描いてみよう


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