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舞台上に「いる」ということ

メソード演技を勉強していく上で、俳優にとって幾つかの大事なキー・ワードがあります。レッスンのなかで繰り返し語られるこういった言葉をメモとして書き記しておきたいと思います。

舞台に「いる」!

多くの俳優がいい演技をするために「何をどうしたらよいのか」と考える。

しかし、演技は「何をどうするか」という問題ではなく、舞台上での「そこ」に、どう「いる」のかという在り方が問われているのだ。人物はまさしく「そこ」にいて、「そこ」で起こっている出来事に巻き込まれている(はずだ)。そのただ中には「いる」という心身の感覚がある。演技のための訓練は、この感覚を身につけるためのものであるべきだ。

俳優にとって問題なのは、舞台上の「そこ」で起こることを集中して観ている観客がいるということだ。俳優は常に観客を前にして、自分の内面や行動など集中すべきことに集中しなければならない。(しかも相手役と共に「いる」のだ。)

空間に親しみ、孤独を受け入れながらも、コミュニケーション能力が求められる俳優という全人間的な存在! 「いる」ことでしか、その存在は生まれない。

そこへの憧れを共に分かち合える仲間たちの輪が理想だ。アクターズ・スタジオは、そうした理想のもとに集まった仲間たちの場で、そこに「いる」演技のために、メンバーたちは研究を続けていた。

舞台に「いる」ために必要なのは、自分に圧力をかけて自信をもとうとすることではない。あるがままの裸の自分を知り、その自分を認めて受け入れること。肯定できること。強い心が必要だ。


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