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Laws Of Attractionを見て、幸せとお金の価値を考えた

人間関係が複雑でドロドロで、人がバタバタ死んだり、暴力や喧嘩があり、基本的には演出が派手で、現実世界とはかけ離れた世界観の中で恋愛が描かれることが多いラコーンとも違う、キラキラしていて、恋愛している中であちこちに甘いシーンが織り交ぜられるYシリーズとも違う…新しい愛情物語だなと思いました。
タイドラマに新しい見たことがないジャンルの物語でした。


始まる前の正直な気持ち

クンチャイが終わり、伝説を創り上げたと言っていい程に評価されたチームと主演の2人が新しく作品を作る。
しかも、撮影期間は2か月…撮ってからすぐに編集され出来立てほやほやの状態でお茶の間に放たれる事になった。
teaserでわかっている内容は少なく、全8話で完結するらしい。
フィルムさんが始まる前から繰り返し言っていたこと、これはブロマンスです、ただのYとは言えないところがありますという言葉。
ジャムくんのリアルな人間が描かれています。肝臓がきっと痛くなるほど、辛くなる…という言葉。
2人の甘いタイドラマが見たくてたまらないファンが多い中、一体どんなシリーズを見せてもらえるのかと、こんな機会を頂けた喜びと、何だか得体の知れない期待と共に物語から満足感や満腹感や多幸感がどれくらい得られるのかなという不安な要素も正直あったと思う。
でも、ジャムくんの“脚本が本当にいい”という言葉、フィルムさんが“これまで以上にやっていて楽しい役”というインタビュー、監督P'Worの言葉 “愛は撮れない でも、幸せは撮るに至る”という言葉を心のどこかでは信じていられたと思う。
何よりも、クンチャイを創り上げたチームを信じてた。素直に信じてたんだと思います。

監督とJamFilmとスタッフさん ©️vilaaaaa.m

甘さと辛さのバランス

目を覆う様な本当に辛いシーンがいくつかあって、でも理不尽な社会とか、この世には暴力、愛する人の理不尽な死、本当に耐えがたいような辛いこともあると思うと…そのどん底から強く生きていく人たちの力強さが描かれていたと思う。
ラブシーンの美しさと甘さは、現実より極上だった。急に2人の世界になると、Tinnが王子様やヒーローのようになる…28歳と30歳が周りを気にせずに全力で恋したばかりの中学生の子どもみたいなことをする。
その、甘いと辛いのミックス、甘辛ミックス味みたいなものに心が揺さぶられて最後まで視聴が止まらなかった。
 

©️One31


衣装と忖度商品の使い方


特に4話と6話のChanのシャツの使い方ですよ…ナルシストの設定を巧みに利用して…ヒラヒラした襟やリボンシャツを巧みに使い、効果的なシーンをいくつも生み出してました!
今までシャツを脱がすというモーメントを何度も見ましたが、着せることであんなにも視聴者がどきどきさせられる…憎い演出に全員が総ツッコミ!
クンチャイからお世話になった衣装のนพดล เตโชさん…本当にどのキャラも素晴らしく服がその人の人生を物語っていました。ありがとうございました✨
忖度商品は、後でジワジワきます…LOAファンのみなさんとどこにあったか?クイズやりたい😂
栄養ドリンク、マーマーOK、タイガーバームの湿布…入れ方うまかったなぁ。。。
あの栄養ドリンク、あんなのふと見て飲んでたら色々勘違いする…私なら。。。🫢

湿布を貼るだけで戦闘モードになる狂犬 ©️one31


視覚の楽しさとド派手さと笑い

Yシリーズには、あまり出てくることのない…突然の出会いは殺されそうなところを飛び蹴りで助けられる、植木鉢がなぜか落ちてくる、バイクで車を追い越してターンして敵に突撃する、事務所が爆発する、何度も火事になる、ゴージャスな生活をする人たち、ナンパ男から強引に奪還される、バーで自分たちのためだけに歌手が演出してくれる、ベッドに手錠で繋がれる、愛する人がヘリコプターで消える背中を追い、地べたに押さえつけられながら叫び続ける、愛する人を取り合うボクシング対決、地味などこにでもいるおばあちゃんが突然変身して歌い出す、などなど…w
昼ドラを見ているような非現実的な要素は、脳に刺激を与え、心を躍らせた。
これらの演出には、脚本家や監督が得意分野のラコーンを活かしていたと思いました。
Nawin は、ずるい!あのNatさんは、誰もが彼のおかげで笑顔になれた。憎めないかわいいワンコ代表でしょ…
彼へのロスがまさか、加わるとは夢にも思わなかった視聴者は多かったはず!
体に彫られた名前が今となっては間違えててよかったよ、 Chanを待つのもいいけれど…はよ、自分の正解の人を探してね❤

©️One31


カメラアングルの妙と効果音と音楽


見た人全員が、この物語は音楽とは切り離せなかったと言わざるを得ないと思う。
音楽に歌詞がついていなかったら、出てくる登場人物の奥にある心の動きや、シーンの本当に伝えたいことがわからなかったと言い切ってもいいと思う。
制作したのが、音楽レーベルをグループ会社に持つOne31で The Oneがタイの老舗音楽レーベルから大きくなった歴史と数々の名曲がこのシリーズに色を添えている。
2人が初めてお互いの肩にもたれかかるシーンには、One31制作の舞台で身分や民族の壁を超えて主人公が結ばれるシーンの曲が使われ、Tinnが花を渡してChanを口説くシーンではギター1本でイサーン語が織り交ぜられた素朴すぎるちょっと汗くさいプロポーズソングが用いられる。
些細な痴話喧嘩も、あの偉大なるP'Birdの曲がカーラジオから流れ出す…曲がもしなかったら、もっと暗くてドロドロしたラコーンに見えてしまっていたかもしれない。
Nawinの登場も、スローモーションだけじゃあんなに笑えなかったとすら思ってしまいました…😂

口に出せる程に記憶にある効果音は、2話でChanが包丁を引き抜くところ、1話と5話でジッパーを上げたり下げする音と寝相の悪いChanがピロロロンと転がっていくところだ。
なぜか、手足も長くタッパもある、鍛えた筋肉も兼ね備えた成人のChan30歳があんなに可愛く見えたかって…あの効果音の妙かなと思うところも大きいかなと🤭
すやすや眠る顔は、憎めなかったし、悪魔が見え隠れしても健やかで天使に見えたよ👼

カメラアングルは、唸るところばかりでした。とにかく、P'WorはJamFilmを知り尽くしてる!その最高の角度から
撮られたラブシーンは、そのこだわりが細かく演出されていて、こちらはありがとうという感謝の言葉以外を簡単に失いました。
タンタイが逃避行先からIGを投稿し、そのIGがリアルタイムかと思わせておいて、Thatthepの鬼の形相から一瞬にして家に戻されたあのスピード感。いとも簡単に幸せは崩れることを物語っていたし、時間も節約できてうまい!と思わず拍手しました。

あともう一つ…私がやられた〜と唸って忘れられないのは、5話、P'TheeがChaiさんに会ってきたと部屋に報告しに来るシーンでタンタイが同じ台詞を呟くところ…
“死ぬほど可哀想だ”
一度目は、Chaiさんへ…これはタンタイにカメラが向いている。そして、カメラが下がってタンタイが映るテーブルにターンする。
“死ぬほど可哀想だ”
二度目のこの台詞は、タンタイが自分に言ったもの。
同じ台詞を繰り返す脚本を、見事にカメラワークで表現しきった、見事なチームワークに私はため息でした。


2人が結婚式をしたこと


同姓同士の結婚は、現実世界のタイでは合法的には認められていないけれど、この物語を弁護士という設定にしたことで法律を変えなければその権利が得られないんだ!ということが改めて実感として沸いたし、今…少しずつ変わっている社会の変化のムーブメントがより求めるべきものなのかのかなと確信できた。
同姓同士が幸せになることは、ただただ一緒に生活していくだけでなく、結婚して、結婚式をして、家族や職場、周り、そして最終的には社会的に当たり前、権利として認められることが素敵な形なのかなと改めて思わせてくれた。
それを堂々と隠さずに生きていくこと、2人の幸せな生活を見て、これが理想の形なのではないかと素直に思えました。
たくさんの人にTinnとChanを見て欲しいです。。。

©️One31


P'Theeとタンタイの6話の朝のシーン

多くの方が疑問を投げかけていたあのシーンを私も正直最初は、えっと思ったのですが…何の意図もなくわざわざ入れなかったと思い、理由を考えてみました。

主役のTinnChanの夜のシーンを際立たせた、対比として、朝だった?
もし、両方が描かれていたら…6話のもう一つの肌が重なるシーンがあんなにも尊く貴重なものだという印象がまた違って見えたかなと。
ピティーとタンタイは、笑えない冗談を笑いながら…一瞬だけでしたが最高にあの瞬間幸せなバカップルに見えました。あの時は、それが…この先の地獄への前触れだったし、あの瞬間があってこそ、その先がどん底にも見えました。最上から突き落とす…これもテクニック。。

あとは、子どもの頃から抱えていたのに一言も言わずにずっと1番近くで愛する人を見続けた想い…重たくないです?😂
部屋の電気がつくのを庭から見上げてたあの重たいP'Thee…おんぶだけして酔って寝落ちる寝顔を毎日見てたんだろうか…よく我慢できたな!笑
スイッチ入ったら、仕方なかったのかなとも思えました。お互い、裸になって全てを曝け出す…それって信頼関係の最上級…駆け落ちまでして、気分が盛り上がって毎日あんなかわいいこと言われたら…私なら我慢できるかな?😏
みなさんのご意見、聞きたいです♪
これは私の感想なので、それぞれ思うところもあると思うし、いろんな意見があっていいのかと思います。
見た人によって、いろんな見え方、考え方ができる、それが話題になるシリーズの魅力かなと思います。

2人がまさか同じ布団で眠る日がくるなんて…©️One31


クンチャイとLOA

共通点をあげたらきりがない…あえてだと思います。
家の柵で、ボタンと腕時計が引っかかるところ、
1話のTinnの家に置かれたクンチャイの京劇のお人形。
もう色々…色んなところで出てきちゃうJiuTian!
Nawinのお屋敷で、2人がベッドで寄りかかるシーン…両親に紹介するとかพยายามห้ามใจตัวเอง自分を抑えようと努力した…がんばって自分を抑えようとした…これ、このTinnの台詞聞いたことありすぎます🥲ここのてぃあんパジャマが…技あり!!!!!!
他の台詞も状況も…クンチャイを思い出さずにはいられないシーンが結構ありました。
ヘリコプターで別れる時の Chanの台詞“たまには僕のこと思い出してね わかった?”
これは、Tianの手紙を思い出させました。
Nawinのお屋敷のインサートに被せられた大きな蝉の声でさえ、脳内に黒服の2人を思い出させましたよ😂

©️One31


女性たちの強い生き方

Rose、Maya、ヤー、Nam、そして忘れてはならないトンカオ…
彼女達の生き方は全てのシーンから伝わってきました。
シリーズに華を添えただけでなく、憧れました。
視聴者がきっとこの4人の誰かみたいに生きたくなる素敵なキャラクターを演じていただき、今も私の心には5人とも!生きています✨
おじさんに心配をかけないように、早く成長したかったトンカオの人生で最後に残した言葉は、Tinnおじさんの幸せへの背中を押したのかなと…今なら思えます。

©️One31
©️One31


JamFilmでよかった!

2人のために書かれた作品と言っても過言ではないでしょうね…年齢、Tinnの生まれた場所、イサーン文化、そして、2人の家族構成、Tinnの職業…
最終回、全然違うはずのTinnと Chanがだんだん中の人に見えて壮大な勘違いをしそうになったのは、チームの策略なんじゃないんでしょうか…?
2人が見つめ合うと、手が触れ合うと、私の心は締め付けられます…JamとFilm2人の絆がそうさせているのかなと思う時があります。演技力と直向きに良い作品をチームと作りたい!その熱い気持ちとお互いへの信頼関係、そしてピーノーンとしての愛情…ラブシーンだけでなく、2人が向き合うどのシーンも何倍も魅力的にしてくれました。

©️One31
28と30がこんなにかわいいとは!©️One31


脚本チームが落としたラストの終わり方について

このシリーズで、感じ取れたテーマのようなものが3つありました。

金と権力を手にすると、人はどうなるか?
愛する人を失うと人は、どうなるか?
身分の差、階級の差で恋愛は成立するのか?

なぜ、あの終わり方だったのか変わったことと変わらないことを1人ずつ書いてまとめてみました。

⚫️Thatthep 絶対悪🟰理不尽な世界の象徴
権力を失いかけても、家族を失っても変わらなかった。
愛情があっても、家族や人支配する。
妻への愛情、息子への愛情はあったと思うが、何に対しても金と権力を行使する、自分が人よりも上に立つ立場が大事

Thatthepは、とても悪人だけれど…彼だって政治家を目指す前、妻を失う前、そしてもちろん生まれた時から悪人だったわけではないと思う。
きっかけで、悪に変わってしまった悪い例。
タンタイに対しても、全く愛情がなかったわけではない、そうでなければ、彼をもっと簡単に手にかけて満足してたと思う。留学もさせなかったと思う。彼の愛情は、自己中心的で権力で支配することで成り立っている。

⚫️Chan の変化→金と権力は手に入れたままだけれど、愛も手に入れた。Tinnと家族という守るべきものができて、お金と権力だけが欲しいもの、彼の全てではなくなった
どんな状況でも、好きな人の体が心配で絶対に失いたくないものになる。
豪華な指輪も嬉しいけれど、Tinnが時間をかけて用意してくれたプロポーズや歌や手紙にも幸せを感じられるようになる。
お金のない人のためにも仕事をする、それが人を幸せにしたり、誰かが喜んでくれればそれでもいいなと思えるようになる。

Chanの変わらないところ→彼のテクニックを使った仕事のやり方、世界は悪に満ちていて、社会は平等ではないと思ってるところ。

Tinnの変化→Chanと結婚することで、金と権力はある程度手に入れた。
Chanの言う通り、権力や金が人を変え、世界には悪だけで自分の善良まで失ってしまう人もいることを受け入れる。Chanのやり方で、善人が悪のために無駄に死なないこともあるんだと認める。
結婚指輪の様な、お金で手に入れられる価値のあるものもあることを知る。
自分1人では事件を解決できなかったことで、お金と権力、そして法律の使い方が大事だということを知る。

Tinnが変わらないところ→ 相変わらず1番優先すべきで大切なのは仕事やお金ではなく、家族。
お金で買えない愛情や人の心、愛することを大切にする。

◇最終的に、TinnとChanはヤーの言う通りに、お互いに出会ってバランスを知った。
お金と権力は、全てではないけれどなくてもこの世に悪がある限り、酷い目に遭うこともある。
でも、お金と権力だけでは人は幸せにはなれない。
愛する人、家族を大切にして、仕事はそのためにする。孤独で生きるよりも愛する人となら家族を失っても人生に希望を持って生きていける。

⚫️タンタイの変化
自分の意思で生きていくようになる
父親を憎むのでなく、失っても父親に愛情を持ったまま生きていく
愛する人、愛される人ができた。彼と一緒に生きていく。
愛情を持っても、上下関係や権力を行使しない

タンタイが変わらなかったところ
父親への愛は変わらなかった。愛する父親からの愛を知らないまま死に別れる。
彼は親の金と権力を持ったまま生きる。

P'Theeの変化
身分の差、権力の差の真ん中にあった一線を超えた
恩を裏切っても、自分の気持ちを押し通す。
タンタイに対して、自分の愛情に自信を持った。権力も金もない自分が不釣り合いだと思わなくなった。

P'Theeの変わらなかったところ
忠誠心、タンタイを一生守り抜いて生きていくこと。

◇タンタイとP'Theeの関係性…
権力や身分の差を越えても愛することに価値や権利がある…人に対して、権力だけで愛情を押さえつけない。その部分では、平等でお互いを尊重していく。


最後に…

脚本家チームの繰り返し被せてくる大切な台詞、訴えたかったこと、その全てを受け止めきれてはいないと思います。
でも、幸せってなんだろう…お金を稼ぐこと、お金を使うこと、お金にはどんな魅力や価値があるんだろう。
シリーズを見ながら、考えました。
自分と家族のこと、自分が生きること、家族が死ぬこと…誰と生きていくのか、この先の生き方もほんのりと…
今は、本当に心をこんなにも揺さぶるシリーズをありがとうございましたと感謝でいっぱいです🥲
待っててよかった、本当に本当に見てよかったです✨

9/12.2023 ももち


カバー写真は、One31 公式様よりお借りしました🙏

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