【読書記録】FACTFULNESS 〜10の思い込みを乗り越え、データを元に世界を正しく見る習慣〜

タイトル:FACTFULNESS 〜10の思い込みを乗り越え、データを元に世界を正しく見る習慣〜

著:ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロングランド

世界はより良い方向に着実に進んでいることを教えてくれる本。人々は世界で起こっていることを悲観的に捉えがちだが、着実に進歩していることをデータに基づいて解説してくれる。世界を正しく認識するための方法として、10の思い込み本能を紹介。どのような点を気をつければ世界を正しく捉えられるかについて書かれている。

この著者は、世界をより良い方向に導くために、人生を賭して、多くの人に少しでも正しい認識を持ってもらえるように執筆している。誰かを責めるのではなく、10の思い込み本能を乗り越えて、世界をより良くして行こうというメッセージが伝わってくる。

偏った情報や本能に流されず、以下10の思い込みを取り除き、正しく世界を認識しよう。

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分断本能

例えば世界は超高所得者と超低所得者に分けられていると思い込みがちだが、実際にはほとんどの人間はその中間にいる。極端な数字だけで物事を捉えると判断を誤る。富裕層 VS 貧困層ではなく、LEVEL1〜4で分ける方が正しい。

ネガティブ本能

(1)あやふやな過去の記憶、(2)ジャーナリストや活動家による偏った報道、(3)状況が悪い時に「以前よりは良くなっている」と言いづらい雰囲気によって、世界は悪くなっていっていると勘違いを起こす。悪いニュースは報道されやすく、良いニュースは人の目を引きにくいので報道されにくい。実際には貧困の数は激減し、自然保護は増え、初等教育を受けられる女子の数も増え、電気を使える人口は8割まで上昇してきている。

直線本能

なんでもかんでもグラフは直線になるだろうという思い込み。例えば、人口はひたすらに増え続けるだろうと思われているが、実際には生活の質が上がる毎に、女性一人あたりが出産する人数は減る。貧困層では、子供の生存確率が低いため、多くの子供を出産しなければならない。

恐怖本能

恐ろしいものには自然と目がいくようになっている。リスクは危険度 x 頻度で表されるべきだが、メディアは危険度の方だけを報道する。実際には飛行機の事故・テロ・自然災害で命を落とす人は減っているが、人々は増えているように感じる。農薬のDDTの使用は、救える命の方が多いのに、この本能によって使用を制限されてしまった。インターネットの発達により、世界中の事件・事故が届きやすくなったことも関係している気がする。

過大視本能

ただ一つの数字がとても重要な数字に見えてしまう本能。例として、420万人の赤ちゃんが亡くなっていることやベトナム戦争での慰霊碑の大きさなどが示されている。この数字だけに注目すると、悪いイメージを抱いてしまうが、過去の数字と比較するとかなり改善されている。一つの数字だけでなく、必ず比較と割り算を行うようにする。

パターン化本能

ひとつの例がすべてに当てはまるという思い込み。自分の住んでいる世界が他にも適用されると思い込むのは危険。例としてインドのエレベーターでも安全装置がついていると思い込んで駆け込んできた学生の話や、戦場で兵士に施した処置を生まれたての赤ちゃんにも同様に行ってしまうなどといった話が紹介されている。パターン化しないためには分類を疑う。多くの場合、行動は宗教ではなく、所得によって左右される。

宿命本能

人は変わらないと思い込む本能。例えば、先進国の人々は「途上国が先進国を追い越すことはあり得ない」と無意識に思い込んでいる。知識をアップデートし続けて、小さな進歩を見逃さないようにすることでこの本能を防ぐことができる。

単純化本能

ひとつの視点だけで物事を捉えようとすること。例えば、専門的な知識を持つ人は、その知識のみを使って物事を解決しようとするが、実際にはひとつの視点だけでは解決できないことが多い。トンカチをやたらと振り回すだけでなく、他の道具があることにも気付こう。

犯人探し本能

誰かを責めれば物事は解決すると思い込む本能。製薬会社が悪いことを突き詰めていくと自分の祖父母が悪いという結論に行き着き、祖父母を叩いたところでなんの解決にもならない例が示されている。ドラマチックな報道をするジャーナリストを咎めても何の解決にもならない。犯人ではなく、原因を探すことが大事。

焦り本能

今すぐに行動しないと大変なことになると思い込む本能。本当に今すぐに取り組まなければならないことかどうかを判断するには、深呼吸してから数字とデータを使う。そうすることで、感染症などのすぐに手を打つ必要がある項目が見えてくる。地球温暖化は今すぐに過激な対応策を打つのではなく、小さな一歩を積み重ねることが大事。

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