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いちねんまえ

2020/5/15 22:43



こんばんは。
皆さんいかがお過ごしですか。

この時間でも過ごしやすい気温になってきましたね。
そのせいか昼間がいつまでも続くような気がして、気付いたらついつい夜更かししてしまうけど。

私は相変わらず、お絵描きしたり、漫画を読んだり。

そして最近は、一年前のことを思い返していました。

一年前の今頃は、なんとカンヌの地にいました。

本来なら、今年も今頃開幕しているはずのカンヌ国際映画祭。

昨年、監督週間にて、三池崇史監督の『初恋』で
皆さんと一緒に参加させていただきました。

あんなに素晴らしい場所に連れて行っていただけた経験は、ずっと忘れられません。

カンヌ映画祭をはじめ、またたくさんの、世界中の素晴らしい映画の祭典が行われることを祈るばかり。
私も絶対にまた行きたい。

この一年、本当に素晴らしい経験をさせていただいてたなあと、改めて。


そして、一年前を振り返った時に、もうひとつ思い出すことがあります。

一年前、私がカンヌに発った日。

その日は、10年間一緒に過ごしてきた
愛猫のミシェルの命日でした。

私が朝早くにカンヌに発った、その日の夜でした。

ミシェルは、少し前から急にごはんを食べなくなって心配していたけど、まさかあんなに突然お空に行ってしまうとは、誰も思わないくらい元気でした。

少し心配だったけど、帰ってきた頃には元気になってるかな、なんて言っていたくらい。

私はそれからもしばらくの間カンヌに滞在していたので、
その間母は、連絡はずっと取っていたけどミシェルのことは私に言わないでくれていて。
そのため私が知ったのは、5日後の帰国した日でした。

家の前まで迎えに来てくれた母に、
「ミシェル元気?」と聞いたら
「ミシェルは、二階のお部屋にいるよ。」
と答えたので、
「ミシェ〜」って名前を呼びながら二階へ向かいました。
その時、いつも階段の下にあったミシェル用のトイレはなくなったことに少し気付いたと思います。

そして、二階へ上がると、
小さくて真っ白なお骨の箱が、ひとつ置いてありました。

それからは、涙がボロボロ止まらなくなりました。

最後の夜に、お風呂場の脱衣所の、隅っこで隠れるように寝ていたのを見ました。

思い返したら、今まで10年間、そんなところで寝たのを見たことはなかった。

猫が死に場所を探すというのは迷信かもしれないけど、
きっと、そういうことだったのかもしれない。

もしも、私がカンヌに発つ前にミシェルがそうなってしまっていたら。
ただてさえとてもかなしいのに、きっともう、ボロボロになってしまっていたと思います。

だから、自分勝手なこじつけかもしれないけど、
そんな姿を見せないように、頑張って、待っててくれたんじゃないかと思えてならないです。

そして、その一年前に亡くなったおばあちゃんの一周忌は、ちょうどカンヌでは上映日で、そちらも行けませんでした。

おばあちゃんも、2年前の、私にとって大切な日が終わったそのすぐ直後でした。

おばあちゃんは花が好きだったので、その日に使うための造花の花束を「綺麗だね」と言っていて、その日が無事に終わったらあげる約束をしていました。

今も私の部屋に、造花の花束は飾ってあります。

人生でいちばん嬉しいことと、悲しいことがあって、
人生は怖いくらいにバランスが取れているなと思っていました。

母は、しばらく日々が過ぎても、朝目が覚めた時、夜寝る時、いつもの癖でミシェルの名前を呼んでいました。

ミシェルがいないことに気付いて、呼ぶのをやめることはもっと悲しくなるから、
今までと変わらず、いつものように
「ミシェおはよう」
「ミシェおやすみ」
と言うことにした、と言っていました。

そしていま、一年経って、何回も、おはようとおやすみを繰り返して、いつのまにか名前を呼ぶことがなくなったこと。

もういない存在を、「思い出す」ようになるくらい、日常ではなくなっていること。

そんなことにふと気づいたとき、心の奥がひんやりするような、何とも言えない気持ちになります。
「寂しい」という言葉とも違うような。


最初の話に戻りますが、今わたしが呼んでいる漫画のひとつで、大島弓子さんの「綿の国星」という漫画があって。

ちょうど、ミシェルの命日だった昨日から読み始めた漫画です。

いつか人間になれると信じて疑わないチビ猫ちゃんが主人公のおはなし。

くすっと笑ったりしながら、気付いたら涙が止まらなくなりました。

「猫はどれくらい生きられるのでしょうか
人間と同じ位でしょうか

わたしは時夫といっしょに歳をとれるのでしょうか

わたしがホワイトフィールドになったときラフィエルは見にきてくれるでしょうか

もしその日が月夜だったら二匹でダンスを踊りましょ

思いはうつりかわり
うつりかわり
かげろうのよう」

「死ぬ」ということを、はじめて教わったチビ猫の気持ち。
あまりに愛おしくて苦しくなるほどの感性で、なんだか感想を言葉にするのが難しいけど。

とにかく、この文章を読んで、自分の中で分からなかったことが、ストンと胸に収まった気がしました。

読み終わったらちゃんと感想書こうかな。
近々、また鑑賞記録やるぞー。














おやすみ。



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