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桜島の噴火警戒レベル5について

2022年7月24日 桜島に噴火警戒レベル5が発令されました。
今回の噴火警戒レベル5についてどう思われますか?とコメントを求められたので桜島ミュージアム理事長・福島大輔の個人的見解をご紹介します。

気象庁の基準に従えばレベル5に上がったことは理解できますが、その基準が桜島の暮らしの実態には合っていないと思います

理由は、以下の通り。
①このくらいの噴火は過去にいくらでもある
②このくらいの噴火で暮らしに支障はない
③これを超える噴火がおこる可能性は昔からあるし、これからもある
④それでも桜島の住民は普通に暮らしている

個人的には、交通事故を気にして車に乗らない、車が通る道路の近くは歩かない、というレベルの話に近いかな?と思っています。

とはいえ事故が起きると悲しいので、ルールが改正されたり対策したりするわけで、火山の場合は噴火警戒レベルが設定されたのだと思います。
でも桜島の場合、通常の噴火(南岳の山頂噴火)による噴石を噴火警戒レベルで対策するのは意味がないと思います。
ごくまれに警戒区域(火口から2km)を越えて噴石が落ちることがありますが、これを予測するのは難しいですし、ごくまれに単発的に起こるだけで、その後に継続的に繰り返されたことはありません
その後に繰り返されないこと(起こらないこと)に警戒しても意味がないと思うのです。

とはいえ、もしも被害があった場合に被災者以外には「何もしない」というのは無責任な印象も受けます。たとえ、その直後に繰り返されることがなかったとしても、心情的には「何とかして欲しい」とか「何もしないのか?」となりますよね。
ということで噴火警戒レベルを上げる対応をするのだと思いますが、それによって社会活動や経済活動に支障が出るのはどうかな?と思います
ちょっとバランスが悪すぎると思います。
実際、我々にとってはかなり影響が大きいです。
このあと同じような噴石は落ちてこない(そもそも生活に影響ある地域には落ちてない)のに道路を通れない、仕事ができない、風評被害が出る、お客様が来ない、商売が成り立たない、などなど。
いつも通り暮らせるはずなのに、、、

なんかもっと良い対策のは方法はないのですかね?
桜島の噴火警戒レベルは、もっと大きな噴火が起きそうなときに使うべきだと思います。
通常の噴火の中で起き得る被害は別な方法で対応して欲しいです。

交通事故のリスクがあっても車社会で普通に生活するように、噴火のリスクがあっても桜島で普通に生活できる地域であって欲しいです。

文責:桜島ミュージアム理事長・福島大輔

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