11回目のお遍路

12月23日(土)

 11月初旬のお遍路から2カ月近く。今年最後のお遍路へ出かけました。年内にもう一回と計画したところ、もうこの日しかなく、世間ではクリスマスという時期であるにもかかわらず、歩いて参りました。
 いつもと同じく、土曜日の営業を終えて、京都駅へ向かいました。ちょうど出かける数日前から、日本列島は寒波の真っ只中。防寒の備えも万全に、今夜や丸亀市まで。駅前は、クリスマスで華やかな雰囲気でした。


丸亀駅前

12月24日(日)

 前回最終の道隆寺からのスタートで、朝4時にタクシーをお願いし、道隆寺へ向かいました。気温は1℃しかありませんでしたが、ジャケットなどをたくさん着込んでいるからなのか、さほど寒さも感じません。また、同じ1℃でも、京都市内とは寒さの質が違うように感じます。何というか、柔らかな寒さとでもいうのでしょうか。次の78番郷照寺までは、約8km。6時30分頃にはお寺へ着いて、先にお参りを済ませ、7時になったらすぐに御朱印を頂き、次のお寺へ向かう計画をしていたのですが、お寺へ到着してビックリ。何とお寺の入口にシャッターが下りているではありませんか。


シャッタ―の降りたお寺


 これまで遍路をしていて、門にシャッターが下りていたのは今回が初めてです。30分余り、そこで待つことになりました。歩いているとさほど感じない寒さですが、じっと立ち止まると、じんわり冷気が上がってきます。その辺りをウロウロと歩き回っていたところ、お寺の方がお見えになり、門が開きました。中へ入り、納経を済ませて、7時30分、郷照寺を後にしました。

78番郷照寺


79番天皇寺


 天皇寺へは9時に到着、お参りを済ませて9時40分に次のお寺、国分寺へ向かいました。国分寺までは、およそ10kmです。まずまず順調な滑り出しです。


80番国分寺


 11時10分、国分寺へ到着し、お参りを済ませました。朝4時から歩き続けているので、そろそろ休憩を取りたいと思い、国分寺のすぐそばにある、お遍路の駅こくぶというお店に行きましたが、残念ながらお休み。次のお寺は山の上にあるので、その前にしっかり腹ごしらえをしたかったのですが、住宅地で他には何もありません。仕方なく歩いていたところ、個人で接対処を設けておられるお家があったので、ありがたく中へ入らせて頂きました。歩き遍路の途中のこうしたスポットの存在ほど、有難いことはありません。中に置いてあったお菓子を頂き、しばらく休ませて頂きました。


私設のお遍路接対処


 休憩所を後にして、いよいよ山道に差し掛かりました。これまでの遍路ころがしよりは、随分優しかったものの、県道へ出るまでの登り道は大変でした。さらに寒波の中を歩くというので、いつもより厚着で、中は汗がだらだら流れているのですが、ジャケットの表は寒く、ジャケットを着たり脱いだりが大変でした。


81番白峯寺


 

下乗の石碑

14時前に白峯寺へ到着し、14時30分に次の根香寺へ向かいましたが、山道を歩いている途中に、「下乗」と書かれた大きな石碑がありました。「下乗」という言葉はこれまで耳にしたことがありません。説明によると、ここから先は聖地であるので、どのような高貴なものでも、ここから先は乗り物から降りて、自分で歩いて参拝しなさいという意味なのだそうです。この写真の右側の塔は、1321年に建てられたものだということで、古人たちの筋の通った考え方、そしてそれを実践してきた非常に高い精神性に、深い感動を覚えました。祖先たちの生き方に、私達はもっと学ばなければなりません。


82番根香寺


 山中の県道を遍路し、15時55分、次の根香寺へ到着しました。今日はこのお寺さ最後のお寺です。この後は、宿に向かってひたすら15kmを歩きます。16時30分にお寺を後にしました。
 ここからが、今日一番辛い遍路の行程となりました。日の入りも早く、薄暗い中をひたすら歩きましたが、15kmという行程は非常に長く、歩いても歩いても先が見えません。そのうち辺りは真っ暗となり、スマホのナビだけを頼りに歩いていたところ、突然、バイクに乗った一人のおじさんがこちらへこられ、「これを持っていきなさい」と、懐中電灯をくださったのです。歩いていた道は、歩道が無い狭い道だったので、よほど私達を見て危ないと感じられたのでしょう。宿へ着いてからその懐中電灯を見ると、新品のようで、もしかしたら、わざわざどこかで買ってきてくださったのかもしれません。申し訳ないやら、有難いやらで、この場を借りて、心からお礼申し上げます。


 真っ暗な中をへとへとになり、20時前に辿り着いたのは、天然温泉「きらら」。明日の一宮寺のすぐ近くであり、何といっても温泉付き。お陰様で、ズタボロの体も熱いお湯で癒されたのでした。

12月25日(月)

 

83番一宮寺

朝6時起床。昨夜はよほど疲れたのか、朝までぐっすり爆睡。ここから一宮寺までは600mほどで、7時前に宿を出発し、まずはお参りを済ませ、御朱印を頂きました。お寺を後にして、近くのコメダで朝食を頂きました。コメダで美味しいコーヒーを飲み、8時前に再びスタート、めざすは84番の屋島寺です。屋島と言えば、屋島の合戦。そして屋島の合戦と言えば、那須与一。この辺りのマンホール蓋の図柄は、那須与一となっていました。


 

84番屋島寺

さほど高くはない山だろうと考えていたのですが、屋島寺までのスカイウエイはなかなか登りごたえのある道で、屋島寺に着いたのは11時。意外に時間がかかってしまいました。次は湾を挟んで対岸の八栗寺を目指します。
 

山を下りて、次の山へ登る手前に見つけた「さぬき麺児」というおうどん屋さんに入りました。うどん県の割には、なかなかおうどんにありつけなかったのですが、念願かなって、ようやくおうどん屋さんに入る事ができました。頂いたおうどんは、讃岐らしい歯ごたえで、具沢山、そして出汁は薄味で、堪能させて頂きました。
 おうどんでしっかり腹ごしらえをして、山道を登り始めましたが、県道へでるまでの道は険しく、相変わらず、大量の汗と表の気温差とに悩まされながら歩きました。
 


85番八栗寺

14時20分、八栗寺に到着。予定よりも時間が押しているので、大急ぎで山を下り、もよりのJR八栗口へ向かいました。


 15時30分、無事に八栗口駅へ到着。高松駅行きの電車を待っていた際、ちょっとしたハプニングがありました。この駅は無人駅で、駅の所だけが線路が2本になっていて、駅を過ぎるとまた単線となりますが、一体どちらのホームが高松方面なのかが全く不明です。掲示物を見ても分からず、直前に通過した高松行の特急列車が通った側のホームで電車を待っていました。
 しばらくすると、踏切の警報機が鳴り始め、電車が近づいてきました。やれやれ、やっと電車に乗れると荷物を担いだところで、「えっ????」という事態に。何と、電車が停車したのは、私達が待っていた反対側のホームではありませんか。一瞬、何が起こったのか分かりませんでしたが、電車に表示されていた「高松行」という文字を確認し、反射的にダッシュ!
 ホームを降りて、踏切を渡り、反対側のホームまでひた走りした私たちを気の毒に思われたのでしょう、ワンマン電車の運転士さんのお陰で、何とかその電車に乗ることができたのでした。危ないところでした。
 そして、無事に高松駅に到着し、マリンライナーで岡山へ、岡山から新幹線で京都に戻ってくることができました。
 この寒空の中を頑張って遍路したお陰で、ようやく85番まで辿り着くことができました。残すはあと3ヶ寺。来年早々に残すお寺を遍路する予定です。
 




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