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猫とあたしの気持ち

もう、十日ぐらい前になるだろうか。
病院の日の朝、病院の駐車場の隅っこに段ボールの箱が無造作に置いてあった。
車を停めて、歩き出すと、ミャーミャーと小さな鳴き声が聞こえてくる。
あたしが近寄ると段ボールを引っ掻いてるのか、ガサガサと音が聞こえたので、そーっと段ボールを開けてみると、子猫が二匹いた。

捨てられたの?
分かるわけはないのに話しかけた。
お腹すいたよね?
また話しかけてるあたし。
ちょっと待っててね、ミルク買ってくるからね。
子猫達を自分の車に移動して、あたしは病院の売店で牛乳と紙皿を買った。
すぐに戻って、ミルクを紙皿に出してあげたら、喉渇いてたのか、二匹とも飲んでくれた。
育ててあげられないので、近くの動物病院へ連れて行き、飼い主を探してもらえないかとお願いした。
余計な事するなよって、
猫達は、思ったかもしれないな。
幸い、次の日に飼ってくれる優しい人が見つかった。しかも、二匹とも飼ってくれるらしい。
今のこの世界に、こんな人がいるんだなって、あたしは、一万円を渡し、お願いしますと頼んだ。

お前は一万円で、僕達を捨てたんだなって思ってるかな。
あたしはね、無責任な気持ちで君達を飼えなかったんだよ。
あたしが倒れたら、誰が見るの?
まず一番にそう思ったから。

猫と話せたらどんなに良かったか。
猫と話せて、貴方の家がいいと言ったら、あたしは連れて帰れたかもしれない。
結局、あたしは、引き取れず、
ただ、人に手渡しただけ。
この子達を拾って助けた、いい人を演じただけだ。

いつか、拾ってくれてありがとうって思ってくれる生活を送れたらいいな。
でも、心の中ではね、あたしに見つけて育てて欲しかったんじゃないのって心に引っ掛かりがあって
スッキリしない。

あたしの気持ちも通じないけど、猫の気持ちも分からない。
まあ、毎日、ご飯食べて、元気に鳴いてるらしいから良かった。

何も変わり映えしない、あたしの日常に、ある日、小さな猫が現れて、小さな幸せをくれました。
最近では自分以外のことに必死になった事はなかったけど、
珍しく必死になって動いてる自分がいた。
多分、通じないけど、猫達に、
ありがとうを言いたいな。

暑い毎日が続いてますが、
みんなが元気でありますように。

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