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人権尊重の視点に立った福祉政策の充実に向けて(2024年第1回定例会一般質問より)

福祉の公的責任を果たすために、専門性を持った介護指導職の職員体制強化を求めてきました。現状、地域では必要な支援が十分に受けられず日々暮らしている方がいらっしゃいます。今後ますます需要が増加する福祉サービスへの充実と民間事業者だけでは受け止めきれない困難事例への対応は世田谷区が公的責任を果たす決意を持ち体制整備をすることが必要です。

困難事例への対応のその後

【質問】
世田谷区内で、同居する家族が死亡した後もそのまま暮らしていた事件や老老介護の夫婦間での殺人事件が起きています。孤独死も増えているそうです。地域では、誰ともつながらず一人、または家族だけで孤立し暮らしていたことが、背景にあると考えられます。
昨年の決算特別委員会で困難事例とされる烏山地域の区民のケースを示し、関係機関から求められている福祉緊急対応の実施に向けた支援体制の整備を、続く第4回定例会では、福祉緊急対応の周知と運用を求めました。烏山保健福祉センター所長は「福祉緊急対応について、きちんと活用できるよう改めて制度を確認し運用を徹底する」としましたが、その後、実施されたのでしょうか?また、支給決定時間数を満していない状況でしたが、今は、十分な支援を受けられているのでしょうか。お聞きします。

【答弁】
ご質問の方について、福祉緊急対応については、ご本人に対し新たなヘルパーや相談支援の障害福祉サービスが先日追加されたところであるため、今の状況での適用は見合わせております。支給決定時間数等につきましては、ご本人のこれまでの経緯から福祉制度を円滑に利用することが困難で、ホームヘルパーの至急決定時間数を十分利用できていない状況にあります。
この方のような事例を含め、様々な理由により福祉制度を円滑に利用することが困難な方については、関係する支援機関がチームを組み、中長期的な視点に立ち、定年に支援を行い、生活の安定、生活の質向上を図ることが大切と考えています。
支援が必要な方の生活を支えるために、各総合支所の保健福祉センターが下記咸鏡道事業者と連携し、必要な場合には福祉緊急対応を活用していきます。今後、区民のQOLを高めることを意識した支援体制の強化と人員体制の充実を行うことによって隙間のないセーフティーネットを実現し、誰一人取り残ることなく、区民一人ひとりの地域生活を支えてまいります。

 福祉の職員体制整備への真摯な検討を

【質問】
これまで、福祉の公的責任を果たす必要性を指摘し、退職不補充を続けたことにより、介護指導職を5地域に1人ずつ配置出来ない現状の改善を求めてきました。支援の拒否が強いなど困難事例とされる区民を支援につなげるためにも、介護指導職が果たしてきた専門性の高い職員配置は今後特に必要不可欠になります。一朝一夕には実現することは出来ない福祉の職員体制を整える取り組みについて真摯な検討を求めます。見解をお聞きします。

【答弁】
家族の急病等による緊急対応や虐待からの保護等について、保健福祉センター保健福祉課は、関係機関とチームを組み、アウトリーチ支援や短期入所への措置などにより、地域で暮らす当事者に伴奏しながら、生活を支援します。
一方、不安定な精神状態にある方や支援を拒否する方は、福祉制度を円滑に利用することが困難な状態にあり、粘り強く対応していくために、信頼関係を構築しながらの支援継続が課題となります。
こうした方への対応を含め、区としては、ケースワーカーや保健師、開度指導職や民間事業者等によるチーク対応を基本として、専門性の高い支援ノウハウを継承し、支援者の心身の健康を守ることにも留意しながら、支援を行なっていきます。
今後、既存の福祉緊急対応の仕組みを積極的に活用できるよう検討しながら、福祉制度の利用が困難な状況にある方を含め様々な課題のある世帯の支援にも取り組み、関係所管が連携して、他機関協働による重層的な支援体制の構築を進めてまいります。 

緊急時バックアップセンターの人員体制の強化について

【質問】
区は、緊急な支援に対応するために、緊急時バックアップセンターを整備しました。地域を限定しモデル実施してきましたが、今年1月から全区展開になりました。1月からはモデル実施時の人員体制で事業を行い、4月以降は人員体制の強化を図る、としています。モデル実施により、ノウハウが蓄積され課題なども把握しているはずですが、現場職員の労働環境、有期雇用職員の契約更新の状況などを含め、4月からの人員体制の強化について、見解をお聞きします。

【答弁】
障害者の地域生活支援機能の強化については、英和4年10月1日より「緊急時の受入れ・対応」などの3機能を、北沢地域をモデル地域として試行を行い、令和6年1月より全区展開しています。試行期間の課題としては、潜在的なニーズを利用登録につなげることや、緊急時コーディネート体制の重層的な整備の必要性などがありました。
緊急時バックアップセンターは、利用者アセスメントや関係期間調整など、詳細について委託事業者と協議しながら実施しております。令和6年度は、全区展開による利用者増加への対応や換気入所施設等との連携強化を図るため、人員体制強化について事業者と調整しています。
委託事業者に対しては、区の公契約条例を踏まえ、適切な労働環境が確保されるよう伝え、職員が変更となる場合などは、支援ノウハウが引き継がれ事業が円滑に行われるよう協議、調整して参ります。
 

全領域の当事者参加の実現

【質問】
2022年9月の障害者権利委員会の勧告を受けて、区長は、「私たちのことを私たちぬきで決めないで」という言葉を引用し、インクルーシブ教育の実現や地域生活の支援などに取り組むことを明言しました。これまで繰り返し、当事者参加の徹底を求めてきましたが、各計画策定では、どのように実現されたのでしょうか。これからの当事者参加の取り組みは、例えば障害者は障害領域、子どもは子ども領域などと限定することなく、領域を超えた当事者参加の徹底を求めます。見解をお聞きします。

【答弁】世田谷区障害理解の促進と地域共生社会の実現をめざす条例では、障害者等が意思疏通等の手段についての選択の機会確保と自己決定権の尊重、自らの意思に基づき個性や能力を発揮することができる環境の整備等を定めています。
せたがやインクルージョンプランの策定にあたっては、事前のアンケート調査や障害のある当事者、家族、関係期間等が参加する協議会などから、丁寧にご意見を伺い、策定を進めてきました。
各計画に基づく施策の実施にあたっては、これまで以上に多様な区民の参加を検討する必要があると考えます。
次期世田谷区基本計画(案)の理念にある「参加と協働を基盤とする」や「多様性を尊重し活かす」をふまえ、当事者参加がさらに進むよう関係所管で連携して参ります。
                                以上



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