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一枚の絵から感じとる

 某大学医学部の今年(2020年)の出題です。設問は以下のとおりです(絵はネットで拾ってください)。ボクが作者のファンということもありますが(笑)、いつもどおり、とても良い出題でした。

Norman RockwellのThe Runawayです。感じたことを述べなさい。(800字)

 論文試験では設問の正確な把握が大切です。ここでは「感じたこと」を求めていることに注意してください。この大学のオープンキャンパスでは、毎年のように論文試験について、以下のことを強調しているようです。

無理に医学や医療に結びつけなくてもよい

 背後には、「医学部なんだから、とにかく医学や医療に結びつけなければならない」という思い込みが、受験生、保護者だけでなく指導者にまでも広がっている事実があります。もちろん、この絵も各自がしっかり感じとって、そこから深めたり、広げたりすると、医学や医療にもつなげられます。しかし、それが唯一のゴール(正解)ではなく、絵からいろいろなことを感じとることを出題者は求めているのです。

 それにしても実に良い絵であり、良い出題です。ボクも気持ちが動いたので、入試直後に一気に解答例や解説を書きました。ただ、それはオヤジの鈍~い感性でとらえたものなので、ここで紹介をしません。それより、まずは一人ひとりが絵をじっと見て、みずみずしい感性で絵の「良さ」を感じとり、ことばにしてみてください。そのためには、観察者ではなく、当事者として絵の中に入っていけるといいんだけど…ね(^^)

 この大学の学長さんの言葉がネットで紹介されています。高い学力に加えて、“心映え”や“仁”に秀でた人物がほしい…という思いを、今年の出題にも感じとることができます。

本学の学是は「仁」です。本学に集うものすべてが共有している“心映え”です。常に相手の立場にたって物事を考え、人間として、医学者として他を思いやり、慈しむ心“仁”を大切にします。医師はまず感性豊かな教養人であることの証しとして、本学で創立以来、大切にしているもの、それは“仁”の学是です。


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