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短編小説

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2022年1月の記事一覧

【短編小説】花屋の男の子とピンクのバラの花

男の子が好きになったのは、公園で泣いている女の人でした。 女の人は、夕方の4時頃、教会の後ろにある小さな公園にやってきました。 そこには遊具がなかったから、子供たちの姿はありません。 子供たちはいつも、遊具がある大きな公園で遊んでいたからです。 女の人は、水色のワンピースに、白いスニーカーを履いてやってきました。 いつものベンチに腰掛けて、目の前を流れる川をいつものように眺めています。 すると、少しだけ肩を震わせて、今日も静かに泣くのでした。 男の子は、女の人が

短編小説 | お父さんと、玉子焼き

子供の時、はづきはお父さんが大好きだった。 お父さんと外を歩くときは、いつでも手をつないだ。 お父さんが家に帰ってきたときは、すぐに玄関へとかけつけて、お父さんにぎゅーってしてもらった。 お父さんと一緒に寝た。 お風呂も一緒に入った。 お父さんがすやすや寝ている日曜日の朝も、遠慮なく叩き起こしては、一緒に近くの川に遊びに行ったりした。 お父さんはとても大きな存在で、お父さんがいれば何も怖くなかった。 「人はいつか死んでしまう」と知った日も、お父さんの布団に入った

短編小説 | ジーナさんと庭の花

ジーナさんは、一人で過ごすことが好きでした。 とくに、きれいな花が咲く庭の中で過ごしていると、嫌なことも忘れることができました。 庭にはテーブルと椅子があります。 よく晴れた日は、ときどき庭の椅子に座って、本を読んだり、日記を書いたり、物語を書いたりしたのです。 そして、ときどき庭の中を歩いては、花の様子を観察するのでした。 「この子は大きくなったな。」 「この子はもう少し水が必要かな。」 「また蕾ができている。」と。 花を見ていると、心がとても落ち着きました