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こまきさんの話

レディースの特攻服は胸元が見えるギリギリまで開けて着る。

大人は敵、ダチは味方。

ダチのためならタイマンはれる。鉄パイプは邪魔。使うのはメリケンサック。

最初に目をつぶせば、勝負はつく。

気合と根性。


っていうセリフは、

私からは一生、出ない。

族の頭の周りにいる

その他大勢の一人。

赤信号を突っ込む特攻でも、

ローリングして警察を足止めするケツ持ちでもなく

安全地帯を走るその他大勢の、単車の後ろに乗る一人。

高校の頃は、毎晩流し、土曜は集会だった。


元々は普通の女の子だった、と思う。

小さい頃は薄茶色の髪に、大きな目。

ちょっとぽっちゃりしてて

3番目にしてやっと生まれた女の子だったから

父親は、私をなめるようにかわいがってくれた。


小学校は放課後毎日、友達と外で遊んでいた。

勉強はちょっと苦手だったかも。

嫌な思い出が1つある。

母親が宗教に入っていたから、毎週集会や、お祭りに連れていかれること。

週末の予定は強制的に集会と決まっていた。

全然、面白くないし、つまらない。

友達には恥ずかしくて

絶対に言えない秘密だった。


ついでに言ってしまえば

生まれてからずっと

母親に抱きしめられた記憶もない。


中学校では、学校の勉強がますます嫌いになった。

サボりたい。

保健室に行くふりをして、サボる。

サボり仲間とだんだんつるむようになった。

最初は校内にいたけど、

どちらからともなく誘い合って

学校のフェンスを越えるようになった。


この世に、規則を守って真面目に生きる世界しかなかったならば

私はそこにとどまったかもしれない。

でも私には選択肢があった。

真面目に生きる世界と、

真面目からドロップアウトして楽になる世界があった。

友達に引きずられるように、私は楽な世界に入った。

友達のせいにしてるけど

本当は私の意思だ。

自分だけ、真面目な世界に踏みとどまることもできたんだから。

でも、友達のせいにする。

その方が楽じゃん。


勉強しないで、嫌いな母親からも逃げられた。

中3の頃には、髪の毛は茶髪になっていた。

制服も、校則からどんどんずれていった。

1人ではできないけど、仲間がいるからできる。

髪の毛は、真面目な世界の境界線を越えて

仲間の世界に入った証にもなる。


高校は地元で一番の底辺高に入り、

毎晩、旗をもって流す。

家にはほとんど帰らなかった。


パラリラパラリラ、ブォンブォンと随分うるさいけれど

ピーターパンのネバーランドと一緒だ。

あっちの世界に居場所のないひとが集まる世界。

家族と、勉強と、コツコツ努力を重ねることのない世界。

自分だけじゃない、逃げてきた仲間は他にもいるから

ネバーランドはなくならないし

そこで安心して生きていける。


夏のバイトが一番楽しかった。

海の家。

朝の6時には店を開けて開店準備。

毎日海の家で働いた。

海は、広くて

小さな私も包み込んでくれるような

やさしさがあった。

波の音を聞いていると安心する。


私は

朝日がのぼる海も好きだけど

月明かりが水面を照らす海が好き。

静かで。

波の音が穏やかで。

月が美しくて。

私はずっと眺めていたり、足だけチャプチャプして波を受ける。

本当は泳ぎたいけれど、

幼稚園のプールで溺れて以来

水が怖くて、

泳ぐことに挑戦できなかった。

頭の先まで

全部海に包まれて

波に揺られて

月明かりに照らされたら

どんなに素敵なんだろう

と思うけど。

思うだけにしている。


海は私の数少ない好きなもののひとつ。



高校を卒業してペットショップで働いた。

遊び癖はその頃もあって

職場で出会った友達と毎晩のように遊んだ。

友達が、ナンパされた男の車に同乗して事故って即死した時は

悲しいを通り越して

友達の家に謝りに来た加害者の男の胸を

泣きながら「返せ」と叩いた。


数年働いたころ、

高校の時から付き合っていた彼氏と結婚した。

告られたから、好きではなかったけど

付き合って

嫌いじゃなかったから

ずっと続いていた。

本当に「好き」とかわからない。

そのまま成り行きで結婚して

5年後に別れた。

旦那の両親と二世帯住宅を建てて一緒に住むことになったから。

旦那の両親が苦手で

二世帯で暮らすなんて、無理無理無理。

逃げるように離婚した。

元々好きじゃなかったから、別れても別に平気だった。


元ホストのことも書いておこう。

あいつは最低だった。

ノリが良くて、話が面白い人だった。

付き合おうと言われて

別に好きじゃないけど付き合った。

嫌いじゃなかったから。

彼は常に金欠。

パチンコ大好き。

お金がないから、家賃を浮かすために誘われて

同棲した。

パチンコ代を私に払ってほしくて

私をパチンコに誘って

二人でパチンコを打った。

彼氏は私を束縛して

ときどき殴る。

私はときどき、血を流す。

友達もいなくなった。

毎夜毎夜、たばこの煙と騒音の中

彼氏とパチンコを打つ。

仕方ない。

高卒の私には

こんな人生しか歩めない。


気付いたら私は

30代を過ぎて40代になっていた。

貯金はない。

そして彼氏に借金があることが分かった。


そこで、やっと

いい加減、

この人生、なんとかしたい、と本気で思った。


中学校の時から

流されるまま、

どうでもいいや、

と思って

文字通り、どうでもいい人生を送っていた。

人生の折り返し地点を通り過ぎて

ようやく

私は自分の意思を持って行動することを決める。


彼氏から逃げて

新しい人生を歩むのだ。


引っ越すお金がないから

パチンコで稼いだ。

その時ばかりは不思議と勝てて

半年で100万円貯めて

2匹の猫と一緒に

私は元ホストの男のアパートから逃げた。


新しい生活の中で、自分の生活を何とかしたくて

心理ビジネスの資格を取った。

しかし、働いていた医療事務の仕事は

医院長の奥さんと仲互いして実質的な首になった。


それが今年の3月。


振り返って、どう思いますか?

棺桶に入れられる、キラキラした話なんて

私の人生にありますか?


ないよ。


ないんだ、今のところ。


だけど今、やっと自分の人生を変えられるかな、と思って

勉強している。


ちょうど無職になって

私に何もなくなった今年の3月、

偶然、小田真嘉というひとがYouTubeで

「仲間と一緒に、人生を変える冒険に出ませんか」

と言っていた。

「私なんか、なんのとりえもないんですけど...?」

っていうコメントの質問には

画面に映るメンバー全員で

「大丈夫です!」

って答えていた。

「3年間引きこもっています」

っていうコメントにも

画面に映るメンバー全員で笑顔で

「大丈夫です!」

って答えていた。


とにかく小田真嘉さんっていう人が

熱くて

画面に映っている仲間らしき人たちが

ニコニコしていて

白い光に包まれてキラキラしていた。


私も、熱くなって、

そして

そのキラキラした光に包まれたいと

光に向かって歩みだしたい

と思って

考えるより先に

その場で講座を申し込んでしまった。


今、私はネクストディネイションという小田さんが講師を務める講座で、人生を変えるために勉強している。

もう一人の講師の新田さんは、元京都大学生。

はっきり言って、新田さんの話は

頭の悪い私には理解不能。

小田さんの話も時々わからないし

心からうなずけない部分もある。

でも、がんばってくらいついている。


講師の2人はとても遠い存在だけど

一緒に講座を受けている仲間が

落ちこぼれの私を助けてくれる。

ほとんどがオンラインでしかつながったことがない。

でも、月100万、200万稼いでいる人たちが

惜しげもなく

私に丁寧に、優しく教えてくれる。

大変で逃げ出したいけど

仲間が宿題を出してくる。

来週待ってるからって。

ありがたすぎて逃げられないよ。




あの頃つながっていた仲間と比べると

物理的な距離は遠いけど

今の仲間の方が

好き。

今の仲間といる自分の方が好き。


自分が好きになったのは

仲間のおかげもあるけれど

あの、最低男から逃げて

自分で本当の人生を歩みたい、と

自分で決めて行動した自分がいたから。


もう、本当にやりたいことを

あきらめることはしない。

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月が照らすキラキラした海

目の前に大好きな海があるのに

私は

何年も

何十年も

泳ごうとしなかった。

海に全身を包まれたなら

きっと

人生が変わるくらい

幸せに包まれると知っていたのに。


今度こそ、

わたしはあきらめない。


そして、

いつか、水の恐怖も克服して

月夜の海を

泳ぎたいな。



私の棺桶に入れられる話は


まだない。


だけど、

これからだと思っている。


私と同じように

棺桶に入れられる話が

まだない人が

いたら聞いてほしい。


死ぬまでに

まだ

時間があるし、

死ぬまでに

あきらめないで

棺桶に入れられるくらいの

キラキラした一瞬を

一緒に

作ってほしい。


ちょっとでも、

キラキラした思い出を

棺桶に添えられるように

自分自身と、

自分の弱さと、

今まで逃げていたことと向き合って

幸せや

(私はまだよくわからないけど)

愛ってやつ?

(これも、まだ知らない)

に向かって。


・私がサボらないか見張ってくれる人

・応援してくれる人

・一緒に頑張る人

こまきさんのTwitter



以上がこまきさんのお話です。

こまきさんとはオンラインでしかつながったことがありませんが、明るくて、話し方に素直さがにじみでている、そんな方です。

本当は、こまきさんの気付かないところに、キラキラした過去があるんじゃないかな、という気もしましたが、

こまきさんと相談しながら、今回は

棺桶に入れる話はない、という結末にしました。

私もこまきさんと一緒にがんばる一人です。

そして、

いつか、

こまきさんに新しいキラキラした物語が生まれた頃、

こまきさんの棺桶に入れたいお話を

改めて書きます!!


だから、こまきさん、

私に必ず連絡してくださいね!!

絶対!!



私は、たくさんの方と一緒にその方の棺桶に入れたい話を書いています。

興味のある方はこちらの記事も読んでみてくださいね。

一人目の主人公 星野太一さん

二人目の主人公 中村慎太郎さん


最後までお読みいただきありがとうございました。





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