『なんで先生はすべり止めを勧めんのかなあ』
なんで先生はすべり止めを勧めんのかなあ
これは大学受験をひかえた
息子が言った言葉だ
今のところ彼の成績は
志望校のそれには難しい状況らしい
受験間近の懇談で 先生が
当然 すべり止めの話を切り出したわけだが
それは考えていないと言ったら
驚かれたという
先生同様
正直 親として心配してしまったが
妥協した選択はしたくないからと言われ
我が子ながら自分で考えているんだなと
納得させられ 信じてやらねばと反省した
非行少年たちをあずかり伴に暮らしていた頃
毎年この時期になると
中3生の進路の話が本格化したものだ
以前とは違い そうした施設でも
就職は減り 進学する子が増え
すべり止めをどこにするかという話も
やはり常識となっている
だが入学しても
すべり止めをしてまで高校に身を置くことが
目的だったはずなのに
入ってみて こんなはずじゃなかったと
やめてしまうことが多い
だから私は
この時期の進路の話では
進学したいという子に対し
何で高校行くの?
ホンマに高校でしたいことあるん?
と聞くようにしていた
みんな違ってみんないい ではないが
多様性や個性への理解が高まっているものの
高校くらい出ておかなければという
みんなと違ったら不安という“信仰”は
まだまだ一般的で
前述のような悲劇を生むことも少なくない
他人との比較やプライド、体裁も同じだろう
子どもは本当にしたいことや
自分自身の生の意思と向き合えているだろうか
そして大人も
子どもがみんなと違うのを
特に我が子に関しては
恐れてはいないだろうか
本当の彼らの意思を尊重する接し方を
できているだろうか
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