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スケベ心

一時、合コンで王様ゲームにハマっていた時期がある。幾度となくゲームをして分かったことは、王様ゲームというのは「とても難しいゲーム」ということだ。

誰もが憧れる王様、どんな命令でもできる王様。しかし王様が出す命令は自分の欲望だけでは決して上手くいかないようにできているのがこのゲーム。欲望だけでは民衆の心が離れてしまうのだ。かといって場の空気を読んだ命令だけをしていても白けてくる。このゲームには絶妙な命令のステップアップが求められるのだ。

だが、この命令のステップアップというのが曲者で、王様一人で場をコントロールしようとすると、国は崩壊に向かっていく。一度何の脈絡もなく「王様がAさんのおっぱいをわしゃわしゃする」という命令を下した独裁者がいたが、みんなからご乱心扱いをされて、隅っこのほうで一人で飲むという島流しの刑に処される羽目になった。

だから命令のステップアップをする時には必ず味方が欲しいところ。できれば味方は異性がベストだ。異性を一人だけ味方に加えることができれば多少厳しい命令でも通る確率が跳ね上がる。

だから、王様ゲームを始める時は、味方選びから始まるといっても過言ではない。では、一体どういう子を味方に引き入れれば良いのだろうか。

合コンというのは様々なタイプの子がくる。小悪魔っぽい子、お母さんみたいな子、お嬢様タイプ、天然系の子、薬中、ゴリラなどがオーソドックスなところだろう。

この中からどんな子を選べば良いかというと、それは「明るいオサセ」である。大体こういう子を選んでおけば大丈夫だ。ポイントは「明るい」という部分。陰気な奴はグループ内の発言権が弱い場合があるし、プライドが高いやつが多い。その点明るいオサセはちょっとオツムが足りないから、楽しそうだったらオッケーなのである。逆に明るいオサセがいない合コンというのは多分王様ゲーム自体ができないか、盛り上がらないだろう。

だから、何よりもすべきことは明るいオサセと仲良くなることなのだ。また、仲良くなるというのもパターンがあるが、相談にのるようなやり方は今回は向いていない。あくまで楽しい気分になってもらうというところを目指すのだ。

だからやり方としては男二人にオサセ一人のスリーマンセルを組むのがベストだ。オサセにエッチな話を放りながら、酒のピッチを上げる。これで良い。

だが、問題なのはこの時にスリーマンセルを組んだもう一人の男なのだ。こいつが裏切る可能性がある。こっちが細か細か耕してきた畑を、根こそぎ持って行ってしまうのだ。そう、したり顔でオサセに近づいて囲い出すのだ。

囲われてしまうと、こちらはスペースシャトルで切り離されたブースター部分と同じで宇宙にただようただのゴミ。スペースデブリと化する。

デブリが何を言おうがもう女性たちには届かない。そしてこのまま王様ゲームが始まろうもんならもう最悪。ご乱心に走るしか道はないのだ。

だが、ここで引き下がって島流しの刑になるのだけはなんとしても避けたい。ここが勝負どころだ。

誰かがキスを成功させたら、それに追従する。
「え?じゃあ俺も??」
この作戦しか残されてないではないか!

しかしさすがに女性は勘がするどい。
こちらのスケベ心を見透かしている。

「う~ん、キミはダメ。」
なんでじゃー――――――!!!

良いではないか!良いではないか!

王様ゲームというのはとても難しいゲームである。

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