空を見上げる生き物 10 saku381 2020年5月24日 21:08 星が山の端に沈もうとしている逃さないぞ 月みたいな星が撮れた 空はいつもそこにあったから空を撮った 空はいつも広かったから空を見上げていた 1番簡単な1番つまんない誰にでもできる1番普通なこと取るに足りないどうでもいい行動 空ばかり見ている空ばかり撮っている自分 取るに足りないことしかできない 空はどこにでもあるものではなかった 窓のない部屋に空はいなかった 空を見るのは普通じゃなかった 見たいときに空がそこにあるって普通なことじゃなかった 植物と電気の設備に区切られて見上げる空はまるで地球を見下ろすよう 逆光の赤いバラは心の瞳だけに赤い たくましい送電線は人類にこの瞬間も血液を送る イバラ 放電 垂れこめる雲 馬の蹄の響きが遠く 伝説は巡る 時代に姿を変えながら 水田の中の雲 水田の中から射す夕ひかり 落ちる雲は伸び上がる雲 沈みゆく陽は 足元を照らす灯 雲に呼吸を合わせられないかと思う 雲に呼吸が合わせられたら 地球の心持ちになるだろう 7万年前の地球の空に似てるかもしれない 7万年前の地球の空に電線は写らない 雲の形に意味を求める 空からの声を聞き取ろうと耳を澄ます ささやな発火は止まない 10 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート