今日を向かう 11 saku381 2020年5月21日 22:17 毎朝毎朝 目が覚めると目にも耳にも世界は遠い うすらほんのりとぶれている つまりはしょうがいしゃのメモリがいや増しているのだ それが何か? だってみんなも太陽をくっきり目視しないでしょ? いやそういう問題では 今日の流れに乗って行けば流れは蛇行したり まっすぐになったり 障害物に出会ったり 突然陸に上がることになったり 初めての場所はいつだって怖い 素敵でも美しくても感動的でも気温湿度日差し風速申し分なくてもこわい ここの住人しか知らない事情を知らない限りは ありえない急転直下に闇が下りて来るとか 突然日差しが跳ねるとか 怖いのになぜ行く 優しい木に出会えるかもしれない澄み切った時間の痕跡に立ち会えるかもしれない互いの誤解が解けるかもしれない 目にも耳にも世界が遠くなればなるほど 引いていく世界に歩み寄る 世界は一律に遠ざかるわけではないと勘違いがなくならない限り 重い月日を凝らせて佇む建築 傍らで今を伸びる樹々が踊る いつでも白壁も繊細な瓦屋根もテラスも石垣も木々は舞踊に取り込もう 愛着は凶暴な大自然に飲み込まれない貴重な威力だ 端正 邪への屹然たる意志 丹誠に暮らしを営む街を抜け 剛毅な花崗岩 圧倒されて木っ端みじんになりながら橋を渡れば 緩く真摯な朴訥として抜け目ないセイカツたちの風景 その彼方の塔に私は何を掲げよう その彼方の塔に世界は何を掲げる 11 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート