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巡り巡って

ラッキーにも現在、指揮活動ができている夫は、振り返ってみると普通には考えつかないようなことをたくさんやってきて、もちろん失敗や辛いこともあったけど、
たくさんの素晴らしい人たちに恵まれて、お陰さまでここまでやってこれた。

高校3年生で指揮者になりたいと両親に告白し、何の準備もなく無謀にも桐朋学園の入試を受け、面接で、かの斎藤秀雄先生に指揮者になるためには何をどう勉強したら良いのか必死の思いで尋ねた。

(なんと畏れ多い!よくもそんな無謀なことができたものだと呆れるやらちょっと羨ましいやら。)

その後、東京で浪人生活に入る。
紹介して頂いた音楽教室に通い、英才教育を受けている幼稚園児たちと一緒にソルフェージュや聴音のレッスンを受け、ピアノとコントラバスのレッスンにも通った。

挫けそうになりながら夢の実現に少しでも近づこうと、相当な努力をしたのだと思う。

そして何より、無知な19歳の青年を受験できるまでに育ててくださった先生方のご尽力はいかばかりだったかと!



それから50年経って…

そんな昔の夫に似た、無謀な高校3年生が一昨日、私の目の前に現れた。

高校生になってからコントラバスを始め、つい最近までは普通大学を目指していたが、急に音大に行きたいと言い出したようだ。

夫は卒業してから音楽を始めた。
この高校生はそれよりは1年早い。

音楽を敬愛し、憧れを持ち、それに向けて努力を惜しまない。

こちらが発する言葉に一々感動し、目をキラキラさせて全身で感じ取ろうとする。
感性の塊のような身長186センチの大柄な男の子。

かつて、何も知らない夫を手厚く教えてくださった先生方のように、
私もこの高校生を育てる一員になれるよう頑張らなくては!



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