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誕生日、そして歓喜の歌

きょう12月10日は娘の誕生日。
毎年この日は娘に感謝の気持ちで胸がいっぱいになる。

1993年2月、インフルエンザ脳症で倒れ数日間入院していたが、
“すぐに戻る”と約束をして、
長男は3月10日に息を引き取った。

そして9ヶ月後。出産の予定日は12月24日だったが、2週間も早く娘が生まれた。

娘が生まれたその日、夫はその頃所属していたオーケストラで大阪の南にあるT市の合唱団主催のベートーヴェンの第九の演奏会があり、コントラバスを演奏していた。

そして今日、奇しくもその合唱団主催の第九の演奏会に指揮者として呼ばれた。
30年前と同じ日、同じホール、同じ合唱団。

今日の夫の指揮は、あの日の喜びと、娘への感謝と、偉大な第九を演奏できる感動に全身が包まれて、背中に大きな羽根が生えているようだった。


今日という日は、産んだ私にとってももちろん大切な日なのだけど、
夫にとっては私以上に、大切でかけがえのない日なんだろうと思う。

本番を無事に終え、お祝いご飯を食べ、帰宅してすぐに夫が
「お祝いに歌を歌う」と言い出した。

娘はなんやの〜?と笑っていたが、
実は先月から誕生日に歌うと決めていた歌があった。

私が初めてその歌を聴いたのは先月上旬。車の運転中だった。
助手席で突然歌い出し、そのメロディと歌詞にヤラレた。

運転を誤りそうになったほど感動したその歌は、なんと、学生時代に作ったという。
我が子への愛情を訥々と語る歌。
娘は目には大粒の涙があふれた。

「私、生まれてきて良かった。」
ひとしきり涙を流して間もなく、
「それにしても、これを学生時代に、しかもどんな人と結婚するかもわからないのにこんな歌を作ったなんて、笑ける〜!」
と言って笑い出した。

こっちこそ、
生まれて来てくれてありがとうね。
どうか幸せな30代になりますように。








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