ナスターシャの悲劇

私はナスターシャは死ぬ結末しか無かったように思える。ナスターシャとはドストエフスキーの小説「白痴」に出てくる登場人物だ。

彼女は苦しみを味わってきた。幸せになりたい、幸せになりたいと日々思っていたに違いない。しかし幸せを掴めるチャンスに遭遇するといつか無くなるかもしれないと避けたり、

絶対幸せになれないと決め込んだり、幸せになれそうな相手を選ばずに危ないかもしれない相手のところに行く。彼女は不幸が案外幸せだったのかもしれない。

不幸が通常状態なため幸せだと逆に苦痛でこれから私死ぬかもしれないなどと不安になってしまう。苦しみから解放されるためには死が必須であったし、ロゴージンから殺されなくとも自死していた可能性もある。

彼女は一生苦しみから抜け出せず、そして悲劇を求め続ける人だった。幸せはこの世に存在せず、ただ苦しみを断ち切るしか方法は無かったのである。

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