見出し画像

「資格のため」だけに習うピアノは、つらい

 私の教室で教えてきた生徒さんの全員が、うまくいったわけではありません。特に、保育のピアノを習いに来た方では、うまくいった方、そうではない方が顕著に分かれてしまいました。

 学校の試験対策までしたのに、やめてしまった生徒さんたちの中で私が感じることがあったのがタイトルのようなことでした。

 大学に合格してから習いに来た人は、バイエルはなんとなく最後まで行きました。が、いつも自信なさそうに下を向き、弾き歌いの宿題をレッスンした記憶がないほどでした。
 以前、教室の弾き合い会に出てもらったとき(試験が近いため、リハーサルで出たらと伝えた)、その子が直前まで「やだやだ弾きたくない」とブツブツつぶやいていたと別の生徒から聞き、「何がそんなに嫌なのだろうか」と悩んだことがあります。

 この生徒は結果から言うと、試験が終わった途端急に休むようになり、月謝滞納のまま半年間スルーしたので私が破門しました。
破門の手紙を書くのはとても気分が悪かったです。
彼女は私が試験対策のレッスンをしたことを活用できたのか、卒業できたのか、保育の仕事についたのか別の仕事についたのか分かりません。

 高校3年から来た人で、短大1年の時に
「保育士になりたいかどうかわからなくなった」
と急に言い出して辞めた人。
この人は欠席の連絡がお母さんから「アルバイトが入ったので」というお電話でした。ピアノのレッスンがあって、趣味じゃなくて学校の授業の補充なのになぜそこでアルバイトのシフトを入れてしまうのか、私には理解ができませんでした。

大学1年生の時1年間うちに来ていた人は、
「小学校教員の資格を取るため、学童のバイトをはじめるのでピアノに来る時間がなくなった」
といってやめていきました。
彼女は夏休みの8月のレッスンを3週間休んでいました。ここで一番伸びるはずなのに、そういうことがわからない。器用なのでそこそこ課題はこなす。
だから大丈夫だと思ったのか、教員だったらそんなに弾けなくてもまあいいかと思ったのかは分かりません。


 思うに、この人たちの共通点は

「ピアノが好き、興味がある、というところまではいかなかった」

こと、

「単位が取れることが目標だった」

のではないかと今は感じています。


 でも、いやいや弾く自信のないピアノをこどもたちが聞いても楽しくないんじゃないかと思うし、せめて楽しいと感じさせてあげられなかった私の力不足かなぁ、と、同業の友人にこぼしたところ

「そこまでさきこ先生の責任ではないと思うよ」
「人の気持ちってなかなか変えられないよね」

という返事がきました。


 すごく上手になれなくても、楽しいな、習ってよかったな・・・と思え、現場に出たときに活かせるようになるにはどういうレッスンをしていったらいいのか。今でも悩んでいます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?