大人のインスタントな恋について

感覚だけがガツンと降りてきて
脳と手を直結して手を動かしている

どこに向かうのか、何を残すのか
ちょっとまだよくわからない

例えばの話だけれど

恋に多くの要素は必要ない

多くを知らせたり、知る必要は無い事を
この時代は教えてくれた気がする

顔が見えなくても
名前を知らなくても良い

想像を掻き立てるその人のピースと
自分へ向けられた思いの断片が言葉になれば

耳にさえも届かなくても

真っ白の上に真っ黒
無機質に並ぶ画一的な文字の羅列で

それだけでも十分なんだ

年を重ねて、小さな、些細な言葉から
心情とか背景を想像できるようになる

勝手に増幅された誰かに
自分勝手に思いを寄せて

大好きな苦いコーヒーと
聴き古した心地よい音楽と一緒に
自分の中だけに心地よい記憶として折り重ねていく

全てを委ねあったり
さらけ出したりしなくていい

時々くっついては離れ、日常に戻る

表現には時間をかけるのが理想だ

相手の心地よさをできうる限り想像して
受け取ってもらえるだけの大きさ、形に切り取って

ネットの海に流すだけ

きっと届く、自分の思っている通りに

応え合わせを楽しむのも、一興だから
気持ちのかけらを散りばめて
出せる限りのとっておきを言葉に載せて

言葉遊びは楽しい
でも、気持ちで遊ぶわけじゃない

具体的には、何も始まらなくていい
始まらなければ、終わることも無いから

インスタントな恋は心地がよい

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