3年半と、内田篤人という人

2014年のW杯敗退時にブログに書いた記事です。
今回内田選手が引退するにあたり、こちらに載せてみます。どこかの誰かの目に届きますように。

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日本敗退してしまいました。

個人的に今回の大会の選手たちには一番思い入れがあったので、脱力感たらないです。
自分でもこんなに気力が下がるもんかと正直辟易しています。
2011年のアジアカップのメインだった選手達が、本田、長友、岡崎など、同級86年生まれが多かったことから熱を持って応援するようになり、案の定塩系のイケメン内田選手にも絆され、顔じゃないんだよ!と言いつつも、正直それも大きかったことは否定しません。(いわゆるウギャル)
思えば長友選手のインテル移籍を一人でカウントダウンしたり、CLのインテル対シャルケをまだ夜も明けない朝4時から一人パソコンで見守ったり、シャルケの試合を見ているうちに段々チームにも愛着が出てしまい、毎週末ブンデスの試合を楽しみにするようになったのも、全てこの3年半の話です。
おかげでノイアーやらドラクスラーのファンになり、ドイツ代表まで応援する始末。
サポーターと言う程ではないにせよ、勝ち負けで毎週一喜一憂するのは楽しいけど疲れますね。

丁度インターンでスウェーデンに住んでいた2011年末、週末を使ってドイツに試合を見に行こうか?と思ったこともありましたが、あの頃はまさに内田選手がこの4年間で一番不遇だった時期でした。
彼の平静を装った強がりなコメントを見るたびに落ち込むので、しばらくチェックしなかったり、(いま思えば本心だったのかもしれませんが)情熱大陸に特集されたものをみて、藻掻いている姿にハラハラしたり。
でも自分に重なる部分もあったりして、勇気をもらったような気もします。大学院を出てから、英語もろくに話せないのに海外に挑戦したのも、多少内田選手の影響がありました。

そんな感じで去年の夏、10日間の長期休暇でうまいこと日程が合わせられたので、シャルケ対レバークーゼンの念願の生観戦に行ってきました。
そこで、テレビで見る以上のスタジアムの熱狂っぷり、熱気に圧倒され、でもそれ以上にテレビと一番違ったのは、内田選手の闘志が剥き出しというか、だだ漏れだったことです。
全然クールじゃなかった。闘う人でした。
何度もサイドを上下に駆け回り、中に切れ込んだり、危ない所では顔を出し、脚を伸ばしたりタイミングを合わせて頭でクリアする内田選手を見て、
なんかもう泣きそうだったことを覚えています。
ほとんど(勝手に)保護者のような目線で、あの大きな大きな満員のスタジアムの上から手に汗握って応援していました。
個人的に意外だったのは、自分が普通にすべての選手を目で追っていて、サッカーを楽しむという意味で非常に良い体験でした。
彼が移籍してもまたあのチームを応援しにいきたいと思うくらいに。

W杯の3試合、負け越した中で、内田が凄く良かったと言われています。
確かに、頑張ってる姿を見せるのは格好悪いとか、中2病みたいなことを言っている(すいません)普段の彼からは想像もつかない、私があの日VELTINS ALENAで見た、闘志だだ漏れで気迫の塊みたいな内田選手でした。
誰よりも、どんな方法でも良いから勝ちたいという気持ちが伝わって来て、遂に代表でもこの姿が見られたか!と思う反面、
あまりに鬼気迫る感じに、もう終わってしまうのではないかとも思いました。(8年前の中田みたいに)
さっき代表引退(辞退表明?)を示唆、とニュースで見て、それを聞いたらなんだかいろんなことが腑に落ちました。

正直、それもありだなと思います。

あの人は多分、代表より、高いレベルで試合をすることに喜びを覚えてしまった。
ただ上手くなりたいという一心で、代表とクラブを掛け持つことが自分にとってプラスなのか悩んでしまった。
勝手にそんな風に解釈しています。
今大会のコメントを見ていても、一人違う次元でものを見ているんじゃないかととすら思えた。

3年半サッカーを見続けたのに、驚く程ゲームを見る力はつかないし、バックパスルールなんて今大会で初めて知ったし、ブンデスリーガ以外の選手は相変わらず全然知りません。
それでも知らない内に、たくさんのものを貰っていたことに今更ながら気づきました。
特に、心底嬉しい、と思えることがなかなか多くない人生の中で、たくさんの嬉しいを与えてもらいました。

「サッカーは仕事です。」
そういい切るスタンスが好きです。
夢のないこと言うな、とも思えるけれども、
仕事だからこそ、『勝利』という責任を負わなければならない。
それを誰よりも頭で分かっていた選手なんだと思います。
日本は負けてしまった。
残念で仕方ない中で、内田選手を応援していて良かったと心底思えた大会でもありました。

代表に出なくなっても、シャルケじゃなくなっても、ずっと応援したいです。
お疲れさまでした。
ゆっくり休んだら、またリーグ戦で魅せて下さい。

疲れるけど、もう少し、一緒に一喜一憂していたいです。


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