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心の中に土足でズカズカ上がりこんでくるカニ飯

例年通り、母の故郷からカニが届いた。

この毛ガニが来た時に必ず作るカニ飯というとこうだ。
身を剥いた後の殻を酒の入った水で煮出す。こうして出来た蟹出汁に醤油や生姜で味をつけて飯を炊き、炊き上がり直前にむき身を入れて、蒸し終わった後かき混ぜて完成。

この定番のカニ飯も良いのだが、昨日は忙しかったので大幅に手順を省略したかった。まず蟹出汁には味を付けずに飯を炊く。匂い消しの酒や生姜も入れないので加熱するにつれ、部屋にあられもないカニ臭が立ち込める。凄いカニ臭いがまぁいい。カニなんだから。

飯が炊き上がったらあつあつを茶碗によそい、ドカっとバター、それからむき身をたっぷり乗せ、食べる直前に醤油を回しかけ海苔を振ったら完成だ。

両鼻孔をグイグイ攻めるカニ臭とバターのいやらしい香りのハーモニーがたまらない。こんなの問答なしに旨いだろう。夢中で飯をかきこみながら、これからは美味さの為なら品格やルールなどかなぐり捨てていきたい。そう強く思った。

蟹味噌とむき身に日本酒(料理用のではなく一等旨い日本酒)と味噌を混ぜグリルで焼いた甲羅味噌。酒のための物だが、これで食べる白米もいい。


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