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犬に噛まれる

先日、暗くなりかけた夕方買い物途中に、犬友のご夫婦に出会った。
ちょうど愛犬を夕散歩に連れて出られる時だった。2頭のワンコは私も見かけて、なでなでも何度もしていた。2頭ともミックス犬だが、見た目は甲斐犬に似ていて、いつも静かに歩いている。保護犬を引き取って育てておられるようだった。
その時、私は一人だった。
いつものようにご夫婦と挨拶をして、1頭の犬がいつものように私のそばに来た時・・私は「うちは今日、散歩終わったんですよ・・・」と言い終えるか、終えないかのうちに、掌の端に痛みを感じた。
見ると、針で突いたような出血があった。
「イタぁ!」思わず私は声を上げた。

「うわぁ、大丈夫ですか?」
「噛まれました」と私。
「どうしょう・・・」
「今日はちょっと興奮気味でした。ああ〜」お二人ともあわてておられる。
「そんなに出血していないし、まだ買い物もあるから大丈夫です、大丈夫です」とその場を去った。すぐそばのコンビニで買い物をするついでに「傷パワーパット」を買ってレジ横で早速貼った。すでに血はじわじわと出ている。手は動くし大したことはないだろう。しかし痛いのは痛い。

愛犬マドちゃんは他人様こそ噛んだことはないが、私はいまだに噛まれる。
が、それは甘噛みであった。今回でよくわかった。
子犬の頃は噛んで乳歯が折れたこともあった。飛び上がって噛み付くこともザラ。噛み噛みエブリディ。成犬になった今でも手や腕に歯形がつくほど噛み、血が滲んだことも数え切れない。その度にボコボコにしてやるが、元の木阿弥。

犬に噛まれ慣れている私でも、猟犬系のマジ咬みは痛い。
ほんの1ミリ足らずの咬み傷だが血管に届いているのだ。なんたる破壊力だろう。
パットを貼ったら、帰宅して、晩ごはんの用意もできたし、夕食も変わりなく食べられた。ただ、ビールを飲むと出血がジワっと出てくる。
「ああ、アルコールが血の流れを早めているんだなぁ」と変に感心していたら、インタフォンが鳴った。
噛んだ犬の飼い主ご夫婦が謝りに来られたのだ。
「いやぁうちの犬もこの辺りでは札付きの暴れ犬ですから、お互い様です。いいですよ。もうこれでなしにしましょう」と私は言ったものの、ご夫婦は平身抵当、謝られて、頭を下げられたままである。
「犬のしでかしたことですし、うちの犬もどれだけ外で暴れているか」私は続けた
「明日、また来ます。どうかお医者さんへ行ってください」
「はい、わかりました。ほんと大丈夫ですよ」

どうか、皆様、むやみに犬に近づかない方がいいです。
ついつい可愛いから触ってしまうし、慣れたワンコだと思っても相手は野生。
愛犬マドちゃんだって、たまたま誰も噛まないでこれたのである。
マドちゃんは自分を可愛がってくれる人を見分けている。散歩の時そんな人たちに会うと尻尾をちぎれんばかりに振ってぶつかっていく。
犬好きな人たちは大喜び、マドちゃんも大喜びだ。
こんな交流で飼い主の私も楽しませてもらっている。
そんな時にふと「噛んでしまったら」。
犬には悪気はない。ただ、ただ生きるための突進なのだ。
それに飼い主は止めようがない。
写真はマドちゃん。私一人の時でよかった。
今回、もしマドちゃんが噛まれていたら、私は相手の犬を蹴り上げて、血祭りに上げていただろう。

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