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赤い抱擁


今年の11月は小春日和の穏やかな日が多い。
「最高気温24度でも小春日和と言えるのかな?」
そんなことをふと思った11月19日、私はひとりの女性に思いを馳せた。この日にルビー婚式を迎えた山口百恵さんだ。40年前、赤坂の霊南坂教会で百恵さんは結婚式を挙げた。清楚なウェディングドレス姿の百恵さんを、私はテレビ画面越しに熱く見つめていた。

年の離れた従姉が百恵さんの大ファンだった。彼女の影響で、当時小学生だった私も自然と百恵さんを好きになった。従姉に連れられて、主演映画を映画館で鑑賞するのが楽しみだった。その記憶のせいか、私の脳内メモリー前半は「女優・山口百恵」だ。テレビドラマでも成功を重ねた。『赤いシリーズ』の大ヒットが有名だ。しかし一転して脳内メモリー後半の彼女は歌手一色。おそらく『ザ・ベストテン』の影響も大きい。特に『プレイバックPart2』が好きだ。目線、表情、振付け、歌唱、全てがカッコいい。

緑の中を走り抜けてく真っ赤なポルシェ

Aメロ1行目で心を鷲掴む。補色のコントラストが鮮やかに疾走する世界観。最高だ。この名曲を赤色のステージ衣装で歌う百恵さんが印象に残っているので、百恵さんといえば赤のイメージを抱く。

*  *  *

そんな私が毎晩毎朝、手に触れる赤い革製品がある。2019年12月に原宿で買ったトラベルトレイだ。レザー専門オンラインストア・スナワチが定期的に開催する「POP-UPストア原宿」で見つけた。黒、青、赤、キャメル、チョコブラウンのカラーバリエーションの中で、珍しく私は赤を選んだ。「珍しく」と形容するのは、それまでに購入したスナワチの革製品はほぼ全て青、キャメル、ブラウン系で占められており、赤色は初めてだったからだ。普段のファッションも圧倒的に青やベージュ系が多い。だからその時も、チョコブラウンあたりを選んでいてもおかしくなかったのに、このアイテムに限っては赤一択だった。

サブリミナル効果ではない。ポルシェに比べれば大幅サイズダウンだ。でもどこかシンパシーを感じるので、百恵さんオマージュを捧げながら、私とこのアイテムの日常を紹介しよう。


『赤い運命』的に出会ったこのトラベルトレイ、その名の通り「旅先で使うトレイ」が商品コンセプトだが、サングラスなどを収納するケースにもなる優れものだ。名前に従い使用機会を旅行中に限定すれば、私は年に1、2回程度しか使えない。

盆と正月か。

そこは実用性重視で毎日愛用する。「エブリデイトレイ」に改名すべきか。実際はトレイではなくケース使いがメインだから「エブリデイケース」だ。でも心情的には『赤い絆』に近い。なぜなら毎晩枕を共にする関係だからだ。いや誤解しないでほしい。ここで妄想が膨らむと『赤い疑惑』になりかねない。

真相はこうだ。就寝グッズの①ガラケー(アラーム使用)②スマホ③デジタル体温計(職場報告目的)、以上3点をセットし、就寝時、寝室までの「移動ケース」として使う。就寝以降は「メガネケース」、起床以降は「ガラケーケース」として機能する。つまり夜は枕元でメガネをハグし、昼はデスクでガラケーを包み込む。そんなケースだ。これじゃ「エブリナイト&デイケース」ではないか。もはや山口百恵からアル・B・シュアー!へ華麗なる転身だ。まぁそんな感じで毎晩毎朝の移動時、私はグッズ①②③が落ちないよう、胸に抱えるように運んでいる。

華麗なる転身といえば、9月の君の変身ぶりは見事だった。大阪ツアー敢行時、滞在先のホテルで私の大切な小物を守るようにしっかりと受け止め、トラベルトレイとしての務めを立派に果たした。

まさに『赤い衝撃』だった。

それくらい新鮮で、日頃ケース運用しかしていない私には頼もしい姿だった。でも大袈裟でなく、最高の素材を使った包容力抜群の革製品がスナワチには溢れている。オンラインストアとして2015年に開業し、2018年からは実店舗「大阪ストア」も開店。元電通コピーライター・前田将多社長の巧みなビジネス戦略、専属クラフトマン・後藤優太さんの匠の技、そして元保護犬・ジョージ店長の卓越した出勤スタイルで、”スナワチ” ブランディングを強力に展開中だ。

タイムリーな情報としては、12/11(金)〜12/14(月)に「POP-UPストア原宿2020」が開催される。今回は革靴の「グラントストーン」、ヴィンテージデニムの「NIMUDE」も揃う合同企画。ピピっとアンテナが反応する方は、この機会に原宿へ足を運んでみてはいかがだろうか。


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それにしても革製品はいい。前田社長によれば、レザーマン達は、

「オレが好きで、オレだけが使いたいものなのに、人に『これいいだろ?』と伝えたい、仲間になってほしい」

と皆、思うらしい。

わかる。

凡人の私ですらその気持ちが高じてこれを書いているのだから。撫でるように慈しむ。するとレザー特有の経年変化作用も相まって、滋味深い存在感を醸し出すようになる。そういえば最初は少し緊張気味だった君も、今ではだいぶ柔らかい表情になってきた。そんな赤いイタリアンレザーを、私は今夜も抱きしめる。

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#自分の好きなもの #ぶんしょう舎


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