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こだま「ここは、おしまいの地」まるで、森の奥の深い湖

こだまさんの本って、すごく綺麗なんですよ。
濁りがない。

まるで、森の奥の、深い湖のようです。

こんにちは。
突然ですが、みなさんは、自分の人生はどういう人生だと思っていますか。
大変ですか。楽しいですか。辛いですか。
いいことがあったり、悲しいことがあったり、嬉しいことがあったりしますよね。

高校を出て大学に行きましたか。
結婚はしていますか。
お子さんがいたりしますか。
起業したり、通勤したり、家を買ったり。
海外に住んだり、親を亡くしたり。

いろいろですよね。
十人十色とはよく言ったものです。
いろいろの「いろ」は、「色」です。
出会いによって、それぞれの色が混ざり合って、複雑になる。
濁ることもあるかもしれない。
塗り替えられることもあるかもしれない。

人生とは出会いですね。
人と人との関わり合いで、人生は織られていくのだと思います。
これを読んでくれているあなたは、私の人生という錦を織り成す、一色になってくれているかも知れませんね。
それは本当に、すてきなことです。

こだまさんの、「ここは、おしまいの地」

傑作「夫のちんぽが入らない」を書かれたこだまさん。
そのこだまさんの、2作目です。

「夫のちんぽが入らない」は、自叙伝的な小説でした。
こちらは、そのエッセイ版というか。
雑誌連載の、書籍化のようです。

内容を読むと、この方はほんとうに、過酷と言ってもいい人生を送っている。
いろんな事がおきています。
いやー大変でしょこれは。って思います。

ただ、この本の面白いところは、「一切の共感を求めていない」んですね。

事実を淡々と描いている。
同じテンションで感情も描かれている。

まるで、感情も事実の一部のようです。
そんな気がしてしまうんです。
だから、綺麗なんですよ。すごく。

感情って、良くも悪くもドロドロしているから。
だから、その濁りがないぶん、本全体がすごく綺麗なんです。

しかも、なぜか笑ってしまう。

笑ってしまうんですよ!
不幸な話なのに!淡々としているのに!
なのに笑ってしまう。

可笑しいんです。

面白い、ではなく可笑しい、が正しい。
不思議です。

さまざまな人との出会いとエピソードを基本に、彼女の半生が綴られていく。

淡々と、可笑しく、綺麗に。

でも、彼女の色は、きっと人によって塗り替えられたりしてないんです。
深くなっていくだけ。
ただ、深くなっていく。

森の奥の湖のように。

そこが、私がこだまさんを大好きなところです。
何度でも読み返したくなる。
彼女の湖に、私も落ちる。

あなたも是非落ちてみてはいかがですか?

#ここはおしまいの地 #こだま

星5。

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