見出し画像

Jimi Hendrixのライブ盤を聴き比べてみた(7)


⑦ Fillmore East (1969/12/31-1970/1/1)

Fillmore East

⑦Fillmore Eastです。
このアルバムの正式タイトルは「Songs For Groovy Children: The Fillmore East Concerts」らしいです。
このライブは2日間4ステージがCDでいう4枚になっています。
また、ベースがビリー・コックス、ドラムがバディ・マイルスの、いわゆる「バンドオブジプシーズ」による演奏です。
私が今回聴いた11枚のライブ盤のうち、バディ・マイルスのドラムが聴けるのはこのライブだけです(あとはすべてミッチ・ミッチェル)。
ドラマーがいつもと違うので、曲の雰囲気も明らかに違っていて面白いです。
なお、生前に唯一発表されているライブ盤「Band of Gypsys」は、このライブから抽出されたものです。

[Disc 1]

1 Power of Soul
 初っ端からめちゃくちゃカッコいいです。
また、音が非常にクリアです。
曲は新曲ですね。今までのストレートな曲調とは異なり、ファンク感があります。良いね。ジミの調子も良いです。
後半ではバディ・マイルスのボーカルが聴けます。

2 Lover Man
 よく言えば大人っぽい、悪く言えば勢いがない、という感じの印象を受けます。好き嫌いがやや分かれるかもしれませんが、こういう雰囲気のライブはこれだけだと思いますので、そういう意味では楽しめます。

3 Hear My Train A Comin'
 これは名演だと思います。ライブの雰囲気にも合ってますね。

4 Changes
 バディ・マイルス作、ボーカルもバディ・マイルスです。
ジミが他人のボーカルの後ろでギターを弾くというのは珍しいのでどういう演奏をするのか気になりますが、以外に自由奔放ではなく曲に合わせた演奏をしていますね。
あと、バディ・マイルスの声けっこう良いね。

5 Izabella
 まずまずの演奏かなと思います。正直、この曲はあんまりライブ映えする感じじゃない気がします。

6 Machine Gun
 このライブのハイライトはこの曲でしょう。
ゆったりとしたベースとコーラスを後ろに、ギターがとんでもない存在感を示しています。最高です。
この曲は4ステージすべてで演奏されており、聴き比べが楽しいですね。ちなみにDisc 1のこのバージョンのみ10分以内で短めです。

7 Stop
 バディ・マイルスのボーカルです。曲としての魅力はそうでもないですが、ジミのギターが気持ちいい瞬間が多くて良いです。

8 Ezy Ryder
 これは最高です。新曲で、おそらくこのライブが初演だと思われます。ジミのギターが絶好調なことがわかります。

9 Bleeding Heart
 ブルースのカバーです。2010年にリリースされた未発表曲集「Valleys of Neptune」にも収録されています。ふつうのブルースという印象ですが、ジミの調子も音質も良く、素晴らしいです。

10 Earth Blues
 ジミ作で、2013年発表の「People, Hell and Angels」というコンピレーションアルバムに収録されています。
これも素晴らしい演奏です。

11 Burning Desire
 これもジミ作ですが、サブスクで聴けるスタジオ盤はないようです。
落ち着いた楽曲かと思いきや、急に流れが激しくなったり、また落ち着いたり、静と動が面白いです。

[Disc 2]

1 Auld Land Syne
 スコットランドの民謡で、蛍の光の原曲らしいです。大みそかということで、演奏したのでしょうかね。

2 Who Knows
 素晴らしい演奏です。
最初にジミが「Happy New Year」と言ってますが、まだ31日じゃないの?と思います。

3 Fire
 イントロから今までのバージョンとは全く違い、おっ、と思わせます。この辺りのアレンジからも、今までのライブとはちょっと違うことをしようという意思が感じられますね。
中盤もあまり聞いたことのない展開で面白いです。

4 Ezy Ryder
 序盤はちょっと微妙ですが、その後はしっかりした演奏です。
Disc 1の方が出来が良い印象です。

5 Machine Gun
 良い演奏ですが、個人的にはDisc 1やDisc 3の方が良い気がします。

6 Stone Free
 15分越えの演奏ですが、中盤はジャムというか休憩というかが長めにあります。序盤とラストはカッコいいです。

7 Changes
 演奏がジャムっぽい印象。キメのギターはカッコいいです。

8 Message to Love
 良い演奏です。ただ、この曲のポテンシャルがすごく高いわけではないので、どれだけ良い演奏でもまあまあな感じになっちゃう気がします。

9 Stop

10 Foxy Lady
 このライブでは、(たぶん意識的に)今までの定番曲をあまり演らないですが、鉄板がきました。演奏回数が多いだけあって、素晴らしく迫力のあるギターが聴けます。他のライブと比べても、音質・演奏ともにトップレベルのFoxy Ladyだと思います。
ちなみにDisc 2(69/12/31 2nd show)では、他にもVoodoo ChildやPurple Hazeも演奏されたらしいです(Wikipediaより)が、何か理由があるのか、それらは収録されていません。

[Disc 3]

1 Who Knows
 生前に発売されたライブ盤「Band of Gypsys」には、このバージョンが収録されています。
素晴らしい演奏ですが、途中のバディ・マイルスのボーカルがちょっとだけ耳障り(笑)。

2 Machine Gun
 エグい。これは伝説です。やばいです。特に前半、ジミ史上最高のギタープレイの一つだと思います。ギタープレイにも色々あると思いますが、この方向性としてはこれが頂点だと思います。
このバージョンが「Band of Gypsys」に収録されたらしいですが、そりゃあこれ選ぶよね。

3 Changes
 前の曲と雰囲気がかなり変わりますね。バディ・マイルスのボーカルも、バリエーションとしてはいいですね。

4 Power of Soul
 Disc 1の方が良い演奏だと思います。

5 Stepping Stone
 新曲ですね。なかなか良い感じだと思います。

6 Foxy Lady
 Disc 2の方が良いかな?

7 Stop

8 Earth Blues
 良い演奏ですね。特に、前半のギター弾きまくりが最高です。

9 Burning Desire

[Disc 4]

1 Stone Free
 力強い演奏です。特に前半カッコいいです。

2 Power of Soul
 ここからMessage to Loveまで「Band of Gypsys」収録バージョンです。
十分カッコいいけど、Disc 1の方がキレがあって好きかなあ。

3 Changes
 中盤、バディ・マイルスが観客に拍手を促して会場が一体となるシーンがありますが、ジミの他のライブでは見られないシーンです。ノリやすい曲だから出来ることですね。

4 Message to Love
 これは良いですね。ギター弾きまくり最高。

5 Machine Gun
 4回目のMachine Gun。相変わらずスゴいギターです。

6 Lover Man

7 Steal Away
 バディ・マイルスボーカルのブルース。ジミー・ヒューズというソウルシンガーのヒット曲だそうです。ブルースかと思ったらソウルだった(ゆったりしてるやつは全部ブルースだと思ってた)。

8 Earth Blues
 中盤以降のギターが最高です。

9 Voodoo Child (Slight Return)
 イントロの辺りはあんまりな感じですが、その後はかなり良い演奏だと思います。

10 We Gotta Live Together
 Voodoo Childからのメドレーです。後半はカッコいいです。

11 Wild Thing
 最初のところで若干ノイズがあります。この小さいノイズが気になるくらい、ここまでの音質が良かったんだなあと思いました。
演奏の方はかなり良いです。

12 Hey Joe
 Wild Thingのあとに「Good Night」と言っているので、たぶんここからはアンコールだと思います。
演奏はカッコよく、最後の方のギターは気持ちいいです。

13 Purple Haze
 ラストを締めくくるのはやはりコレ。
ミッチ・ミッチェルとの違いがわかりやすいですね、特に最初の方。
最後までジミは好調でした。

まとめ(A~Eの5段階で)

音質:A+ 演奏:A 総合:A+

5段階って言ったのに、A+とか付けてしまってすみません(以前A評価したやつより良かったので)。
ジミの調子はずっと良かったです。
曲目も雰囲気も今までのライブとは違うため、人によって好き嫌いがあるかもしれません。
個人的には素晴らしいライブだと思います。
特に Disc 3のMachine Gunはエグいです。

おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?