男ひとり、あんスタのスタライにゆく。

辛い。

 こんなはずじゃなかったのだけど、あんさんぶるスターズ!DREAM LIVE -5th Tour “Stargazer”-に一人で参戦することになった。

 今まではあんスタ関連イベントは必ず友達や姉妹についてきてもらっていた。
 そして毎回「まあ彼女(もしくは友達)の頼みでしょうがなくきてますけど?」みたいな顔をしながら推しを眺めていた。
 もちろんチケット代は私もち、「ロイホで一回おごらせていただきます」というのをダシにしてあんスタに毎回興味のない姉や友達に頼み込んでついてきてもらっていた。

 しかし今回はひとり。なぜかというとコロナの影響で電子チケットオンリーになっていたことが起因する。(ほんとは紙も選べたのかもしれないが私が気づいた時には電子のみになっていた)
 あんスタとチケットぴあとの忘れられぬ大事件が起きながらも私はチケットの確保に成功していた。今回は電子だからと同伴予定の姉(あんスタ何も知らん)と公演一週間前にチケットを発行しようとしていた。
 私は慣れないながらもアプリでの受け取りに成功。同伴者に分配のボタンを押した、そこで事件は起きた。

「あれ、発行ボタン押せないよ?」
 なんちゅうことか、姉のスマホの番号を間違えており、「データが合わない」とのことでチケットが分配できなかったんである。
 しかも間違えたっていうか、姉の番号はあってはいたのだが昨年ぶっ壊したスマホの方の番号であった。
「ごめーん、あんたに新しい番号教えるの忘れてたね」
 え、いやいやいやいやまずい…焦る私に姉がひとこと「私もこれ前にやっちゃったことあるけど、ぴあに電話したら対応してくれたよ」

 あ……そーなのね、、よかった、、
 一安心でぴあに電話すると録音ぽい女性の音声でひとこと、「コロナの影響で平日13:00~15:00までの対応になっております(うろ覚え)」

 えっみじか…
 いやしゃあないけど、、2時間て、平日の2時間てあなた。私が丸の内の忙しいOLだったら絶対詰んでたぞよ?

 仕方なく月曜に仕事中こそこそと電話をかけ直す。再びたぶん誰かが録音したんだろうな〜という女性の声でひとこと。
「緊急事態宣言に伴い、電話でのサービスを休止しております」

 え、ちょ、ま、おまおまおまおまおま
 軽くパニックになりつつGoogle検索、お願い助けてどうにかしてGoogle。
 一番上に出てきたyahoo知恵袋のカテゴリーマスターの発言にて「総合サポートのTELに電話せよ、さすれば対応してくれん」とのこと、あ、まだ番号あるのね。あーーーー焦った。
 気を取り直して電話をするが何回かけても通話中。まあそりゃそうだよな、ぴあのサポートセンターに務める人お疲れ様っス!でもお願い今すぐ出てほしいの。
 15分ほど延々かけ続けたところでようやく担当者が登場。
「メールでお問い合わせください」
 あ、メアドあるんですね、、気づかなかった、あ、よくある質問のとこに、あ、スマセン…
 ということで今回は誤って違う番号を記載してしまったこと、公演名、変更前の番号と変更後の番号を入力して送信。
 2時間後、すぐにメールは返ってきた。
内容は

「規約にも書いてあるけど、無理やで」
 えーーーーーーちょーーーーーおまーーーーーーー
 姉もyahoo知恵袋のカテゴリーマスターもできるって言うとったやないか、いやでも悪いのは私だけど、悪いのは私なのですが。いやいやいやちょ…ええーーーあの…あええェェ



いけない。
俺は今回スタライにいけない。
そう考えるとふーーーっと魂が抜けてく感じがした。

 私はずっとずっとゲイであることを隠してきた。今でもまあそうなんである。
 今でもバレたかも、と思ったりするとキーンと頭が痛んで全身汗が出てくる。絞首刑の台に乗せられたような感覚がする。
 アニメイトであんスタのグッズを買いたい時は人がいなくなるのをずーーっと待ってから、素早く推しのグッズを泥棒みたいに掴んでレジに持ってく。
 レジ前ではなるべく顔を見られないように俯いて買う。袋いりませんカード持ってませんいらないです大丈夫ですって早口で言って渡されたグッズを袋にかっこむ。大抵通販できるからこんなことも減ったけど 笑

 なのでこういったイベントごとはなるべく避けてきた。だってバレるやんそんな男子アイドルの現場に男ひとりってホモやんって思われるかもしれないやん無理やんそんなん絶対無理やんあーーーーーうーーーーもーーーーむりーーーーーーーー無理ですがーーーー!

 これを話すと大抵の子は「そんなこと思いませんよ、考えても見てください、現場に男性がいたってあ、ホモだなんてあなた思わないしそれを悪いことなんて思わないでしょ?」って言うと思う。
 いやそりゃそうよそんな失礼なこと思わん。
 いやでもダメなの!!もうこれは私の自意識の問題なの!!子供の頃から男は女を好きになるんだよそれ以外は普通じゃないんだよってミッチリ育てられてきてバレないようにしなきゃやばいってずーーっと生きてきてんだから、性別なんて関係ないよ!みたいな顔して女子ばっかの現場に行けるか!!行けんわ!!
 行ったとしても周りの目を気にしすぎてお腹ずっとキリキリして全然楽しめないに決まってる。。いやほんと無理、、考えただけでお腹痛い。。

 …にしてもこうして考えると横に姉妹や友達がいたって、めかし込んだ女性の中に男性がぽつんといる異質感は変わらないし姉がいたっていなくたって周りの目的にはそこまで変わらないんだろうな。けどそれでも話ができる状態ってほんとに安心できた。
 今こうして書いていて、姉妹や友達がついてきてくれたのって私が不憫だからなのかな…とか思って軽く鬱になる。。ほんとありがとよmy sisters and my friend'sたち.....

 横ですぐ掴める毛布がない恐ろしさよ。
 やっぱり一人であんスタのライブに行くには人間強度が足りぬ。若干「え、ごめん」」みたいな顔をする姉にリセールすることを告げて手続きをとる。
 私がリセールをすることでライブを見れなくて悔しがってた人が推しに会いに行けるわけだし善行よねこれも。うん。とかなんとかどんよりしながらリセールのボタンを押す、しかし姉の分は選択できるが私の分がアクティブにならず。

あーーーーーーーそうだった自分の分はもう受け取ってたんだーーーーわーーーーーーーげぁーーーーーーッ!!!

「どうしよう」と姉に聞くと「ひとりで行けば?なんか悪いし幕張まではついて行ってあげていいよ」

 あ 、ひとりで、い く。


 ほんまどういうわけか私はそれまでひとりでいく選択肢がまったく思い浮かばなかったんである。


 とりあえずPCを閉じて悶々と考える。
 ひとりで、女子ばっかの男子アイドルの現場にいい歳したおっさんがひとりで。
 もう今まで現場で男性ソロで参戦してる人は見かけてきて、「あ、すごい」とか思ったりしてたけどほんとまじですごい勇気だよアンタ、まじ世界で一番勇気出してたよあの時。幕張で千秋のラバスト大量につけてた男の子握手しとけばよかったまじで。あん時緊張した感じでポツーンと立ってた男の子のこと考えただけで涙出るわほんと。


 あれを見て自分はキモいとか一瞬でも思ったか?いや、思わん。
すごいなって思って泣きそうにはなったけど。

 とまあ悶々と考えてたら「なんか…まあ…じゃあいくか。1万円無駄にするのもムカつくし」みたいな思考になってきた。

 すごい不謹慎だけどマスクしてるから顔見えないし、騒がないし、ソーシャルディスタンスで感覚あいてるからあんま観客たちも喋らんやろ。こっちにそこまで注目せんやろ。なんか初めてコロナに感謝したかもしれないめッッちゃんこ不謹慎だけど。

いくか。

 と決めたので、とりあえず美容院の予約をする。
 薬局行って美肌マスク買ってとにかく自分で自分を恥ずかしいと思ってしまう部分を補填できるようにしとこ。。

 服は、、まあ一番高いもの着て武装しよ、、時計はGucciのやつにしよ、バックは御殿場で買ったBurberryにしよ。。全然会わんけど。
 中学生〜高校生女子にはできんリッチな装備で威圧してくして自尊心を保とう(最低)

 とまあ、このブログ読んでる人なんて誰もおらんやろうけど、もしあんスタのライブで悪趣味なヘビ皮のBurberryのバッグ持って挙動不審にしているおっさんがいたら生易しい目で見てください。多分自尊心の暴走で魂めっちゃ出血してると思います。 

はーーーーーー今からほんと怖い。
でもちょっと楽しみ。

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