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コロナ禍で視覚障害者も体験できる「パラロゲイニング」の可能性

2021年6月の点字毎日への寄稿文を改訂しています。

主に富山県内で観光系のロゲイニングを主催してきましたが、日頃からお世話になっている三つ星山の会の桐井事務局長から「視覚障害者向けに街歩きのロゲイニングを開催できないか」との相談を受け、2021年3月、5月と2回開催させていただきました。その経緯や成果、今後の可能性などをご紹介します。
(その後、2022年富山セントラルライオンズクラブさんと高校生の企画、2023年富山市内での企画も開催)
NHKニュース

その前にロゲイニングってなあに?という方のために競技説明をいたします。ロゲイニングは地図をもとに山野に散りばめられたチェックポイントで到達の証として写真を撮り、制限時間内の合計得点を競うチームスポーツです。チェックポイントには距離や到達難易度に応じて得点が定められています。

さらにパラロゲインングは障害の有無に関わらず、誰もが楽しめるように配点や内容を工夫し視覚以外の要素でチェックポイントを探したり、課題をクリアしたり、一般でも好評なお買い物加点や公共交通利用などを盛り込みました。視覚以外の感覚を必要とするポイントを「パラポイント」と名付け、5割の配点で健常者と同じルール内で競えることが大きな特徴です。

2020年度は新型コロナウィルス感染症の影響で多くの登山例会が中止となっており、外出機会や新たな運動機会の提供の場としてロゲイニングを活用した全国でも初の事例となりました。3月には福祉ロゲイニング(命名は桐井事務局長)と銘打って富山市の越中八尾で開催。地域固有の「音さがし」をチェックポイントに設定し、同行の晴眼者がチェックポイントリストに記載してあるQRコードをスマホで読み込むと音が流れ、その音を探す仕組みとしました。事後アンケートでは「

地元の方がみなさん好意的でした」「晴眼者も視障者も一緒に楽しめました」「家にいる時間が増えていたので、久々の屋外活動は気持ちよかった」「久々に色々な方と交流ができて良かった」とご意見をただいています。
そして2021年5月富山市呉羽丘陵の開催では名称を「パラロゲイニング」に改称し内容をさらに充実させて実施。(こちらも命名は桐井事務局長)初回の聴覚を問う音さがしに加え、水の温度を当てる触覚やきき酒利きジュース、食べ比べなどの味覚、実際に階段を歩いて数えたり、菜の花の匂いを探したり。五感を全て使って楽しめるようにアレンジを加えました。

今後のパラロゲイングの可能性について。
ロゲイニングは屋外分散型のアクテビティであり、コロナ禍でも感染症に対して低リスクで開催できます。運動要素だけでなく、観光、コミュニケーション、ご当地グルメ購入、公共交通の利用促進など地域貢献などで参加者、地域相互にメリットがあります。ご参加いただいた方やサポートの方のご意見を聞きながら、さらに楽しく体を動かせる機会となるように改良を重ねていきたいと考えています。また人間の総合力として五感全て使うことで健常者とも同じ土俵で競えるアクテビティとして確立できるようにゲームバランスを今後も追求し、「パラ」の精神を大切に、誰もが自分らしく健康で楽しく生きれる社会となるようにパラロゲイニングの普及を通じて貢献したいと考えています。

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