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「自主研のススメ」19.業務紹介

自主研鉄板ネタシリーズの最終回は、「業務紹介系学習会」です。

入社後の経験年数に反比例してニーズが低下していく傾向にはありますが、逆にいうと、全庁的な視野をもてる業務にかかわる機会を持つまでの間は、大変人気のある学習会テーマです。
この学習会には、自治体職員だからこその学びの価値があるので、その辺りについて今回は詳しくお伝えします。

異動が転職級だからこそのニーズ

自治体職員の人事異動は転職級と言われることがあります。実際のところは役所内の共通ルールや人脈、さらにその人自身の信用度が積み重なっている分だけ異動先の職場でも仕事はしやすくなので転職級というほどではありませんが、業務分野が全く異なる分野への異動は、一から覚えなければならないことに溢れているので、なかなかに苦労するのは確かです。

最近は減ったと感じますが、役所に電話すると「たらい回しにされた」という話を皆さん聞いたことがあるかと思います。この問題、職員のビジネスマナーがなってないことに起因しているのは間違いないですが、その裏には職員も担当部署を当てることができない、それほどに事業分野が広いという背景があるのも確かです。

住民と接する部署にいると所管外事業に関する問い合わせもあるので、どの部署でどのような事業を担当しているのかをおさえておくことは、自治体職員として大切なことですが、オフィシャルに学ぶ機会は少ない。そこで、自主研を活用して学び合いましょうということになります。

OffーJTでは聞けない話

オフィシャルで学ぶ機会は少ないと書きましたが、僕自身の経験では新採用研修にて業務紹介的な講義がありました。ただ、その時の思い出として、正直それほど興味深く、記憶に残るような話が聞けたかというと、そんな感じではなかったです。記憶に残っていないのは、採用後20年以上経過していることや、そもそも僕自身の記憶力の問題もあるでしょうが、オフィシャルの場では講師となる職員も裏話的なことは話しづらく、公開できる表面的な話が中心になってしまう傾向にあります。

それに対して、オフサイトの自主研での業務紹介は、特に職員限定のクローズの会であれば、興味深い裏話もたくさん紹介されます。それにより、聞く耳は大きくなり、業務理解も格段に深まります。中でも、今その部署で抱えている課題を共有してもらえると、その部署の問題の核がどこにあるのか見定めることにもつながります。

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個人的にツボにはまった裏話の一つ。上の公園は貯水池機能があるのですが、記録的豪雨の際にここに数メールの水が貯まったそうで、職員が見回りにいった時に、なんとその水たまりを泳いでいる強者がいたとのこと。危ないから泳がないよう注意したとのことですが、こんな公園で泳ぐだなんて beyond imagination!

講師役で学ぶ、講師役で誘う

自主研メンバーが講師役を務めることになると、当然ながら自らの所属の業務を人に説明できるよう日々の業務をおさらいする必要が生じます。自らの所属であっても担当したことがない業務を説明するためには、多少なりとも勉強する必要も生じるので、その学びは日頃の仕事にも役立ちます。また、人前で話すことに苦手意識を持っている人も多いので、話をする良い訓練機会にもなります。このようなことを踏まえると、自主研メンバーが講師を務めるとうことは、実はその講師自身が最も経験値を稼ぐことができているといえるかも知れません。

また、自主研メンバー以外の職員に講師を依頼するというのも、自主研への巻き込み手段として使えます。今度興味深い話があるから自主研に来ない?と普通に声かけるのもいいですが、「〇〇の話をしてもらいたいからあなたに講師をお願いしたい」の方が、他の誰でもない「あなた」に限定することになるため、引き受けてもらえる可能性は(経験的に)高まります。こうして自主研の輪を広げていくのもよいでしょう。

その分野を極めた人の話を聴く

庁内自主研における業務紹介とは毛並みが変わりますが、僕個人の体験として、県内の自治体職員で構成する自主研K33ネットワークの学習会において、各市で活躍されている人が行った事業や成果の話をうかがう機会がこれまでありました。おかげさまで、他分野にわたる情報が蓄積され、広い視野をもって物事を考える力が養われたと感じています。メンバー間の講義で得られるものとは価値が異なりますが、これはこれで大事な学びといえます。

これと同様の学びは、以前紹介した「地方公務員オンラインサロンbyホルグ」でも得ることができています。
https://note.com/sakakatu/n/n8ecb2c540224

ホルグサロンでは、様々な分野で活躍されている方が講義をする「自治体実務シリーズ」というのがあり、「〇〇のシゴト」としてこれまで、広報、徴収、こども支援、用地取得、都市計画、市民協働、財政、官民連携、副市長、行政計画策定の話がされてきました(サロンには録画動画あり)。

自主研と異なり、受け身的に話を聴いているだけでは、個人の成長範囲は限定されるかも知れませんが、今いる部署で課題を抱えていて、それを何とか解決したいというように明確な課題設定があるときなどは、狭い組織の中で情報交換するよりも、このように活躍されている方の話を聞く方がブレイクスルーが起きる可能性高まるでしょう。

要は、いくつかの手札を用意し、それらを上手く使い分けをしながら、日々の業務に活かしていくというのが望ましい姿といえるのではないでしょうか。

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