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「自主研のススメ」18.地域を学ぶ

前回の「暗黙知の継承」に引き続き、今回も自主研の鉄板ネタをご紹介します。今度の学習会、何やろうかな~と迷った時の参考にしてもらえることを期待して。

本日のオススメは「地域を学ぶ」です。

以前「自主研の立ち上げ方」でも軽く紹介しましたが、今回このテーマについて掘り下げます。その理由として、特に市町村の職員の場合、自分が勤める地域との距離感は近く、住民の方と接する上で地域の理解があった方が話がうまく進む確率が高まるから。また、自治体職員として働くにあたって、その地域、そしてそこに住む人を知っていた方が愛着が湧いて、働くモチベーションが高まることでしょう。

ということで、自主研での鉄板ネタ「地域を学ぶ」についてご紹介します。

地域の人から話を聴く

自らの活動歴を参考に、大きく2つの例をお伝えします。

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1つ目は、地域の歴史を学ぶ学習会
例としてあげたこちらの写真は、お寺の住職さんにお話を伺ったもの時のものです。その地域は元々どのような地域であったか、そしてこれまでどんな風に発展してきたかを教わりました。こうしてお話を伺っていると、その地域で誇れる話も出てくるわけですが、そういうの、僕は大好きです。だって、自ら勤めるその地域を、僕自身も誇らしく思えるようになるのだから。
まさに、シビックプライド※の醸成につながる学習会といえるでしょう。

シビックプライドとは、まちへの「誇り」「愛着」「共感」をもち、「まちのために自ら関わっていこうとする気持ち」のことをいいます。(相模原市シビックプライド条例より)

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2つ目は、地域活動を学ぶ学習会
地域を盛り上げようと現在活動されている方に講師をお願いするものです。それぞれの地域が抱える課題や特徴があって、その課題に対して今、どのような活動が行われているのかを知ることができます。

例示した写真の時に伺ったエピソードを軽く触れますと、僕が役所に入る前のことですが、隣町にあった大企業の工場が閉鎖しました。市域は異なるも、アクセス駅の一つであったその町は、かつて工場勤務の労働者で飲食店は盛り上がっていたのが、リストラの一環で工場が閉鎖し、労働者が町から消えたことで、とても寂しい状況になってしまったとの話でした。そこで、町を盛り上げようと地域で仲間募ってイベントを立ち上げたとのことで、行政職員として学ぶべき要素(産業、人口、商業、自治、地域活性等)が満載で、学び多き学習会となりました。

さらに、純粋に人として、活躍している方の”生き様”に触れることができるので、同じ社会人として強く刺激ももらえます。「これぞ、自主研!」と感じとることができるテーマです。

まちを歩く、見る、体験する

役所に入って確か2年目くらいの時、当時の総合政策課長から「できるだけ市域を歩くといいよ。車に乗っているだけだと見えない世界があるから」と勧められました。ただ、実際には行動に移せていませんでした。「まちを歩くのは大事なことだろう」というのは、頭では何となく理解できても、当時の僕もそうですが、自分一人だと一歩が踏み出せず、実践に移せない人も多いのではないでしょうか。このような場合に、自主研のグループだからこその強みが発揮されます!

「まち歩き」の簡単なやり方としては、大体どの自治体でも散策マップが作られているので、仲間と一緒に実際歩いてみるのがいいでしょう。
その際、文化財や道路、環境系といった職員を巻き込むことができると、ルートにある小話が膨らんで、地域の理解が一層深まるでしょう。

さらに、ゲーム性を持たせて魅力的な「イベント」と化して実践している例をご紹介します。

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以前も東の横綱として紹介した水戸市政策研究会では、(コロナ禍で中止になる前までは)毎年『市街地散策ステークス』というイベントを開催しています。この企画は、走り回る自分達を馬に喩えたもので、各チーム数名に別れて、街中一帯に散りばめられた指定風景を写真で撮ってくるという競争型イベントです。ただ写真を撮るだけでなく、様々なユニークなオプションも用意されています。

この競争型まち歩き企画は、同じ北関東連合の一角である、群馬県高崎市の自主研「だるマルシェ」でも水戸の善例をパクって『高崎まちなかステークス』として開催されています。それほどに、魅力的なコンテンツといえるでしょう。

また、この企画の素晴らしさは、職員だけでなく一般の方にも参加できるようなイベントにもしやすいことです。まち歩きもシビックプライドの醸成につながる大事な仕掛けの一つです。

自主研は、職員だけで行うからこそ情報を共有できる魅力もありますが、それでは世界が広がりません。職員以外の人ともつながることで、アンテナが高くなるし、住民とやりとりする経験は業務上様々なところで活かされます。そうしたキッカケにもなるイベント、これはだるマルシェと同様にTTP(徹底的にパクる)されることをオススメします。

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