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「自主研のススメ」16.自主研と人事

以前習った知識ですが、人材育成は大きく3つで構成するらしいです。

・OJT(On the Job Training 職場内研修)
・Off-JT(Off the Job Training 職場外研修)
・自己啓発(SD)

自主研は、このうち自己啓発に位置づけられます。組織が人材育成をはかるうえで、上2つは勤務時間内なのでコントロールすることができますが、自己啓発は個人に委ねられるものあり、だからこそ自治体によっては自主研活動を奨励するために活動費の助成制度も設けられています。

自主研をやっている側からすると、
・人事も奨励している自主研活動をやってる自分らよく頑張っているよね!
・人材育成の一翼を担っているので、人事もそりゃ応援してくれるよね!
的に捉えてしまうことがあるかも知れません。
しかし、それは一方的な思い込みであるように感じさせるエピソードをこれまで度々目にし、耳にしてきたので、今回は自主研と人事の関係について記します。

なお、僕自身は全庁の人事を担当した歴はないため、他自治体の人事担当者からの話や自主研仲間が人事から受けた対応(仕打ち?)の情報を元に書くので、人事側の言い分はある程度推論になってしまうこと、予めお断りしておきます。

自主研奨励は形式的なスタンス?

組織として自主研を奨励し、支援する制度としては次のようなものが挙げられます。

①会議室等の利用を認める
②認知度を高めるため、公式化する登録制度を設ける
③組織内で情報発信できる機会を提供する(庁内掲示版やメール等)
④活動に要する費用の一部を助成する

これらの他、研修資料のコピーやデータの保存、ワークで使用する消耗品の使用を認めてもらうことなどがあります。こうした環境が整うことで、業務外の時間に自主的に集まり学び合やすくなります。だからこそ、こうした環境作りが、自主研活動を奨励する上で非常に重要です。

しかし、制度があるからといって、本気で自主研を応援しようとする人事担当者ばかりかというと、決してそんなことなく、特に明文化されていない中で認められてきた運用の場合、人事担当者が変わることでその認める運用範囲が変わってしまうこともあります。

個人的な体験から、自主研運営で最も認めてもらいたい支援は、①の会議室の利用を認めてもらうことだと捉えていますが、ここが人事担当者の意向でNGになると一気に活動がやりづらくなります。仮に④の助成金制度があったとしても、会議室の利用ができないと、気軽に集まれない。また集まるのにも業務終了後に会場までの移動時間が発生し、さらに部屋利用に利用料も発生するということで、諸々と活動ハードルがあがります。

あれ?人事は自主研を奨励しているから支援制度作っているのではなかったんでしたっけ??と首をかしげたくなるわけですが、人事は人事なりに自主研に対して思うところがあるようです。

「あぁ、あのグループね」

人事の所管事務。採用、職員配置、人事評価の運用、人材育成・・こうした事が想起されますが、その他大きなものとしてあるのが、人事考課、そして懲戒分限等です。要は、職員のマイナス面の情報が集約されるし、その対応にも追われます。全く前向きでない上に、メンタル的にも大変な業務です。

そこでマイナス評価対象で対応が求められる職員が、自主研のメンバーであったらどうなるでしょう?
「あぁ、あのグループね」という感じで印象が悪くなること、容易に想像できます。しかも、それが2人、3人とか続くと尚更です。これは、良い悪いといった話ではなく、そう感じられても仕方がないことだと捉えています。

では、自主研やっていると「そんなマイナスな評価を受ける人材、うちには一人もいませんから!」って胸を張れるかというと、よほど閉鎖的な活動をしない限り無理でしょう。いや、それはそれでイイと思っていて、今はちょっと残念な評価を受けていたとしても、自主研で成長し仕事で成果だせるようになればいいわけです。

評価の話の他にも、たまたまかも知れませんが、僕が以前立ち上げた自主研では、参加メンバーが続々と退職しました。グループの活動として退職を煽るようなことはしていたつもりはないので、元々組織への帰属意識が低い(または、見切りができて次のステップに進める有能な)職員が参加していただけだと僕は捉えています。ただ、人事からしてみると、自主研なんぞやる輩はすぐ辞めるので信用できないってことになっているかも知れません。

こうした「かも知れない」が重なることで、自主研への信用度が低下してしまうことも、きっとあるだろうと想像働かすことができます。そのように想定すると、人事側は議会対応等もあるので、人材育成に寄与するから自主研を奨励していますという表向き言っておきながら、仮面の下の素顔は面倒なやつらだとしかめっ面をしていることも普通にあるものだと理解しておくことが肝要です。

情報公開と対話、そして信用

せっかく良いことをしているのにもかかわらず関係が悪化するのは残念なことです。こうなる原因の最たる理由は、互いのことを知らないことに起因します。人事側の話は特に情報を公開できない分野の話になるので想像するしかありませんが、自主研側はいくらでも情報を発信できます。丁寧に活動記録を公開したり、見学しやすい環境を用意したり、さらに人事担当者に「たまには見学参加しませんか」と声かけしたりすることで、自主研への理解度を高めてもらうことができます。

そのように活動を知ってもらいつつ、活動を継続するにあたって特にこれはお願いしたいということがあれば、協力をお願いしていけばいいでしょう。もし、そこで人事側がNOと言われるのであれば、(たとえ、頑固で、とにかく保守的で、人の話に耳を傾けることが苦手な、相当に面倒くさい担当者であったとしても)自責的に捉えて、自主研側の情報提供の仕方をより工夫するよう努めましょう。って、当時の僕はそんなに柔軟にできませんでしたが、振り返ると発信の努力も対話の機会をつくることもできてなかったからだなと(少々言い訳すると、当時の人事課長には何度も見学してくださいと訴えましたが、結局来てくれなかったですけどね・・)。

最後に、自主研への信用度については、当たり前の話ですが、それを語る個人が組織で信用されているかも非常に重要なファクターになります。自分の話は全然聞いてもらえないと嘆く前に、日頃から信用財産をコツコツと積み上げていきましょう。

(サムネ画像は、H29.7月に開催したイベントからの転用です。)

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