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「自主研のススメ」14.運営のリアル(前)

僕が最初に巡り会えた自主研「K33ネットワーク(正式には、神奈川自治政策研究会。ただ皆略してK33と呼びます。)」
その活動に参加し10年が経過しました。

K33は神奈川県下の自治体職員によって構成する自主研グループ。各自治体から、コミュニティのリーダーとして引っ張ることができるような逸材が多く参加していて、そこにはいつも学びと刺激があります。それほどに人材が集まっていてもなお、それぞれに家庭事情や職場環境の変化もあり、運営スタイルは徐々に変化してきました。そう、倦怠期に陥りそうになり、それを運営側の工夫により、ギリギリで回避し続けて今があります。
(自主研の倦怠期については、構造的性質で書いてますので、ご覧になってみてください)

そんなK33で、現状抱えている課題に対し、今後の運営方針について話し合う機会がありました。その課題というのが、他のグループでも問題になることが多そうな話であったので、一つのモデルケースとして、どんな解決手段があるのか、勝手ながら持論を展開してみたいと思います。

なお、グループの課題は、当然ながらグループメンバーで話し合って決めていくべき話であって、実際のところ僕の持論のとおりになるわけでもなく、そうすべきと思っているわけでも”全く”ないです。
あくまで起こりやすい課題に対してこんな風に考えることできるかも的な視点を述べてみることで、他のグループで同様の事態が起きたときの参考になればと、記録に残してみようという試みです。

代表って必要ですか?

K33はかなりガチな組織体系をもって運営してきました。自治体単位で輪番に学習会を開催するのに加えて、設立当初は、学習会サポート・運営管理・シンクタンク・フィールドワーク等のチームを設け、メンバーはいずれかのチームに入って活動することで、一人一人が会全体の運営パートを担うよう設計されていました。さらに、全体を統括するポジションとして代表、副代表がおかれ、特に代表は会の方針等を発信する役割を果たしてきました。

それが、前代表が諸事情により活動に参加できなくなったため、実質的に代表不在の空白期間が生じました。そこで、次の代表は誰にするかがテーマとなり話し合いが行われ、結果として、この人をおいて他にいない的な存在の方が最終的に立候補してくれたおかげで代表不在問題は解決したのですが、その場で僕から提案したのは、そもそもの自主研グループのあり方として「代表は必ずしもいなくてもいいのではないか?」ということです。
まずは、これについて述べます。

代表の存在価値

はじめに、代表の役割について、思いつくことをあげてみますと、

①運営を引っ張る、率いる
②運営の進行管理を行う
③対外的なところで会を代表する存在となる

こんなところでしょうか。補足すると、①については、会の象徴的存在、立場になるということで、以前紹介した自主研アンケートにおいても自主研を継続する要因の一つとして「代表の熱量」があげられていたことからも、会を運営していく上で重要な役割を担っているといえるでしょう。

②の進行管理について、これは別に代表でない別のメンバーでもできますが、少なくとも僕の周りでは、代表が兼ねるところが多いように見受けられます。ただし、本当なら運営の担い手はリスク分散した方が会の継続性が担保されやすいので、代表がそこまでやらない方が望ましいとは思います。

最後の③ですが、これは実務的な面で求められます。自らの経験では、公民館使用にあたってのグループ登録や、市から活動助成を受ける際など代表のサインが必要でした。

こうして整理してみると、代表の存在価値は、特に実務面において大きいです。一方で、代表が存在することによるデメリットというのは、参加メンバーの主体性が弱くなるくらいしか思い浮かびません。しかも、これについては代表がいようがいまいが、結局はその人次第のところが大きいので、代表がいることによるデメリットは特にないといえます。

代表がいる例といない例

昨年5月に関東自主研サミット実行委員会主催で開催した『自主研等ネットワーク活動をきっかけに語る会』では、10年以上継続して自主研活動が続いている2団体の代表に「継続の秘訣」をお話いただきました。
その2団体の代表とは、西の横綱(と勝手ながら尊敬してます)広島県福山市「百年塾」の渡邉真悟さんと、東の横綱、茨城県水戸市「水戸市政策研究会」須藤文彦さんです。

実際に現地に足を運んでいるわけでもないので、僕の評価は参考の価値として高くないかも知れませんが、これまで話を聞いている限り、この東西の横綱はリーダーとして自主研を力強くけん引しているように見えるので、百年塾と水戸市政研は「リーダーけん引型」の自主研と捉えています。

一方、代表の存在なしに上手く会が運営されている例としてあげたいのは、横浜市職員によるサードプレイスとしてのゆるい勉強会「よこはまYYラボ」です。YYラボの運営は、「この指とまれ」方式で、やりたい企画があるメンバーが声をあげ、興味関心あるメンバーが一緒になって企画を作り上げ、運営していく、そんなスタイルです。

「リーダーけん引型」と「この指とまれ方式」、自主研としてどちらが良い悪いではなく、要はその会が望む運営ができているかどうかがポイントです。ただし、僕個人の見解として見逃してはならない要素が一つあって、「この指とまれ方式」は、メンバー構成として自ら企画立案するメンバーが何人もいないと成立しないシステムいうことです。YYラボがこの指とまれ方式をとれている背景には、それだけ自分一人ででも企画するだけの人材が揃っていて、それというのも日本一の巨大都市である横浜市の自主研だからこそできている面が大きいと(あくまで僕は)みています。

では、K33の場合はどうかというと、冒頭でも触れたようにメンバーが逸材揃いなだけに、代表を置く必要性は反比例して低くなり、YYラボのような運営形態でもやっていける条件は整っているといえます。

こういうのって、様々な自主研の運営スタイルを見て、情報が集まったからこそ見える視点だなと感じています。だからこそ、こうして記録に残し、情報共有をはかることで、各地で行われる自主研活動の参考になればと思います。

今回グループの課題として代表の問題を取り上げましたが、もう一つ「メンバー拡大路線について」も議論になりました。
これについては、今回既に容量オーバー的になっているので、次回書きます。今日の記事をご覧になって「なるほど~」と運営の参考になったと思ってくださった方は、次回もぜひご覧になってみてください。

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