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1泊2日 中国人ツアーに参加して!
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2023年08月31日 さかい 悠
今回も中国駐在時代に体験した旅の話題(2003年〜2004年頃)
今の中国は経済の発展と共にお金に余裕が出来、余暇で旅行を楽しむ人が以前にもまして旅行に出掛ける人が多くなった 国内旅行はむろん、海外にも出掛ける人が多い。
いろんな国で大勢の中国人観光客を見る機会が多い ここ2〜3年はコロナの影響で一時停滞しているもののコロナ騒動が収まれば再び旅行者が多くなる。
私が中国に赴任した20年ほど前 余暇を楽しむ余裕も少なく、ましてや海外旅行と成るとごく限られた裕福な人の楽しみでしか無かった。
では当時、中国人は観光旅行に行かないかと言えば、決してそうではない、近場の観光旅行はどの年代でも楽しみにしている余暇である。
旅行会社も日帰り、1泊2日前後の小旅行を盛んに企画し勧誘していた。
一寸した休暇を利用し、家族や仲間との旅行は楽しいもの 今回たまたま巡りあわせで、中国人ツアーに参加した様子をお話しする。
2003年、年も押し迫った12月 例年中国は12月、1月の年末年始は殆ど、どの企業も休暇は少なく、中には1月1日の元旦でさえ仕事をする企業も少なくなかった その分、旧正月休暇をたっぷり取るのが一般的である。
この年は曜日の関係でわが社は12月28日から1月1日までの5日間の休みとした。
5日間も休暇が有れば、当然何処か小旅行でもと私は考える。
旅行会社に問い合わせると湖南省のツアーが現在募集中 中国内であればどこでもよいと返事をしておいた しかし、一向に人が集まらず、結局企画自体がキャンセルと成る、残念だが致し方ない!
さて急に代替を探すにも日程が無い、かと言って毎日ゴルフ三昧も能がない 旅行会社に代わりに代替依頼をする 早速当日の夕方、広東省の北に丹靄山自然公園行のツアーが有るとの返事、見所も有り、料金も安いと進めてきた 駐在時代の時間潰しに、即答で予約を入れる。
12月31日早朝出発、当日自然公園を見学 その後近場で宿泊 翌日1月1日二日目は近くにお寺(南華禅寺)が有る 日本流に新年の初詣に丁度よい、お参りも出来る為、二つ返事で申し込む。
赴任当時、観光でお寺に出かけたことが有るがお寺参りは流石にない、年の初めに心を改めるにはちょうど良い。
中国人に交じって1泊2日の旅 意外と発見が有るかもしれない しかも手軽な距離 更に旅行費用は宿泊を入れても当時の円換算で4500円程と格安 しかし人数を聞くと120名の団体 少し人数が多いが仕方がない。
さて当日 朝6時40分 旅行会社の正面に集合と成っている 特別早い時間でもない 自分ではぎりぎりのつもりで集合場所に着いたが時間を過ぎても来ない遅刻者がいる。
旅行会社のスタッフが携帯電話何度も、かけながら確認の催促をしている。
日本だと遅刻すること自体は稀である やはりそこはお国柄なのか!
当時住んでいたアパート近くに旅行会社が立て続けに3社オープンした 旅行のアクセス 問い合せ等にとても立地が良い 週末の朝早く、台所でお湯を沸かしていると団体客がリュック片手にバスに乗り込む風景が窓越しに見える、目的地は遠方から近場まで様々。
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さて何とか人が集まり、でかけようとしたが今度は集まっていたはずの中から1人が足りない、どうしてと聞くと朝食を近場に買出しに行っている またまた時間が過ぎてしまう なんとも様に成らない旅の始まりである。
見慣れた中山の街中を走り郊外に出た 川面に朝日が輝く 明日はもう新しい年と改めて感じた。
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バスの中は、ほとんどが中年の夫婦二人組、若しくは子供を連れた家族が多い その中にぽつんと一人座るのはなんとも寂しいもの。
しばらくして添乗員が名前と人数のチェックをはじめた 確認のたびに一言、二言 言葉を交わすその都度、笑顔がこぼれる 更に大きな声で会話が弾む 同じ中山人であることがより親しみを感じるのであろう。
さて私の番である 私はなれない中国語の発音で『〇〇』ですと言ったつもりが通じない もう一度繰り返すが相手は 『おや?』という顔をした。
明らかに発音が違うのと標準語で話し掛けたことが意外と感じたのであろう よくよく考えてみると、ここは中山市(広東省)である。
一般的に地元で会話する場合、広東語になる しかも同じ広東語でも中山の方言がある 今回は急遽(きゅうきょ)1人旅 今までは何らかのつながりで案内人(通訳)を同行させていたが1泊2日の短い旅ということもあり あえて一人で現地ツアーに飛び込んだ為である。
実際にさほど道中は苦にならない 中国語で相手が話してくれる言葉の半分は何とか意思疎通が出来る。 こちらから話すことは通じない事も有る(言っている事は間違いないが発音が上手くない)
先ほどの会話は考えてみると話すことは全て広東語(中山方言)である 中国語もろくに話すことも聴くことも出来ない自分が広東語の世界に放り込まれたら明らかに会話が途切れる。
確かに添乗員が中国語で返事が返ってきた事が発音もさることながら異質に聞こえたのはその為である。(あなた中山の人ではないね! と言っている様なもの)
しばらく沈黙があって 改めて中国語で私は日本人ですと答え、やっと相手が理解した 当然こんな中に外国人がいるはずがないと思ったのは当たり前である。
申し込みのとき、受付の女の子は日本人でも問題ないと言ってくれたがその情報が添乗員に伝わっていなかったことがこんな結果になってしまった。
ようやく添乗員は理解できた様である この会話の様子は周りの人から一斉に私に目を向けられたのは当然である。
中国語の生の雰囲気を理解するのに絶好の機会と考えた事自体、当てが外れた。
華南地区(広東省)であっても中国語(標準語)での教育は基本である 学校教育は標準語で統一 そのため昔の人でも標準語の会話は不充分な人もいる しかし今の若者はそんなことは無い。 2日間 バスの観光案内、連絡は全て広東語 それでも何とか行動を共にしながら、観光が出来る。
唯一 宿泊の注意事項、集合時間等の会話は、それぞれに気遣ってくれ標準語、時には単語交じりの英語で会話が交わされる。
どんなところでも会話の大切さ、自分の意思を伝えることの大切さを改めて感じた、そして気遣ってくれたことに感謝。
一路北に進み約4時間半ほどで韶関(シャオグアン)という町に到着 昼食を取り、早速自然公園内を散策 ここは昔ヒマラヤ山脈の地殻変動の影響で隆起し陸地に変化したところ 当時熱帯気候の湖底にあった鉄分を豊富に含む土を酸化させ 赤紫の砂岩を作り、現在の光景に成ったと聞く。
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この自然公園の広さから言えばとても1日で回り切れるものではない、ごくごく1部を見学するに過ぎない。
ロープーウェイで展望台に登りそこから眺めるいくつかの岩山のスケールの大きさは、さすがに見るべきものがある しかし残念ながら、折からの霞がかかったような天候のため丹霞の字のごとく、はるか先は霞んでいる、岩山のスケールの大きさ、奇岩の魅力は十分堪能で来た。
途中 面白い形の岩が見られるとの事で、これもやはり霞んで写真にはうまく撮れない せめてもの話のタネに現地の案内板を添えておく。
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さて登るときはロープーウエィで簡単に登ることが出来る ガイドが帰りは自分の足で歩いて下りようと言い出す。
私自身も下りなら何とかなると簡単に考えていたが、最後の部分でとてつもない岩場があり、垂直の階段が作られている。
この梯子、その名も『天の梯子』と命名され、高いところが嫌いな(高度恐怖症)私は思わずロープーウエィまで戻ろうかと真剣に考えるほどの急勾配 しかしここまでの距離を考えるとあまりにも長く、戻るにも相当の時間が必要。
覚悟を決めるしかない 2人 3人と鎖を伝って下りて行く、若い女の子やおばさん連中が『キャー』『キャー』言いながら楽しそうである 団体の最後尾、後は自分しかいない 鎖が変形するのではと思うくらい、大げさでも無く、しっかり握り締め1歩、1歩足を運ぶ 何とも情けない格好に下の連中には映るだろう。
何を言われようと、そんなことは気にしない ひたすら足を運ぶのみ 崖の3分の2を過ぎた所でやっと恐怖心が和らぐ 気持ち的にあと少しという気分になる せっかくのチャンス 思い切って下の状況を写真に納めておこうとシャッターをきる。
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中国の観光地はどうしてこんな急な崖のようなところが多いのかと思ってしまう 特に名所旧跡の場所は高いところが多い!
やっとの思いで下に降り一息入れていると突然目の前をポリ容器に水を一杯にしたおじさんが天秤を担いでゆっくりゆっくりと今降りてきた垂直のがけを登ろうとしている 私から見ると驚くより感動もの 体の構造が違うのかとも思うくらい 岩山の途中にある土産物屋の人なのか?
毎日 このように水を運んでいるのだろう 無言で何事もないかの表情で登っていく。
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夕暮れ時 岩山を降り、しばらく行くと立派なお寺がある 今日の観光もあと少し お寺の前庭から眼下を見渡せる。
遠く川の流れが見え、今年最後の夕日が沈もうとしている。
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靄に包まれ、ぼんやりとした景色 近くで2人の僧侶が何事か話し込んでいる 夕日に照らされる横顔が赤く染まる 真剣な表情が印象的。
今年はどんな年だったのか? 仕事と赴任生活 今年も夢中で過ぎた1年!
海外でこんなことを思いながら大晦日を迎えるのは不思議な気さえする。
次の日は日本の元旦にあたる日 起床の時間が早い 眠い目をこすりながら朝食を済ませる。
ホテルから近い南華禅寺を見学 境内は広く幾つもの建物が立つ、人出も多い、広さ境内が広すぎる為、人の多さはあまり感じない 中国の旧正月の混雑ぶりはこの比ではないだろう。
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創建1500年を超える禅寺で大変由緒あるお寺だそうだ 境内を散策していると日本のお寺と変わらない、境内の香炉はどこも線香の煙が漂っている。
熱心な信者が両手で線香を持ち、頭を下げる光景はこの国も仏教が栄えた過去が理解できる。
その後日本に伝えられ、仏教文化が花開いたことが境内の風景からも感じ取れる。
髪を赤く染めた若者が線香をあげる姿は少し異質な気もするがやはりこの国も刻々と時代が流れている証拠で有ろう。
夕日に赤く染まった横顔の僧侶、赤く染めた髪をなびかせ祈りをささげている若者など、あの赤い旗のもと いろんな世代、いろんな階層の人達がこの国の将来を支えていくことであろう。
この先10年、20年後はどうなっているのだろう!
そしてその時は自分はどんな思いでこの国を見ているだろうか?
境内はいろんな建物が並び、どれをとっても歴史を感じる 人々の祈りの姿が途切れない。
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私も新年の初詣の気分で祈りを捧げる 新しい年の始まり、赴任4年目、実績が求められる年月が経過している 新しい年は始まっている。
途中、帰路に着く前に新年の街の様子を見学する ここも人出は多く、にぎやか。
香辛料、海や山の産物が並べられている、たくさんの食材が並ぶ市場を見て回る。
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おなじみの産物も有れば、見た事もない、商品も並ぶ どの国も市場に行けばその国の食文化が、よく解ると言われるがその通りである。
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買い物客で混雑 写真を撮る私に物珍しそうにこちらを向く人も多い 今回バスに同乗した客も品定めをしている 私を見るなり、笑顔を返してくれる 同じ仲間として認知された気がした。
決して異質な目で見る仕草は無い! これで会話が少しでも出来れば、なお楽しいだろう!
早く、会話のレベルを上げないといつまでたっても笑顔の会話だけでは寂しい!
純粋な地元のツアーを体験出来た いろんな事も有るがとても、貴重な体験。
次の休暇も地元ツアーに挑戦してみるか!
夕日に向かって、バスは岐路に着く!
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