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ういろうプリン

基本的に芸人の解散について、思うことがあっても何も発信してきませんでした。
性格なのかずっと芸人をしているせいなのか

「本人が一生懸命考えて出した事に簡単に口を出すべきではない」とか
「人の事をどうこう言ってる場合じゃない」とか
「いいね稼ぎだと思われたくない」とか
「何か言える関係性じゃない」とか
「おこがましい」とか
「恥ずかしい」とか
「芸人が真面目な事言ってもな」とか…

色々考えてしまって、沢山の解散を(本人に伝えることはあっても)黙って見送ってきました。
でも今回のういろうプリンの解散だけは。ういろうプリンの事だけは、上に書いたようなことを誰に思われてもいいから、書いておきたいと思いました。
人の解散についてなにかをいうのはこれが最初で最後だと思います。それくらいういろうプリンというコンビは、僕にとって特別で大切な存在でした。

ういろうプリン。本当にまじで超すごいコンビでした。

漫才の事で言ったら、解散したからとか仲良しだからとか関係なく、間違いなく関東で一番上手いコンビだったと思います。漫才をやっているからこそ、二人のあの自然な喋り、空気、感情の出し方、強弱のつけかた等々がどれだけとんでもない技術の集合体だったのかよくわかります。見てる人もわかると思いますが…


「漫才は立ち話」ってよく言うんですけど、あの二人ほどそれを見事に体現できるコンビはなかなかいません。出し物感が全くないんですよね。二人が普通に出てきて、普通に今思っていることを話してるように見える。あんなんできないですよ普通。化け物ですよほんとに。しかもね、あんなに漫才上手いのに「面白い」が一番に来るんです。上手さを見せない上手さっていうんですかね…例えばもし自分がMー1の決勝に出て優勝できたとしても僕絶対(いやでもういプリちゃんのが面白かったしな)って思います。そのくらい絶対的に追い付けない漫才をしていたと思います。もう今「していた」とか過去形に書くのも嫌なくらいにはめちゃくちゃ寂しいです。

でね、何がすごいってあの二人、特別な才能は無いんです。言い方はおかしいですが。

普通の才能しか持ってない二人が、時間と労力をすべて漫才に全フリして、武骨に磨き続けて少しずつ強くなって、いつのまにか最強レベルの漫才師になってた、みたいな事なんです。

だから二人はかっこいいし、強いし、面白い。努力がわかるから「羨ましい」なんて無責任な感情すら生まれないんですよ。ちゃんと血と汗を流してつけた実力なので。ナルトのロック・リーみたいな。ダイの大冒険のポップみたいな。かっこいいんですよ。


あんまり言ったことがないですが、思い返してみれば自分の芸人人生はういろうプリンの影響の連続だったように思います。

まず自分達が漫才をするようになったのもういろうプリン。事務所に入ってきたころはなんの印象もなかった当時のブルーセレブがどんどん面白くなっていくのを見て「漫才って努力を積み上げて面白くなれるんだ」と思ったのがきっかけです。

そして今ずっとやっているライブ、激漫。そもそも誘ってくれたのはういろうプリンの二人でした。

当時再結成をして、人気も仕事もゼロになり途方にくれていたところに「一緒に新ネタ作るライブをやりませんか?」と声をかけてくれました。そこに後輩の馬稼業を加えた三組で激漫は始まりました。当時は本当に誰も人気がなくて、毎回友達みんなにラインして、それでも集まらなくて。来てくれた二人のお客さんの前で新ネタをおろしたりしてました。ぬるま湯だったと思います。正直「全員ダメだし、居心地いいからいいや」みたいに思っていた時期もあります。Mー1で勝ち進むのは遠い未来の話で、新ネタ作っとけばいつかいいネタできるでしょ、くらいの気持ちで毎月新ネタを作っていました。そんな中でもういろうプリンは常に前に進む事を見据えてもがいていました。毎月「全然できてないよー」と言いながらちゃんと漫才と向き合っていました。まだ準々決勝などに残る前の、ライブでも話題になっていない頃も、ういろうプリンは「1回戦はこのネタ、2回戦はこれ、3回戦はこれで準々はこれ。準決は…」と、決勝に行くつもりで戦っていました。一番早く準々決勝に進んだのもういろうプリン。そこから激漫メンバー、自分的にも火がついたと思います。
漫才に対する姿勢で、それで出す結果で引っ張られました。

ういろうプリンはコンビ仲もめちゃくちゃ良くて。これは漫才だったり平場に出てるとは思いますが。普段、内間が丸山にめちゃくちゃ怒るんですよ。言い過ぎだろくらい言うんですけど、やっぱそこには信頼があって、二人ならどんなに言い合っても平気なんだろうなっていう安心感があるんですよね。そういうのも二人の漫才が面白かった理由なんだと思います。

あとすごかったのは3年くらい前、の丸山の覚醒。

内間はずっと面白いんですよ。突っ込み超上手いし、人間性も変だし、ハゲてるし、家賃滞納してまで健康の為に自然食しか食べないのにMー1当日に風邪引くし。でも、丸山って前はそれこそ「小手先芸人」だったんです。テクニックだけでなんとかしようとする、というか。でもある日それを全部捨てて開き直ったんです。「もう俺面白いこと言えない」って。
それ以来、いじったら舞台上なのに黙って拗ねたりとかとにかく素を出すようになって。「何が起きるかわからないワクワク感」が体中からバンバンにじみ出るようになって。本当に嫉妬しましたよ。超面白くなっちゃったよ丸山…勝てないよこれは…テレビ出たら超跳ねるよ…と。きっとそれは漫才が面白いっていう自信が逆にそうさせたのかもしれないし、内間と常に向き合って(というか怒られて)なにかが変わったのかもしれないし、それもコンビ間の信頼があったからなのかなとも思ったりします。とにかく、丸山覚醒は超かっこよかったし、それ以降僕は丸山と話すのが楽しくて仕方なかったです。

心のどこかで「この二人は近々Mー1で決勝に出て優勝争いとかするんだろうな」って思っていて、だからこそ自分も結果を出したい、と焦る事ができたし、漫才でういろうプリンに勝てないなら、と他に目を向けるきっかけになりました。勝手な持論ですが、今の時代、僕は漫才だけをやるのって思考停止だと思っていて、それ以外のYouTubeだったり、他の事も総合的に頑張るべきだと思うんです。でも例外として、漫才の事を24時間考えられるほどの漫才馬鹿は漫才に全部かける資格があると思っていて、それがういろうプリンであり、それに該当しない自分は漫才だけにかけちゃダメだって思えたんです。これが正解なのかはまだわかりませんが。でも今までの選択は、本当にういろうプリンの影響が大きいんだな、と思います。

めちゃくちゃ、寂しいです。
めちゃくちゃ、もったいないと思います。
でもこれは二人が出した結論だから、と無理矢理受け止めてます。

SNSでういろうプリン解散が発表されたとき「影ながら応援するお客さんのせいだ」的なツイートをしている芸人さんを見ました。

ようは解散したときだけもったいないとか言いやがって!みたいな事なんでしょう。その声が届いていれば解散を止められたかもしれないのに…!みたいな。それを見たお客さんが「伝える事で止められたんじゃないか」とか「こんな時だけ悲しむのも申し訳ない」とか「なにかできることあったんじゃないか…」って胸を痛めているのをたくさん見ました。でも確実に言えるのは、ういろうプリンにはお客さんからの愛情も、応援も、面白いという声もしっかり届いていた、という事です。激漫の取り置きだっていつもダントツだったし、ライブに出れば面白かったってツイートはたくさんありました。だからもしも少しでも自分に責任を感じている方がいたら、そこは安心してください、と言いたいです。そういう次元じゃなく二人のなかで、僕ら周りの芸人の声もお客さんの声も届かないところで解散という結論になったんだと思います。こればっかりはしょうがないです。人生の事なので。

一年後輩だけどほぼ同期みたいな存在。
今まで、本当にしんどい時も、逃げたい時も、それこそ辞めてしまいたい時も「ういろうプリンも頑張ってるんだから」と思うと踏ん張れました。

激漫当日、どんなに寝てなくても内間と丸山と話すと楽しい気持ちになれました。

ういろうプリンがいる激漫が大好きでした。
あー、本当に、楽しかったなぁ。

ういろうプリン、人間としても芸人としても、二人の事が大好きでした!
一緒に頑張れて最高だった!またいつでも戻ってきてほしいです!


とりあえず、お疲れさま!

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