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【読書メモ】日日是好日/森下典子

なぜ読もうと思ったか

SNSで「この本を読んだことがきっかけで◯◯を始めました」という投稿を見て、人の行動を変えるほどの内容・文章ってどんなものだろう?と興味を持ったから。

数年前に、映画化されたのをアマプラで見たけど、ぼんやりとしか内容を覚えていなかったのもあって書籍を手に取りました。最近少し時間があって、ビジネス以外の本を読みたかったのもきっかけでした。

感想

自分との向き合い方を、15のヒントから教えてくれる本です。

お茶という題材を通して、「今」を捉え物事の理に気づいたり、自分の内面を見直して在り方を整えたりする生き方を述べています。

特に印象に残ったのは次の3点。

1)「自分は何も知らない」ということを知る

プライドを捨て「自分は何も知らない」と認めることで、新しい知識や経験を入れることができること。

2)別れは必ずやってくること

出会いも別れも必然で、タイミングを管理できない一期一会(人生で一度きり)だから、今その時思ったことや考えたことは実行したほうがよいこと。

3)成長を待つこと

気づきや学びを自分の血肉にするためには、自分の経験に基づく必要があること。

仕事では「目的を確認し、達成のために逆算して行動に移す」流れをとるけど、この本では「そこにある日常、今をそのまま感じる」ことで気づきを得られることを全体を通して述べています。
また、「できる」「できない」や「イエス」「ノー」ではなく、「やめるまでやめない」…判断を状況や時に委ね、ただ心のままに物事をすればよい、それはふとした瞬間に気づきや学びになるから、とそっと背中を押してくれます(冒頭のSNSで見たひともそれで行動に移したのかしら)。

仕事と生活、どちらも幸せに過ごせるように、この本を参考に考え方や在り方を切り替えて生きていきたいと思いました。

気になったことば

「自分は何も知らない」ということを知る
頭で考えようとしないこと
「今」に気持ちを集中すること
見て感じること
たくさんの「本物」を見ること
季節を味わうこと
五感で自然とつながること
今、ここにいること
自然に身を任せ、時を過ごすこと
このままでよい、ということ
別れは必ずやってくること
自分の内側に耳をすますこと
雨の日は、雨を聴くこと
成長を待つこと
長い目で今を生きること

日日是好日 もくじより、15のヒント

世の中には、「すぐわかるもの」と「すぐにはわからないもの」の2種類がある。すぐわかるものは、一度通り過ぎればそれでいい。けれど、すぐにわからないものは、フェリーニの『道』のように、何度か行ったり来たりするうちに、後になって少しずつじわじわとわかりだし、「別もの」に変わっていく。そして、わかるたびに、自分が見ていたのは、全体の中のほんの断片にすぎなかったことに気づく。

日日是好日 p5

ものを習うということは、相手の前に、何も知らない「ゼロ」の自分を開くことなのだ。それなのに、私はなんて邪魔なものを持ってここにいるのだろう。心のどこかで、「こんなこと簡単よ」「私はデキるわ」と斜に構えていた。私はなんて慢心していたんだろう。

つまらないプライドなど、邪魔なお荷物でしかないのだ。荷物を捨て、からっぽになることだ。からっぽにならなければ、何も入ってこない。

日日是好日 p48

決して立ち止まらせてくれなかった。過ぎた過去にしがみつくことは、許されなかった。

「さあ、気持ちを切り替えるのよ。今、目の前にあることをしなさい。『今』に気持ちを集中するの」

日日是好日 p70

「やめる」「やめない」なんてどうでもいいのだ。それは「イエス」か「ノー」か、とはちがう。ただ、「やめるまで、やめないでいる」それでいいのだ。

(そうだ、気がきかなくてもいい。頼りにならない先輩でいい。自分を人と比べない。私は、私のお茶をすればいいのだ)

日日是好日 p180

人生に起こるできごとは、いつでも「突然」だった。昔も今も…

もしも、前もってわかっていたしても、人は、本当にそうなるまで、何も心の準備なんかできないのだ。結局は、初めての感情に触れてうろたえ、悲しむことしかできない。そして、そうなって初めて、自分が失ったものは何だったかに気づくのだ。

日日是好日 p195

会いたいと思ったら、会わなければいけない。好きな人がいたら、好きだと言わなければいけない。花が咲いたら、祝おう。恋をしたら、溺れよう。嬉しかったら、分かち合おう。
〜中略
一期一会とは、そういうことなんだ…

日日是好日 p196

私たちはいつでも、過去を悔やんだり、まだ来てもいない未来を思い悩んでいる。どんなに悩んだところで、所詮、過ぎ去ってしまった日々へ駆け戻ることも、未来に先回りして準備することも決してできないのに。

過去や未来を思う限り、安心して生きることはできない。道は一つしかない。今を味わうことだ。過去も未来もなく、ただこの一瞬に没頭できた時、人間は自分がさえぎるもののない自由の中で生きていることに気づくのだ……。

日日是好日 p217

先生は、私たちの内面が成長して、自分で気づき、発見するようになるのを、根気よくじっと待っているのだった。

日日是好日 p226

本当に知るには、時間がかかる。けれど、「あっ、そうか!」とわかった瞬間、それは、私の血や肉になった。

もし、初めから先生が全部説明してくれたら、私は、長いプロセスの末に、ある日、自分の答えを手にすることはなかった。先生は「余白」を残してくれたのだ……。

日日是好日 p227

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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