見出し画像

SDGsという言葉。
近頃よく耳にするようになった方も多いのではないでしょうか?

国連総会で採決された「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、環境問題や社会問題、世界全体で取り組むべき問題に関する目標としてまとめられたものです。

 その中でも、日本では2020年7月、プラスチック製買い物袋の有料化がスタートされ「脱プラスチック」というワードを聞くことも増えたのではないでしょうか?

しかし、生活には欠かせないプラスチック。

少しでも環境に配慮した形に変化・進化させることはできないか。
5年後、10年後、さらにその先を見据えプラスチックの製造を考える企業があります。

 株式会社サンエイプラテックは、新たな素材でのプラスチック製造に少しずつ取り組んでいます。

 新たな素材のプラスチックとは?

そして、未来の地球のためにできることとは?

 代表取締役の岡田全也さんにお伺いしました。

石油由来のプラスチックからバイオプラスチックへ

株式会社サンエイプラテックはプラスチックの射出成形を主に行っています。

簡単にいうと製品のプラスチック部分、例えばスポーツサングラスの部品や車の部品、さまざまなプラスチック部品の製造業です。
基本的には従来の石油原料のプラスチック部品を製造しています。

その中で何か世界で問題となっているプラスチックごみ、海洋プラスチックの問題に取り組めることはないかと、環境に配慮したポリ乳酸を使った製品に少しずつですがチャレンジしています。

ポリ乳酸というのは、サトウキビの搾汁やとうもろこしのデンプンを乳酸菌が発酵させるプロセスを経て化学合成されるプラスチックです。

これは生分解できる素材で、燃やさなくても土に埋めておけば土壌中などの微生物によって分解され、最終的に二酸化炭素と水になるようなものです。

見た目は石油由来のプラスチックと変わらないので、ある程度代用できるようなものも作れるのではないかと考えています。

しかしながら、まだまだ世の中にも認知されていないので、少しずつ商品を作りながら認知活動を行っています。


家業、そして自己実現

私は元々福祉の仕事をしていまして、保育士を3年、障害者の自立支援施設で5年、計8年福祉の仕事をしていたのですが、結婚を機に実家のことも考えるようになり、そこから父親がやっていた会社を継いで創業しました。

それまで全く違う業種だったので、ある日いきなり社長に就任するとなって5年くらいは大変でした。技術的なことはもちろん、財務的なことや経営面など。

そこで、まずは今まで父親が培ってきた膨大な量のデータを読み解き、整理して体制づくりに注力しました。

初めのうちは何が正解なのか、なぜ不具合が起こっているのかわからない時期もありましたが、自分が勝負できるところってどこだろうと考えたら、唯一コミュニケーションは取れるかなと思い、何か問題が起こったら、お客さんのところに行って、次同じことを起こしたくないのでどうしたらいいか相談させてもらって、それをまた従業員にフィードバックして、ひとつずつ体制化していきました。


社員のみなさんとのコミュニケーションも大事にしています。

そして、そこそこ経営も回せるようになってきて、何か自分のやりたいこともチャレンジしたいと思い、今までの経験から「なるなる保育園」という保育園を常磐町に作りました。

そうして製造業と保育園という2つを同時並行で進めていく中で、2019年ごろから地球環境の問題や海洋プラスチックの問題、SDGsのことを耳にするようになりました。

私自身、保育園を始めて子どもたちと関わる中で5年後、10年後という未来について考える機会が増え、何か取り組めることがあるのではないかと思ったんです。

その時出会ったのが、ポリ乳酸でした。

それまでもバイオマスプラ、例えば木粉をポリプロピレンと混ぜて樹脂に流すというものは知っていたのですが、それは私の中ではプラスチックといえど似て非なるものというか、強度もないし、あまりものづくりとして良いなと思えるものではなかったのですが、ポリ乳酸はサトウキビ糖と乳酸を原材料としてペレットとして完成されているものだったので、面白そうだなと思いました

ちょうどその頃、堺市のものづくり支援課(現地域産業課)で実施していた「さかいセカンドスタートアップ(SSS)」というプログラムに2期生として参加していました。

そのプログラムは、今やっている仕事の業務量をコミュニケーションの活性化やITの導入など、従業員も交えて効率化させることで100%から80%にして、余力ができた残りの20%の部分でイノベーション創出や新規事業に取り組むというプログラムでした。

そこで、我々はSDGsの取り組みをしたいと思っていたので、ポリ乳酸での製品製造に着手することにしました。

ある時、環境局の方からアルピニストの野口健さんが来られるシンポジウムで何かノベルティを作れないかとご相談いただいて、SSSで取り組んでいたものさしだったら作れますということで「エコプラものさし」を作らせていただきました。

さらにそこから教育委員会が行っている、企業による学びのプログラムにも参加させてもらっています。
学びのプログラムでは、環境教育に関して出前授業をしています。

小学校4・5年の子どもたちに向けて、SDGsの説明や地球温暖化の原因、大気汚染の問題、そしてプラスチックの問題について授業をしています。


環境問題にも真剣に取り組んでいます。


身の回りにはプラスチックって本当にたくさんあって、プラスチックによって便利になってきたこと、助かってきたこともいっぱいあると思います。

そんなプラスチックですが、今のプラスチックは石油からできているので、焼却しないと廃棄できないんですね。なので使い終わったらごみとして焼却するほかない。

そうすると、もちろん大気汚染につながりますよね。

さらに、適切にごみとして焼却されるだけならまだしも、今問題となっているのが、ポイ捨てや不法投棄です。

そういった行為によってプラスチックごみが海へと流出し、海洋生物がプラスチック製品を餌と間違えて取り込んでしまいます。プラスチックは体内で消化されないため、内部を傷つけ死んでしまったり、海の産業では漁獲用の網などにごみが絡まり、網が使えなくなるといった影響もあります。それに加えて、プラスチックは焼却されない限り数百年も分解されることなく環境中にとどまると言われています。

特に細かく砕けたプラスチック粒子のマイクロプラスチックは、PCB(発がん性物質)などの有害物質を吸着してしまいます。

そういったマイクロプラスチックを魚たちがそれを食べ、その魚を我々人間が食べることで、結果として人間が有害物質を取り込んでしまうリスクがあるといった問題もあります。

では、こういった問題に取り組むために何ができるのか。

エコバックを使ったり脱プラスチックをしたり、環境にやさしいプラスチックを使ったり、子どもたちが実際にできること、そして我々のような企業ができることを紹介しています。

そういうことをそれぞれの学校の先生と、授業の進み具合や何を中心に話して欲しいかなど相談しつつ、各学校に合わせて話をするといった取り組みを行っています。

これからもできるだけいただいたオファーには応えていきたいです。

 

このように我々はSDGsの中では、「4.質の高い教育をみんなに」、「12.つくる責任、つかう責任」、「14.海の豊かさを守ろう」「17.パートナーシップで目標を達成しよう」この4点を意識して、製造業はもちろん、教育現場や保育園でも取り組みを進めています。


岡田社長が作った「地球に帰るSDGsバッジ」と「SDGsの絵本」

親の仕事を継いで、自分のやりたかった保育園を経営して、SDGsやポリ乳酸という素材に出会って…

保育園も子どもに残したいもの・伝えたいこと例えば生きる基礎とかそういったことってあると思いますが、ものづくりでも結局めざすところは一緒かなと思ったので、自分の中でひとつになったというか、自分が生きてきた流れで自分が大事だなと思って取捨選択してきたものが、全部手元にあって、そこを深掘りできるような環境にあるので、それが楽しいですね。

自然と関わり、残していく

SDGsの取り組みは、正直先の見えない部分も多くて、この2年間でもレジ袋が有料化になって、今度はスプーンやフォークといったものも有料化になっていくだろうと言われていて…

これから国がどんな法律を作ってどういう方向に進んでいくのかまだわからない部分も多いです。

しかしながら、急に石油系の樹脂に規制がかかって、新しい素材を使ってくださいとなった時に対応できるようにしておかないといけないと思っています。

地球環境を考えていけば、そういった方向にシフトしていかないといけないなとも思っています。

いずれそういった素材で仕事するのが当たり前という時代が来るかもしれないですし、そういう時代が来てくれれば嬉しいなと思いますね。

子どもたちと関わる部分に関しては、環境、自然に関わっていって欲しいですね。

堺市は結構資源があって、都市部に比べたら自然も多いので、保育園では自然と関わる割合を増やしていきたいと思っていて、堺のめぐみという堺で作った野菜を農家さんから買わせていただいて、それを給食に使ったり、子どもたちと一緒に大根を植えたり、プチトマトを収穫したり。

生きるって結局のところ食べることとかにつながって、そこが一番大事だと思うんです。
なのでできるだけ生きるということに直結するような保育を心がけています。

私のこういった根幹になっていることはなんだろうと考えたら、小さい頃に両親が海とか山に連れて行ってくれてその時のいい思い出と結びついているのだと思うんです。

だからこそ子どもたちにそういうものを残していかないといけないなと思いますし、もうちょっとしっかりと大人が子どもたちに背中を見せられるというか、範を見せられるようにならないとなと思いますね。



株式会社サンエイプラテックHP
サンエイプラテック 大阪府堺市のプラスチック射出成形・電線加工 (saneipla.jp)


堺市イノベーション公式Instagram
【堺市イノベーション】(@sakai_innovation) • Instagram写真と動画


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?