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世界的なパンデミックが起きたここ数年。

外出を控える人も多く、インターネット通販をこれまで以上に活用された方も多いのではないでしょうか?

スマートフォンが普及し、いつでもどこでもインターネットにアクセスできる今、ワンクリックで商品が届くということが当たり前になりました。

非常に便利になっていく世の中ですが、

その反面、物に溢れ、人との繋がりが薄れる不安を感じることもあるのではないでしょうか?

そんな時代だからこそ、ネット通販の新たな拡がりを考える企業があります。

 

株式会社アンリミットは“小売業”を今一度見つめ直し、ネット通販らしくないネット通販にチャレンジしています。

ネット通販らしくないネット通販とは?

ものが溢れる時代の“小売業”とは?

 

一度原点に立ち返る、そんなヒントになるかもしれません。

代表取締役の藤井智英さんにお伺いしました。

 

 

メーカーと一緒にプロモーションに取り組む

 

弊社はネット通販の事業を行っております。

インテリア系の家電、照明や便利グッズ、インテリア雑貨などを扱っています。

その中でも、あまり認知されていないメーカーを積極的に扱うようにしています。

認知が及んでいないメーカーも良い商品がたくさんあるので、既存の売り方・進め方ではなく、お客さまの視点とか、人の感覚、捉え方というところから考え直しましょうと、メーカーさんとキャンペーンを考え直したり、あるいはブランディングから一緒に取り組んだりといったことも行っています。

 

体に染み付いた小売という仕事

私の母の実家が、古い村のいわゆる万屋といった、野菜から日用品まであらゆるものを扱っているような商店でした。

その商店がすぐ近所だったので、子どもの頃からずっと出入りをしていました。祖父があれこれやらせるタイプの人でしたので、私が興味を持って店の手伝いをするようになると色々指導してくれました。

小学校の低学年ぐらいから、ラベラーを打ったり、商品を詰めて並べたり、陳列したり、仕入れた順に古いものを前に出して、新しいものを後ろに入れる先入れ・先出しみたいなこともしていました。

母も一緒にやりながら、どうしたらお客さんに伝わるかなども教えてくれましたね。

例えば、仕入れたみかんをかごに入れて並べる時、段ボールの切れ端にひとかごいくらと書いて陳列するのですが、値段をただ書くだけだと売れないので、「甘いよ」とか一言入れたり、心を掴むような工夫がいるということを教えてくれたりしました。

細かいことをたくさん教えてくれて、子どもながらにそれを面白いと思いながらやっていました。

そこから働き始める年齢になってもその意識が根付いていて、やっぱり小売業をと思い株式会社

ソフマップに就職しました。

ソフマップでは、創業者がすごくベンチャー精神の強い方で、社内でも新しいことに対して寛容だったこともあり、現場サイドからの意見が通る環境だったので、すごく面白い会社でした。

自由な発想でやらせてもらえたので、小売精神を発揮でき、小売の楽しさを実感していました。

その後、ソフマップが株式会社ビックカメラのグループに入るのですが、色々と協調を図っていかないといけない部分や、規模の大きさゆえに小回りが利かない部分など、これまでのように進められない難しさやもどかしさを感じるようになって…

なおかつ、自分自身の役職や扱う金額がどんどん上がり、自分のやりたい現場に近い仕事ができなくなっていきました。

学ぶことも多く非常に良い経験になりましたが、人生も折り返し地点に差し掛かるところで、今一度本当にやりたい仕事で心を砕きたいと考え、独立を決めました。



独立を決めたときの事を話す藤井社長


実績もない状態からのスタート

しかし、いざ独立をしたものの、どういうものを扱って、どういう形でやっていくのかというところは非常に悩みました。

ソフマップで18年ほど勤めたうち、後半10年ほどはネット通販の部門に立ち上げから関わっており、知見があったので、ネット通販という手段を選択しました。

売る商材はどうしようと考えた時、元々家電屋さんですから、家電はわかりますよね。

でも、大手と同じことをやっても勝てるはずもないので、大手がやらないであろうことをやろうと。また、メーカーによっては大手に売られると値引かれるので、大手に売って欲しくないと大手を避けるメーカーもあります。なので、そういったメーカーの商品を中心に集めようと思いました。

しかし、そうなると今までの人脈が一切活用できないので、ゼロからのスタートになり、飛び込みで営業をかけるところから始まりました。

今は大体35社ほど取引させていただいていますけれど、最初はどこの馬の骨かわからない創業したての会社が連絡してきてもやはり門前払いばかりでした。

ですが、とりあえず試しにやってみましょうといってくださるメーカーも徐々に見つかっていき、信用も実績も何もない状況から少しずつ積み上げていきました。

ECサイトに関しても、戦略的には、先述のように大手ができないところに競争の視点を変えていくことにしました。

一方で、同じような商材を扱っている専門店もいらっしゃる中で、どう差別化していくか、他社のこともかなり調べました。

ページづくりから仕入れている商品、送料、リードタイムがどれくらいあるかなど、細かく調べました。

そこで、ひとつでた答えがあります。専門店は商品説明に比重を置く傾向が強く、商品のことが好きなんだろうなという熱量は伝わってくる。

でも、購入者からしたら大量の情報と熱量で長々と説明されても最後まで読むのかなとそう思い、もっとシンプルに、しかしシンプルすぎてもそれはそれで寂しいので、デザイン性を維持しながらもできるだけシンプルにスマートに作っていくことにしました。

そこから、量販店にいた経験である程度商品数を増やせば売り上げが比例してくるというのは感じていたので、競合設定している企業を調べて、どのくらいの商品数を扱っているか把握し、最低限同じくらいの数には持っていかないといけないなと、おおよその方向性を決めてスタートしました。

しかし、当初は私一人でしたので、ECサイトのページひとつ作るのにも1個1個手作業で、1日5アイテムくらいの掲載がやっとでした。

それをコツコツと積み上げて、現在6年目でやっと4,000アイテムくらいまで到達しました。

商品の幅も広がってきまして、逆にメーカーから商品を扱ってほしいとおっしゃっていただくことも増えてきました。

でも、まだまだ商品数は足りていないので、現在の会社規模であれば1万アイテムくらいには到達したいなと思っています。

 

 

購入したその先を考える

今、ネット通販でひとつの商品を買うとなってもいくつも選択肢があって、商品も豊富にありますよね。

そんな中、一消費者としてみた時に、例えば即日配送ですとか明日届きますという商品があれば、やはりその方が売れますし、同じ金額であればもちろん即日配送で頼むと思います。

ところが、それが同じ金額ではなくて、取り寄せだけど安いとなるとどちらを選ぶかはお客さまによると思います。

さらに、価格競争となると、他のお店ではいくらで売っているのか市場調査をして、調べた結果、追従して値段を下げるのか、あるいそのままの価格で行くのか、そういうことに頭を使って、時間をかけて思案しないといけなくなります。

ただ、それって利益を削っているということなんですよね。利益を削るために、お金や時間や頭を使うなんて、それはちょっと違うなと思い、そこに一切手間も時間もかけなくて良いように、定価でカチッと縛られている商品、そういったメーカーだけを扱うようにしました。

その分、商品ページやお客さまの対応を手厚くするようにしています。

量販店にいた時から接客がすごく好きで、お客さまと話をしながら商品を選定して、最終的にお買い上げいただくのが嬉しかったんです。

お客さまは例えば何か困りごとがあって、それを解決するために商品を買いに来ていたり、あるいは何か目新しいものを求めて買いに来ていたり、様々な背景があると思います。

その背景は色々話さないと見えてこないんです。だから量販店時代はお客さまとすごく話しました。

やはり納得して買ってもらいたいと思っていましたし、困りごとを解決して差し上げるとか、何か新しい価値や喜び、発見などを提供するということがすごく楽しく生きがいになっているなと思っていました。

ずっと小売をやり続けている中で、我々はお客さまからお代金をいただいて収益を得ているわけですけど、それが故にいただく以上に価値を提供しなければならないと思っています。その価値はなんなのかと考えると、満足だったり、困りごとを解決したというような結果だったりが必要なのかなと思っています。

それは私たちが今扱っているような商材も一緒で、例えばキッチン周りの雑貨であったら、綺麗に整理されていて、自分の満足のいくキッチンであればすごく気分が良くなると思うんです。

そうすると、晩御飯作るのも頑張っちゃおう!と楽しくキッチンを使ってもらえると思います。

照明ひとつでも、デザイン性の高いものに変えるとかなり雰囲気が変わって、いつもの部屋の雰囲気がぐっと良くなる。

そのように、商品を使うことで「なりたい私」「ありたい私」に近づくサポートができれば嬉しいなと思っています。

マーケティングの世界で「AIDMA」という概念があります。

消費者の購買決定プロセスですが、「Attention(注意)」「Interest(関心)」「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(行動)」この5つのプロセスで購買に結び付けられます。

我々はその先に「Do」と「Be」があると考えています。

購入した後に、お客さまがその商品を使って(Do)
そして日常になる(Be)。

買っていただいたら、そのお客さまは買った後にどんな生活が待っているのだろう、そう想像しながら販売しています。

その結果、お客さまにも満足していただいていると実感していまして、「ルームクリップ」というインテリア商品やお部屋の様子などを商品の購入先を含めて投稿し共有するSNSがあるのですが、そこにお客さまが我々から購入した商品をたくさん投稿してくださっていて、それをルームクリップの運営の方から教えていただきました。

お客さまが我々の商品を買って、満足していただいたからこそ共有してくださったり、ご自身のインテリアをみてほしいと思ってくださる。そのようなお客さまの満足を実感することで我々としても非常に嬉しく、お互いに良い関係を築くことができるのだと思います。




お客さまの満足を生むには社内の満足から

弊社は製品の販売を通して、「心の豊かさ」「満たされた心」を一緒に届けたいと常々考えています。

しかし、そのためには販売する側の我々自身が心豊かでなければなりません。

弊社は子育て世代のママさん達ばかりが働く職場です。

世間では「女性の社会進出」と言われているものの、一向に進んでいないと感じています。

また、子育て世代のママさん達の中には、高いスキルを持ちつつも就業条件が合わず、埋もれてしまっている人材が多くいると思っています。

そこで、弊社はかなり柔軟な考えで雇用し、率先して女性の活躍の場を作りたい。

お子さんの急病やケガ、行事ごとで急遽休まないといけないといった事態にも対応できるようにテレワークを導入し、体制を整え、安心して働いてもらっています。

また、業務内容も得意分野や挑戦してみたい分野に深く関わってもらっています。

業務に関わる資格を取りたい方には資格取得制度も設けています。

現に、弊社の新コーポレートサイトをはじめ、ECサイトの一部などは、国家資格を取得した従業員によって作られています。

他にもライター経験のある方やグラフィックデザインの経験がある方など、弊社のスタッフ達は相当なスキルの持ち主ばかりです。

企業側が理解と体制さえ整えれば、埋もれた人材はまだまだいるはずです。

 

こういった働きやすさやサポート環境の整備、何より会社が理解を示すことで、従業員の満足度やモチベーションが飛躍的に向上します。

アイディアが自然と出てきたり、率先して行動できたり…それらは結果、お客さまの満足というところに波及していきます。

お客さまに価値や満足を提供しようとするならば、まず社内や取引先など、弊社に関わっていただいている方々が心満たされ、やりがいを感じている必要があり、一番に会社が心を砕かないといけないところだと強く思っています。

 

ネット通販らしくないネット通販に

ネット通販はやはり顔が見えないこともあり、特に一方通行のコミュニケーションになりがちだと思います。買う側も売る側も双方向のコミュニケーションが少ないですよね。

でも、それってすごく乾いた関係だなと思っていて。

生活している中で物を購入する場面はたくさんあると思うのですが、そういった場面でお互いに感謝が生まれたり、心地よくなることでちょっと幸せになったり、人と人の関係を潤していくこともできるのではないかと思っています。

買う側が嬉しく満足するのはもちろん、売る側も買ってもらって嬉しい、満足するとお互いに潤っていきます。

お互いにありがとうと思う。

ものを購入するときにそのような場面・関係を我々が生み出すことで、少しでも世の中に波及してコミュニケーションが潤っていけばいいなと思っています。

 

また、ゼロの状態から独立して、起業を経験したので、そういった経験も活かしていきたいと思っています。

独立した時は、一人で不安でいっぱいだったのですが、ソフマップ時代に知り合った堺市の企業さんにS-Cube(さかい新事業創造センター)をご紹介いただいて、入居しました。いざ入居してみるといろいろな企業がいらっしゃって、皆さんそれぞれ業界も違えば背景も違う。

いろいろな話が聞けますし、創業して数年の企業が多いので、皆さんを同志のように感じていました。

不安な中、S-Cubeに来たら皆さん頑張っていらっしゃってそれで自分も頑張ろうと思いました。

私も創業から6年たちましたので、最近は創業を考えている方の支援や、講演で起業した経験や不安を払拭する方法などを伝えたりもしています。

そのような側面でも、貢献していけたらと思っています。

 

株式会社アンリミット
株式会社 UNLIMIT (unlimit-net.com)



堺市イノベーション公式Instagram
【堺市イノベーション】(@sakai_innovation) • Instagram写真と動画

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