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読んだそばから忘れる

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毒にも薬にもならない読書の記録。
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2020年1月の記事一覧

私と笑いと阿佐ヶ谷姉妹:阿佐ヶ谷姉妹『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』

ファンというほどではないが、阿佐ヶ谷姉妹が密かに好きだ。追いかけている訳ではないけれど、テレビに出ているとなんとなくほっこりしてつい見てしまう。 ついでに言うと、中学生くらいの頃、お笑い芸人になりたいと思ったことがある。 当時、NHKでやっていた「爆笑オンエアバトル」が大好きで、同じようにハマっていた友人と面白かったネタをマネしてはげらげら笑ったり、果ては「お笑いすごい、ってかお笑い芸人すごくね?なりたい、なりたいかも!」なんていう思いが頭をかすめたりした。 ただ、私は

心がきしむ音を聞いた:ジェーン・スー『生きるとか死ぬとか父親とか』

痛みを伴わずに、家族の話をすることなどできないと思う。 私は結婚や出産によって抑圧され続けた母の苦悩を目の当たりにしたし、そのストレスがまっすぐに飛んでくることもしょっちゅうだった。田舎の農家の次男というなんとも言いがたいポジション出身の父親も、複雑で気むずかしい人間で私には対応しきれない代物だった。おかげさまで今は年に数回コンタクトを取るだけという、ほどよい疎遠具合になっている。 そういう家庭で育ってしまうとつい、仲良し親子や仲良し家族に悲しみがあるなんてことは考えられ