マイナ保険証について その1 健康保険のしくみ、知ってますか?

「保険診療の流れ」の図説をいれました。

はじめに

マイナンバーカードを保険証の代わりに使う「マイナ保険証」ですが、今まで当たり前のように使っていた「健康保険証」や「健康保険」の仕組みについて、なんとなくの知識しか無い人が多いと思う。(別に恥ずかしいことでは無いが、日本の医療制度を理解することは「みんなが当事者」として知っていて欲しい)

マイナ保険証を理解するには、「健康保険証」や「健康保険」についての理解が無いと、その意義や従来の保険証の問題点がわからないと思うので、解説していこうと思う。

キーワード:国民皆保険、健康保険制度、保険者、審査支払機関、レセプト、診療報酬、返戻、マイナンバー、マイナ保険証、オンライン資格確認、国民医療費、医療DX

国民皆保険

「国民皆保険」とは、病気のときや事故にあったときの高額な医療費の負担を軽減してくれる医療保険制度です。 日本ではすべての国民が公的医療保険に加入することになっており、国民皆保険制度(こくみんかいほけんせいど)と呼ばれています。

健康保険の歴史 (在日外国人は対象外だった!)

国民皆保険は1961年にスタート
国民皆保険が実現する前は、医療を受けられずに亡くなる人も大勢いました。
1956年の『厚生白書』には「1,000万人近くの低所得者層が復興の背後に取り残されている」と記されています。この頃までは、国民のおよそ3分の1にあたる約3,000万人が公的医療保険に未加入であり、「国民皆保険」の達成は日本の社会保障の大きな課題となっていました。
その後、1958年に新しい「国民健康保険法」が制定され、1961年に現在の「国民皆保険」が完成することになったのです

自営業者や非正規の労働者、無職の人ら向けの公的医療保険である国保には、かつて外国人は加入できなかったが、昭和61年に国保法の施行規則から国籍条項が撤廃された。 さらに以前は外国人は1年の在留期間を満たす必要があったが、平成24年の住民基本台帳法改正に伴い、3カ月を超える滞在で加入が義務付けられるようになった。

まずはこの5つを理解しよう!

患者、保険証、医療機関、審査支払機関、保険者


保険診療の流れ

患者:説明するまでも無いですね。皆さんです。

保険証:社会保険(以下、社保)と国民健康保険(国保)があり、保険料を支払うことにより、保険証が発行される。

医療機関:保険医療を行う場合は保険医療機関として届出をし、保険診療を行うためには保険医登録が必要。

審査支払機関:社保は社会保険診療報酬支払基金、国保は国民健康保険団体連合
医療機関から請求があったレセプトを審査し診療報酬を支払う

保険者:国保なら住民票がある自治体、社保なら協会健保、組合健保、国保組合、公務員なら共済組合 保険料を徴収(労使折半)し保険証を発行する。

受診から窓口支払 レセプト請求 返戻 診療報酬振込まで

保険証を持って、保険医療機関に提示すれば、保険診療が開始です。通常7割引で保険医療を受けられる素晴らしい日本の医療制度ですが、実はいろいろ問題があったのです。

診療が終わると、通常3割の窓口負担を支払ってもらい終了となります。これ以降医療機関側の処理となります(なかなか理解されていなかった部分)

医療機関は月締めで、患者毎のレセプト(診療報酬明細書)というものを、審査支払機関に請求します。保険証情報を保険者に照会し保険資格の有無を確認し、診療内容が保険のルールに則って行われるかを審査します。レセプトに問題がなければ、保険者に請求が行き、医療機関に7割分が振込まれます。

現在はほぼ電子請求(オンライン又は電子媒体(CD-R)になりました。これに至るまで約15年くらいかかる長い道のりがあったのです。別稿で解説予定)

従来の保険証の問題点

本人確認書類として不十分 今の時代、それアリ?
従来の保険証は社保、国保問わず、顔写真がありません。現在の本人確認書類として不備なことは明白ですね。マイナンバーカードがある程度普及したことにより、大手携帯電話会社も新規契約時の本人確認書類から除外しました。

保険証の有効性は受付時にはわからなかった。その結果回収不能に。。

転職(社保)や転出(国保)により保険証の資格が喪失した無効な保険証を提示されても受付時にはそれがわからなかったのです。

社会保険(以下「社保」)は基本有効期限が記載されていません(任意継続等の場合は記載)理由としてはその会社に勤務している以上変更の必要がないからです。耐久性のあるプラスチック製のものがほとんどです。

一方国保は1年もしくは2年の有効期限が記載されています。理由としては転出、転入の可能性があることと、有効期限を長く設定すると転出しても有効期限内であればその保険証で受診が可能だったのです。

保険証が無効であった場合、窓口負担以外の7割を医療機関が回収できないリスクがあったことは、あまり知られていませんよね?その結果、医療機関や保険者(健保組合や自治体)が損を被る可能性があったのです。皆さんの給料や税金から補填されているのです。

国民の健康のために、我々医療機関はこういうリスクを負って日々精進していたのです。ですからマイナ保険証に反対する人が「今まで何も問題がなかった保険証を廃止するのはケシカラン!」は単にその事実を知らないのです。

「オンライン資格確認」とは?

医療機関がオンラインで、審査支払機関に置かれたデータベースにアクセスし、「マイナ保険証」もしくは「従来の保険証」でその「有効性」を確認できるシステム。

マイナンバーと保険証情報の紐付け

ここが今回の一番重要な点です。今までは保険証を持参した人が、「本人でありかつその保険証が有効である」前提で保険診療が行われていたのですが、転職(社保)や転居(国保)などで、提示した保険証が「無効」でも受付時にはわからなかったのです。

マイナ保険証になると、顔認証もしくは暗証番号で本人確認ができるようになり、従来では審査支払機関を通して保険者に照会し始めて「無効」が判明していた無駄がなくなり、保険医療コスト削減に大きな効果が出ます。(年間のレセプト件数は10億件を超える)

つまり、残高があったり、定期の有効期限内であるか自動改札でタッチした瞬間に「認証」しているSuicaと同じことができるようになったのです。革命的改善ですよね?

これだけ特殊詐欺が横行している時代に、性善説で運営していること自体「無理、無駄」なことは明白でしょう。

返戻(へんれい)

返戻とは「受診した保険証の資格が喪失していたり、医療機関が入力ミス等で正しい保険証情報で請求していなかったり、診療内容が保険のルールを逸脱していた場合、レセプトが戻ってくる(7割の診療報酬が振込まれない)こと」

通常は訂正後、再請求します。問題がなかった場合は2ヶ月後に振込まれます。つまり1月診療分は3月に振込まれます。なんでそんなに時間がかかるのか?は審査にかかる時間ということでしょうが、後述するオンライン請求で処理時間が短くなっているはずなので、医療機関としてはもっと早くして欲しいと思っています。

マイナ受付により、受付時に保険証の有効性が判明するので、10億件以上もあるレセプト審査での無駄が省けることは明白です(コスト削減)

まとめ

マイナ保険証は

「本人確認が確実に出来る」
「保険証の有効性が受付時にわかる」

画期的なシステムなのです。

次稿はマイナ保険証の経済効果(コスト削減)についてです。

https://note.com/sak27/n/nc8d3026df154



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