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名前はレオ

普段、あまり電車に乗らないのに、乗ると必ず遅延します。
この現象に名前がほしい。

この現象に名前がほしいって一時期流行りましたよね?
名前のない現象は市民権を得ていない、ということなのだと思います。
じゃんけんにおける「言い出しっぺが負ける」は名前がないですけど、何かを言い出した人が何かしらの被害や僥倖・災難・ミラクルに見舞われることが頻発したので「言い出しっぺ」という呼称が生まれたのでしょう。

名前のない現象はたくさんあります。
新しい靴をおろした日に雨が降る、給食にカレーが出た日は夜もカレー、お風呂出た後の便意、お母さんと買い物に出た時に限って同級生と会う、腹いっぱいになった後みそ汁の存在に気づく、など色々あります。

名前がついている現象は発現回数がこれらよりもさらに上なので名前が付けられたのでしょうか。

例えば「デジャブ」。
初体験なのに、かつて同じような経験があるように錯覚すること。

……そんなに頻繁にある?

デジャブってそんなに感じる?
子供のころ、何度か経験したことがあるのは事実です。
なんとも気持ち悪かったのを覚えています。

「あれ? この感じ、前にもあったぞ」という感覚ですよね。
でも、実際体験していたのかもしれない。なぜ初体験だと確証できたのか。
例えば、ある建物に行くとします。そして、あの感覚が訪れるとします。
「あれ? ここ、前にも来たことあるぞ」
その時、モゾモゾっとしますよね?
でも、本当に前に一度来たことがあるのかもしれない。なのに、その記憶を辿る前にやってくるあのモゾモゾ感は確信的にやってきます。
ということは、既視感というのはスピリチュアルな感覚なのでしょうか?
いや、ひょっとしたら「あれ? ここ前にも来たことあるけどいつやったか思い出されへんぞ? これはちょっと記憶を辿っても出てこうへんモゾモゾするやつやぞ」という反応の可能性もありますよね。

とにかくあのモゾモゾは確かにインパクトが強い感じがします。

そうなんです。
現象における名称の有無は頻度ではなくインパクトで決まるんです。
だから、行列に並んでいたのに自分の前の人で売り切れちゃった。
とかには名前がつくことはありません。
なぜならインパクトが弱いからです。
ティッシュ一枚だけ取ろうとしたのに束で取れた現象にも名前はつかない。
もっとインパクトがないと。
普通に家で寝ていたのに突然耳に水が入った、ぐらいの出来事なら一気にことわざに昇格します。

だから、名前のないちょっとした不幸のような出来事なんて大したことないのですから、気にせずに過ごしましょう。

犬も歩けば棒に当たるわけですから。

では、また。

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