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【無料公開】木下憂朔ラスベガスUFCコンテンターズ出場■シュウ・ヒラタ

多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー。今回は日本人初!ラスベガス開催ダナ・ホワイト・コンテンターズ・シリーズに出場する木下憂朔選手について!

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――矢沢永吉の8・27国立競技場ライブチケットに当選したシュウさんはコロナ以降、ひさりぶりに日本に戻る予定でしたが、大きな試合が決まったことで来日取りやめとか。

シュウ はい。私がマネジメントする木下憂朔選手が8月30日のUFCダナ・ホワイト・コンテンターズ・シリーズ(DWCS)に出場します。ラスベガス開催の同企画に日本人選手が参戦するのは史上初。日本のMMAファイターにとってもけっこう重要なんじゃないかなと思ってます。矢沢のコンサートのプレミアムシートをキャンセルしてでもいく価値がありますね(笑)。

――それはめちゃくちゃ楽しみです!(笑)。

シュウ こないだシンガポールで開催されたRoad To UFCは当初、ウエルターもやる予定だったんです。そこでマッチメイカーのショーン・シェルビーと「次に来る日本人選手は誰かね?」という雑談をしている中、以前からボクがプッシュしていた木下憂朔選手の名前が挙がっていたんですね。ボクは木下選手とマネジメント契約を結びたいと思っていたので、数ヵ月前に木下選手側と一度ZOOMで話していたんです。で、Road to UFCで試合が組まれるなら連絡しようと思っていたんですけど、結局ウエルター級ではやらないことになったんで、この話はそこでいったんストップしたんですね。けどフタを開けてみたら、訳のわからないライトヘビーの試合や女子の試合が組まれてたりしてたじゃないですか。

――想像していたラインナップとはなんだか違いましたね。

シュウ 上海のUFC PIで練習している選手を入れないといけないという事情はわかっていたんですけど。それならとボクが狙っていたのはベガスのDWCSなんですよ。ご存知のとおり、ベガスのDWCSも数年前から、アメリカ人だけでなく海外からの選手も入れるようになりましたよね。それなら、そこに日本人選手が入ってもおかしくないんですよね。じつをいうとボクの中では、数年前からこのベガスDWCSに日本人選手を入れるというのがひとつの目標になっていたんです。その理由は2つありまして、まずよくしたり顔で「日本人枠」という言葉を使ってUFCを語る人がいますけど、そんなものは根本的にはない、ということを選手の皆さんにわかってほしかったんです。

――枠なんて関係なく、いい選手なら契約すると。

シュウ もちろん日本大会をやるから、そのタイミングに合わせて日本人選手と新規契約することはありますけど、UFCのベースにある新規契約のフィロソフィーは、チャンピオンになれそうなポテンシャルのある選手は全員獲るんです。つまり本当に強ければ、しっかりと強くて実績のある相手にいい勝ち方をしていれば、出身国なんて関係ないんです。2つ目は、いまだにUFCは「あの団体に出ている選手は獲らない」というやつです。たとえばRIZINに出た選手を獲りたがらない、みたいな。

――あれ、なんなんですかね。イリー・プロハースカとかマネル・ケイプなんて最初から破格の扱いなのに。

シュウ それは100パーセント、的ハズレだってことを選手の皆さんにわかってほしかったんです。こういう意見が出るのは日本だけなんですよ。国外の感覚だと、選手のタレント・ポテンシャルを精査するときに「団体は関係ない」なんですね。どこの団体で試合をしようが、一番重要なのは、強い選手にいい勝ち方をすること。これだけなんですよ。変な政治やコネとかルートよりも、まずそこなんです。ですから日本ならRIZIN、修斗、パンクラス、DEEP、HEAT、グラチャン、グラジエーターなどいろいろとありますけど、いい勝ち方をすればUFCに行ける可能性は高まるということなんです。

――いちばん問われるのは「誰にどんな勝ち方をしたか」ですね。

シュウ 逆のことをいえば、戦績がだけよくてもダメなんです。へなちょこばかりに勝って戦績だけいい選手は獲らない。マッチメーカーはMMAファイターの目利きのプロなんですから。そういうボクの思いもあったし、ベガスのDWCSに日本人選手を入れたいという目論見もあって。「ウエルターをやらないで、ライトヘビーの試合とかないでしょ」とショーンともう1人のマッチメーカーのミック・メイナードには嫌味を言ってたんですね(笑)。

――プレッシャーを掛けていたんですね(笑)。

シュウ そうしたら「8月30日にウエルターで試合が組めるけどどうかな?」と連絡があったのが今回の経緯なんです。以前ショーンに木下選手の試合の映像を見せたら「すごく興味がある」とは言ってたんで、クタゴンの中でサバイバルしていける可能性を感じたからオファーを出したということなんですよね。

――木下選手は逸材ですよね。

シュウ とりあえず日本人初のベガスでのDWCS参戦が決まって本当によかったです。DWCSは毎年ありますからね。ということは、来年もまた日本人選手にはチャンスがあるということです。それを考えて、UFCを目指している選手は、これからサインする契約書の中身をちゃんと読んで精査することをお勧めします。チャンスがきたときに、すぐに受けられる状態にしておくことが大切だと思うんです。

――アジアでRIZINとONE以外と複数回契約を結ぶなら、UFCだけは無条件で契約できる内容にしておきたいですよね。ただ、契約がなくても拘束しようとする場合もあるみたいですが……。

シュウ 日本以外の選手は、オファーがきたら、だいたい24時間から48時間以内に受けるか否かの答えを出してきますけど、日本人選手だけは、いろんなところに「お伺い」をしないといけないケースがあり、返答することにすら時間がかかり、それでチャンスを逃すこともあるんです。これは数年前の話ですけど、UFCの本戦で緊急枠が空いたので、ある日本人選手にオファーがいったんですね。そしたら、この選手は一応前回試合した団体に「お伺い」をしないといけないという話になったんです。でも、団体のトップに連絡しているのに、待てど暮らせど、連絡を返してくれなくて、それでその選手はUFCのチャンスを泣く泣く諦めた、ということがあったんです。

――もったいなさすぎですね……。

シュウ 国外なら考えられないことなんですよね。とくに緊急枠の場合はヘタしたら、もう今日中に決めないと無理なんてこともありますし。これを選手のみなさんには理解していただきたいです。普段つらい練習をして私生活も犠牲にしているのなら、なおさら契約的にもビッグチャンスを掴める状態にしておく。これはプロ・アスリートとしてあたりまえぐらいの感覚になっていただきたいです。<おしまい>

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