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西川大和のサステイン契約問題■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク

多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー。今回は西川大和のサステイン契約問題を13000字(この記事は11月4日にニコ生配信されたものを編集したものです)


――西川大和選手と修斗をプロモートするサステインの契約問題。西川選手がUFCと契約するも、サステインが西川選手側との契約のオプションである4ヵ月間の独占交渉期間(2022年9月19日から)が過ぎていないと指摘があり、UFCデビュー1週間前に、UFCが西川選手との契約をいったん破棄しました。シュウさんは今回のUFC参戦から西川選手のマネジメントを担当されていますが、いまはどのような状況なんでしょうか。

シュウ まずサステイン側から西川選手側がサインしたという契約書がようやく届いたんですよね。

――本日は11月4日ですが、トラブルが表沙汰になってから2週間近く経って届いたんですね。

シュウ そうですね。その数日前に、それまで西川選手をマネジメントしていた大門さんから、署名が入ってない契約書のひな形が届いたんです。今回の件が表面化したのはUFC280の1週間前ですが、UFCと契約するにあたって1ヵ月以上前から、正確にはアメリカ時間の9月22日の時点から大門さんを通じてサステインとやりとりをしていました。

――修斗の試合から3日後にオファーがあったんですね。

シュウ 契約の流れを説明すると、まずはじめにUFCから私のところに西川選手と話をしてくれないかと打診があったんです。私はマネジメントの大門さんの連絡先をUFCに伝えました。そうしたらUFCから「連絡しても返事がない」と言ってきたんで、こちらから大門さんに連絡したら、UFCのオファーを断ってきたんです。でも、いろいろとおかしな点があったので、西川選手本人とご両親に確認したら「そんなことはない。ぜひUFCに出たい」とのことだったんです。

――なるほど……。

シュウ 大門さんともう一度、正確にはアメリカ東海岸時間の午前9時3分から1時間近く話し、「西川選手は契約がないんだからフリーという認識なのでUFCのテーブルに着くとサステインに伝えるように」とお願いしたんです。そしたら「契約がある」と言ってきたんです。

――そして4ヵ月間の独占交渉期間があると。

シュウ でも、西川選手はそんな契約書にはサインしてないので「契約したというのであれば、その契約書を出してくれ」と要請してきたんです。ですから西川選手は、ファイトウィークの少し前にUFCに届いたサステインの弁護士からの通知書を無視してるのではなく、それからも「その契約書のコピーを見せてください」とずっとお願いしていたんですよ。で、やっと出てきたものは署名の部分は隠されていて、ひな形のもので最後まで見ることができない。それは意味ないじゃないですか。

だいたい隠しないといけない部分がある契約書自体がおかしいじゃないですか。

だって「サインした」と言われている西川選手が「いや、サインなんてしてない、見せてください」と、ずっと言い続けてきて、それで肝心の署名の部分を隠したものを出してきても意味ないしですよね。

――そしてサインしたとされる契約書がやっと届いたわけですね。

シュウ その契約書には大門さん、西川選手、それからサステイン側がサインする欄があって。そこに西川選手の名前がサインされ、ハンコが押してあるんですけども。西川選手が一番直近でサインしたのはUFCの契約書ですけど、それと照らし合わせても、まず直筆の部分は明らかに違う。そして彼が普段使ってるハンコとも違うんです。

――ボクはその契約書が見られないですが、シュウさんからすると西川選手のサインでもハンコでもないと。

シュウ 明らかに西川選手本人の直筆ではないのは間違いないです。それを公に証明するためには、筆跡鑑定とかそんな話になっちゃうんですけど。ここからはもう弁護士さんに投げるしかないから、今回を最後にボクはたぶん話せなくなると思うんですよ。弁護士さんから「もうしゃべるのやめろ」って怒られますから。

――さすがのシュウさんも、これ以上は踏み込めないんですね(笑)。

シュウ はい。1ヵ月以上要請し続けて、サステインが主張する契約書がやっと出たということです。ここでハッキリ申し上げたいのは、皆さんは「代理人がサインするのはあたりまえなんじゃないか?」とか、それぐらい権利なんてどうにでもなると思ってる方もいらっしゃるかもしれないですけど。基本的に弁護士さん以外の人や、その当人以外の人が契約書にサインするってことは、基本的に非弁行為に当たる可能性があるんですね。ただ、もちろんこの業界ではそういうケースがあるかもしれないですし、そういうことがあったんでしょうけども。でもね、私は、大門さんと西川選手とのあいだで交わした契約書も確認したんですけど、代理人の役割・業務が何ひとつ明記されていない、代理人契約書とはいえないものだったんです。細かくお金の取り分だけはしっかりと書いているけど、肝心の代理人業務に関してはほとんど記載がないんです。

つまり承認権の前に交渉権すら持たない内容の……これはハッキリ言いますけど、酷い内容のものだったんです。

あとですね、一部のファンや業界の人が「挨拶しなかったから」とか「筋を通さなかったから」とか言いますけど、まず契約書に「挨拶に来い」と書いてあるんですかね? なら「筋を通す」とはどういう意味なのか。それを契約書の中のひとつの大きな条項にして、弁護士さんにお金を払って、長々とまず「筋を通す」の定義から書いてもらえばいいじゃないですか。

――「筋を通す」という契約条項!!(笑)。

シュウ 何かというと、一方的に選手にペナルティーを課す契約書で、しかもそうやって、いろいととケチをつけてくるんなら、そんな肝心なことをちゃんと契約書でもしっかりと網羅しないんですか?と思います。百歩譲って「これが日本人のビジネスのやり方なんだ!」と言い張るのなら、地方に住んでいる選手は一切緊急オファーは取れないということになりますよね。

だって、わざわざ東京までいって、サステイン様におうかがいをたてないといけないわけですからね。しかもこの業界の人はみんな知ってますけど、サステインはまずすぐに連絡を返してこない、電話に出ないんですよ。そんなことする組織に、契約書に明記されてない「挨拶」だとか「筋」とか言われても、もともと連絡すらすぐに返してこない組織にそれを言う権利がありますかね?

それに、西川選手側は9月22日の時点で、契約書にサインしてない、だからUFCと交渉の場につくと、正式にサステインには知らせているんですから。その記録もこちらは全部持っているんです。

そしたら、すぐに「いやいや、契約書にサインしてるだろ」と出せばいいじゃないですか。9月22日から数えて、何日経ってその契約書が出たんですか?そういった事実だけを並べて考えてもおかしいですよね。契約書のコピーを出すのに1ヵ月以上かかる組織が、緊急オファーが来たら挨拶しろ、筋を通せ? そんなの笑止千万。私の感覚では、常識のある社会人のやることではないです。

――西川選手は、自分以外の誰かが契約書にサインしているという認識はあったんですか。

シュウ 契約書が実際に存在してることを知らなかったです。そこが唯一西川選手側に非があるところで、口頭だけで試合をしていたという認識ですよね。そこに独占交渉権が入ってくることの説明なんかはまったくなかった。

――契約書にいろんな条件があるという認識がなく、ただ試合をしていたということですよね。

シュウ そうですね。そこは口頭でもファイトマネーはいくらとか、独占交渉期間があるとか、修斗のチャンピオンとしての縛りがあるとか、そういった説明はしてもらわないとわからないじゃないですか。その説明義務が大門さんやサステインにはあったと思うんですよね。説明したというのなら、いつどこで、どうやって説明したのか、いまの時代、契約書はデータで送られくることも多いですし、やり取りも電話よりも記録に残るメールやLINEですよね。なら、まずそれ出してくればいいじゃないですか。電話で話したというのなら、何月何日の何時から何分話したのかその記録を出してほしいですよ。

私は大門さんと話した記録、全部出せますよ。何月何日何時から何分話したとか。それぐらい大切なことですよね、短いキャリアの選手のことなんですから。選手のキャリアを軽く考えてはいけないですよ。

厳しい言い方をしちゃえば「人の人生をナメるな」と言いたいです。で、ポイントは彼自身は署名捺印してないし、見たことがない契約書が出てきたということです。それはよかったです。だって我々の観点からすると、契約書が見れなかったのが一番怖かったんですよ。何が書いてあるのかわからなかったので。

――もっとオプションがついているのかもしれない。

シュウ そうです。少なくともすべて確認できたことは、よかったと思ってるんです。なぜかというと一番のプライオリティは西川選手をUFCに上げることですから。少なくともその4ヵ月の独占交渉期間以外の障害がないことが確認できたということですね。

――再契約に一歩前進したということですね。

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