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浅倉カンナ、第二の人生へ「これで終わるんだ、これで最後なんだ……」

伊澤星花戦で引退する浅倉カンナ1万字インタビューです!


――いったい何があったんだろう?と。

浅倉 ハハハハハハハ。ホントに何があったんだろう?(笑)。そうですねぇ。このあいだの記者会見でも言ったんですけど、これというきっかけは正直、なくて。自分はいままで「何かをやめる」という選択をしてこなかったんで、引退をするって決めることもけっこう難しかったんですけど。きっかけがなさすぎて……まあ、それはありがたいことなんですけどね。試合をしたいのにケガで引退する人もいる中で、自分は自分で引退をすることを選べたので。

――何か決定的な理由があったわけではないんですね。

浅倉 そうです。だから「何があったんだろう?」と聞かれても……何か大きな理由はないんです。

――いつぐらいから引退を抱えていたんですか?

浅倉 2連敗したことがあったじゃないですか。浜崎(朱加)さんと大島(沙緒里)さん……。

――けっこう前のことですね。2021年ですよ。

浅倉 そのあとのSARAMIさんとの試合(2022年4月17日)が自分の中ではしんどかったんですよ。「これで3連敗したらどうしよう?」って。そこでは勝てたんですけど、けっこうやり切ったあとにトーナメントがあって。パク(・シウ)ちゃんとの試合でけっこうボコボコにやられて。あのへんの流れはけっこう大きかったかもしれないです。「これから、どうなるのかな……」ってモヤモヤしてましたね。

――勝ち負けのジェットコースターに乗ったことでいろいろと考えることがあったと。決意したのはいつぐらいなんですか。

浅倉 去年の秋頃、冬に入るくらいですか。V.V Meiさんとの試合が4月にあったじゃないですか。そこから試合はしてなくて……自分で決めました。

――秋頃にRIZIN事務所に行かれて榊原さんと会われたじゃないですか。榊原さんがSNSにアップしてましたけど。あのときは引退のことを伝えてたんですか?

浅倉 そうですね。やめるにしても自分の中では「終わり」を決めたかったんですよね。ここまでやると決めて、それまではおもいきり頑張る。榊原さんには大晦日ともう1試合、2試合やりたいですって伝えました。大晦日に勝って最後に伊澤(星花)選手……っていう考えだったんですけど、結局大晦日の相手が決まらず。それでラストに伊澤選手とやらせてくださいとお願いして今回の試合が決まったって感じですね。ホント自分のわがままなんですけど、RIZINや伊澤選手には感謝しています。

――浅倉選手はRIZIN女子部門を支えてきたんだから、RIZINとして最後の花道を飾ってあげたいってことだと思います! 伊澤選手とは超RIZIN3でやる話もありましたよね。

浅倉 じつはそうなんですよね。伊澤選手のケガでどうなるかわからなくなって。とりあえず練習は続けていたんですけど、7月に入ってから伊澤選手がもしかしたらできるかもってなって。でも、その頃には超RIZIN3のチケットがほぼ売り切れてたんですよ。

――つまり引退試合に応援団を呼べないという(笑)。

浅倉 そうなんです(笑)。最後の試合になるから、いろんな人に見てもらいたいじゃないですか。応援団が呼べないのはちょっと寂しいなと思って。

――超RIZIN3でやろうと思えばできたってことなんですかね。

浅倉 そこは超悩みましたねぇ。準備してきたし、やりたいんですけど、チケットはない。

――超RIZINで超悩んだと(笑)。超RIZIN3ほどのビッグイベントであれだけカード揃うと話題性っていうところでも……。

浅倉 そうです、薄まる(笑)。もしかしたら9月になってよかったのかもしれないなって。でも、これも経験ですよね。自分はいままで試合が流れることなかったんですよ。最後に一気に来たなって。

――浅倉選手はまだ26歳と若いじゃないですか。引退はビックリしたんですよ。

浅倉 これはもうずっと言ってきたんですけど、普通に結婚して子供を産むとか、格闘技とは別の普通の人生を楽しみたいところはもともとあって。ここまで長くやる考えはなかったんですけど。そのモヤモヤと被ったことで、やめることにしましたね。

――あの……いますぐ結婚という話があるわけでもないんですね。

浅倉 それが全然ないです!(笑)。

――なるほど(笑)。

浅倉 いまのところ全然見込みないんですけど、格闘技のない普通の人生を楽しみたいですね。

――いろんな人から結婚引退だと誤解されてないですか?

浅倉 いや、ホントすごいです。誰かに会うたんびに「結婚?」って聞かれるんですよ。本当はそれで理想だったんですけど、全然(笑)。

――女子格闘家が引退される理由って結婚や出産が多いですよね。

浅倉 そうですよね。自分も寿退社が理想だったんですけど……残念ながら叶わなくて(笑)。何も決まっていないし、何か大きな理由があったわけじゃないし、自分の中では格闘家って常に燃えているイメージだったんで。燃えるものがない中、年1試合とかしかしてなくて、これじゃあ格闘家は名乗れないなって。

――RIZINでのマッチメイクも一周しちゃったところはありまけど、他の団体で試合をする考えはなかったですか?

浅倉 ちょっと前は海外の試合に出てみたいなって思ってたんですけど、最近はそこまでも……。

――そんな中でも伊澤さんと戦うことは燃えるものがあるわけですか?

浅倉 やっぱり伊澤選手とはずっと戦いたかったんで。やらずに終わっちゃうのは引退したあとにモヤモヤしそうだし、いままでどおり集中して練習できている感じですね。

――超RIZIN3で所(英男)さんは「負けたら引退」という形式でやってましたけど、勝ったら続けるという選択はないんですかね?

浅倉 いや、それはないですね。勝っても気持ちは変わんないと思います。

――ある女子プロレスラーが引退試合の10カウントゴングの途中に急遽、引退撤回したことがあって。

浅倉 えーーーーっ!?

――最後の最後に「やっぱり続けたい」って気持ちが沸き上がったんですよね。その選手はまだ現役です。

浅倉 いや、自分の場合ははないですねぇ。

――引退ではなくちょっと休む考えはなかったんですか?

浅倉 鶴屋(浩)先生に引退することを伝えたときに「一旦休んでまたやりたくなったらやればいいんじゃないの?」って言われたんですけど、自分の中ではそれは違くて。格闘家って毎日練習することが仕事だし、それがあたりまえにできないのは、自分の中では違うなっていう感じです。

――ということはもうジムにも通わない?

浅倉 ……そうなるんですかねぇ。それはやめてみなきゃわからないです。毎日練習して生きてきたんで。

――それこそ、ちっちゃい頃からレスリングをやっていたわけですもんね。

浅倉 汗をかかないとモヤモヤしちゃうかもしれないんで、もしかしたら練習に来ちゃうのかなあ……。いまでも「ああ、今日も練習に行かなきゃ……」って憂鬱まではいかない気持ち抱えながらジムに来てたんですけど、その気持ちがもう味わえない。それがどんな感じなのかは、試合が終わってみないとわからないですよねぇ。

――引退後の「普通の生活」はワクワクしたりしてます?

浅倉 そうかもしれないですね(笑)。引退ってマイナスなイメージがあるかもしれないですけど、自分はそんな感じではないです。「格闘技のない人生ってどんな感じなんだろう……」って楽しみではあります。

――次のお仕事は何か考えてるんですか?

浅倉 ……次はまだ決まってないです。

――結婚もしなければ、仕事もない!!

浅倉 痛いところを突かないでください(笑)。

――けっこう不安じゃないですか?

浅倉 不安ですよ(笑)。でも、自分で何かできればいいなと思ってて。

――しばらく休んでから、新しい何かに動き出す感じですかね。

浅倉 休むヒマはないのかなって焦りもありますけど。本当は引退前に決まってるのが理想だったんですけど、結婚もダメだったので。一旦試合に集中してます!(笑)。

――「ここまで長くやろうって考えてはなかった」とのことでしたが、気がついたらデビューしてから10年近く経っていたわけですよね。

浅倉 何も知らないままこの世界に入った感じだったんで。高校のときにレスリングをやめて「これからどうしよう」ってときに新しく頑張れることを見つけて。

浅倉 でも、よくわからないままやり続けて。こんな自分がこうやって格闘技人生を歩めるなんて思わなかったんですけど。もう25歳くらいには結婚して引退して子供を産んで……みたいのが理想で。

――「よくわからないままやり続けて」というのはよくわかるんですよ。浅倉選手がデビューした頃って、格闘家という職業としてそこまで成立してないところはあったじゃないですか。

・あの頃の自分は無我夢中だった
・普通の女の子が羨ましかった
・先輩たちがいたからRIZINがあった
・扇久保さんと誠のこと
・途中から怜に勝てなくなって……10000字インタビューはこのあとへ続く

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